61話 鉄船まで作れちゃう。
その後、取引の相手であった地方貴族の男を捕まえるまでに手間は要さなかった。
船に用意していたらしい脱出用の小舟から自分と側近だけを乗せ、逃げようとしていたようだが……
「龍の旦那、招集に答えて馳せ参じましたぜ!!」
白龍に呼びにいってもらったドドリアたちの船がやってきて、周りの海を取り囲んでいたためだ。
俺はそれを、薬の積まれていた大船のデッキから確認して、ほっと息をつく。
月と龍の描かれた旗を振ってこちらにアピールをしてくれていたから、俺は手をあげてそれに答えた。
「な、なんなんだ、この船たちは……! こんな船どこから現れたんだ。うちの船を一台作るのだって、かなりの金がかかったってのに、こりゃそれ以上。そんなのが何台もだと!?」
脱出用小舟のうえ、逃げ出そうとしていた連中は居並ぶ大船を前に声を上げて狼狽え、漕ぐスピードが緩む。
そりゃあそうだ。
なにせ、ドドリアたちの乗るのは、船体の一部を鉄によりコーティングすることで大型化した船である。
「なんなんだ……! こんな船、国家が大金を注ぎ込んでも作れるかどうか。軍船か!?」
……いやいや、一応、漁船なんだけどね?
それに設計は錬金術を細かく何度もかけることで行ったし、材料費はテンマ村の収益から無理のない範囲で賄った。
とはいえ、鉄船自体がこの時代には一般に流通していない代物だから、高級なものと思われるのも無理はない。
もちろん見た目だけではない。
この船は溜めておいた魔力で方向転換や加速などもできるのだから、かなりの優れた機能をも備える。
ただ、これでもまだ開発の途上だというのだから自分たちの船のことながら末恐ろしい。
それだけでももう十分だろうに、
「兄貴、俺とあいつを引き合わせたら天地が割れるぞ?」
「そう荒れないでよかろうぞ、赤虎よ。我が主人の前で、無駄な争いをするものでもない」
喋る虎と龍が圧倒的なスケール感で、空と陸から睨み合うときた。
俺からしたら、仲間うちの小競り合いだが、外から見たらそうはいかない。
共犯者らは完全に観念したようで、小舟はついぞ動きを止めた。
ドドリアらに頼み、彼らを捕獲網やらで船の上へと引き上げ身柄を拘束してもらう。
こうして無事に、違法なやり取りを完全に抑えることに成功したのであった。
「助かったよ、赤虎。今回は本当によくやってくれた」
「はん、兄貴はもっと俺様に頼ったほうがいいぜ? 茶葉だけじゃねぇ、なんでも燃やし尽くしてやるからよ」
「……いや。燃やすものと燃やさないもの、ちゃんと区別してくれよ」
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