第34話 エピローグ
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あの日から何日が過ぎただろう、魔王城から40km離れた洞窟の入り口から外を眺める魔人のザラは、既に視力を失っている両目を外に向けながら、あの日の事を思い返すのだった。
その日、人間狩りから帰ったザラは獲物の人間の女をいたぶりながら、拷問をして遊んでいた。
10本の指の爪の間に串を刺したり、その指をそのまま逆折にして悲鳴を上げる声を聴いて楽しんだり、死のうとして舌を噛み切りそうに成ったので顔面を殴って歯を全て折ってしまうと、殺して下さいと懇願してきたのをさらにじわじわと痛めつけて楽しんだ。
突如として太陽の輝きよりも激しい閃光が20秒近く輝き、その間夜にもかかわらず地上に光があふれた。
その後光が収まると巨大な青白く輝くキノコが魔王城の方角にゆっくりと夜空を背景にして立ち上がって行くのを茫然と眺めていた。
音もなく静かな情景を見ていると突然強烈な衝撃が全身を打って、いたぶっていた人間はその衝撃で動かなくなってしまった。
一旦の間を置いて襲ってきた強烈な突風で周囲の木々は一斉に倒れていき、強烈な爆風と砂ぼこりの中にザラは佇んでいた。
強靭な体力と魔力を持った魔人は40km圏に到達し減衰した爆風では大したダメージには成らなかったが、その後空から綿のような白い粉がふわふわと降って来るように成なると、口や鼻に入ってくる埃には動揺した。
目に入って視界を邪魔するし、全身に積もってほこりまみれで、見た目ファッションを気にする彼にとって汚れは気に成ったが、呪いや毒の無効体質のため恐怖を感じることはなかった。
程なくして雨が降り出しその雨は真っ黒な漆黒の雨だった、その勢いが増して全身の埃を洗い流してくれることに感謝し、全身にくまなく雨を浴びて汚れを取った。
見ればまだ新鮮な人間の肉も有るので綺麗に洗って腹ごしらえすると、夜が明ける前に近くの洞窟に入って一寝入りした。
目覚めて何かの気配に気づいて洞窟の外を見ると、全身に火傷で爛れた魔人や魔獣たちが幽霊のように歩いていく、目線は空中を漂い茫然と列をなして歩いていく、腰かけている老人の姿を見かけて話しかけると、虚空を見つめながらぽつぽつと語りだした。
「光が、強烈な光が閃光が走ったのじゃ、夜の買い物で外に出ていた者が多かったので光を全身に浴びている者が多く、肌の黒い者は特に火傷が酷くてどうにもできなんだ。そのあと突風が吹いて皆倒れ伏してしまった。」
老人を自分の寝床の洞窟に連れて行き、まだ残っている人間の肉を食べさせると、「うまいうまい、人間の女の肉は格別じゃわい。」と言った後息を引き取った。
そこら中に魔人や魔獣の死体が横たわり、悲惨な状態に成っているが、出来ることは無いように思えた。
数日たつとザラの髪の毛が抜けだして、鼻や目、歯茎から出血するようになり小便にも血が混じって、体を動かすのが億劫に成ってい行った。
すでに視力はほとんど失われて、洞窟の外を眺めてはいるが付近に倒れるおびただしい魔人の死体は、ぼんやりとした霞んだ霧の中に埋没していた。
ザラはゼロゼロとした呼吸の最後に大きく咳き込むと大量に吐血して動かなくなった。
その時人知れずシャルロッテのEXP値に13850が加算された。
この世界での呪いや毒の概念とは異なる異世界放射性物質、セシウム137やストロンチウム90等の放射性元素は、この世界での毒や呪いとは異なり骨や肝臓組織に蓄積して体の一部と成りそこから電離放射線を放出し続ける。
清浄や不浄の概念とも異なるため放射性物質は浄化魔法も効果がない。
セシウム137の半減期は50~100日、ストロンチウム90の半減期は28年である。
放射性降下物(死の灰)としてアルファ放射体の小さな粒子が吸入されると、それらは肺に恒久的にとどまり、肺組織への深刻な放射線被曝源となる。
肺に沈着した微量のアルファ線放出物質は、肺組織に年間3700レムの曝露をもたらし、頑強な魔族にも深刻なダメージを与えるのだった。
ザラの洞窟の周辺にはおびただしい魔人魔獣の死体が折り重なっている。
一目で分かる熱傷とケロイドの他に原因不明で多彩な症状を引き起こす放射線被爆障害が今後数十年に渡って魔人たちを苦しめる事に成るのだ。
また、不妊や奇形の発生率が増えて種としての魔族は衰退していくのだったが、そのことを知る者はまだいない。
神威魔法の召喚によってもたらされた熱核兵器による災厄は、今後数十年にわたり魔族を自動的に殺戮していく、それらの死はシャルロッテの経験値に加算され膨大な経験値を持ったシャルロッテの冒険は、また後日の話である。
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