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女、ナマコ、生掴み……え、エロくね?(誤解)

 俺を見るドールの目が何時もと違っていた。もしかして惚れちゃった系? 戦闘中で女を惚れさせるとかどんだけ罪深いんだよぉ~と、軽口を叩くが……ドールが喋り出す気配は無かった。チッ、ここに来てめんどくさいなぁと、思いながらしょうがなく続きを聞き出す。


「ん? どしたんだドール? 女の子の日でも来ちゃったのか?」

「どっせーい!」

「はっ、ちょ、今戦闘中! 天性の剣の才能が開花しそうな時にそれは不味いって!」


 冗談成分たっぷりで言ったつもりがどうやら場に合わなかったらしく、鼻で笑うような話ではなく、代わりにドールの憎しみが込もったドロップキックが飛んできた。リアルに一歩間違えたら潰されて終わるからっ!

 二度目はねぇぞ? と、視線が怖いのでフェイントを入れて攻撃してきた魔王の肘を避け、上から降ってくるような裏拳を弾き飛ばし、魔王の体勢を崩す。そして叫ぶように


「はぁー! んでどうして俺の方が異常だって? それは何故ッ!?」


 叫び、疑問で終わった自分の言葉に「情緒不安定かよ」と、心の中で思いながらやっと期待した質問を言ってくれた、と口には出していないが顔でそう表しているドールを待つ。だから、言って欲しいんなら自分から言ってこいって。まぁ、その場合聞き流すけどな。

 聖属性、本質的には……多分あれだ。勇者のみの属性って言ってたし民衆を守る力、守護の力が強いのだろう。それが何故魔王の攻撃を受け止め、跳ね返しているのかっていう答えにはならないんだけどな。

 守護、守る=反射じゃないからね? なに、圧倒的な守備力だったらそれ以下は無効みたいな感じなのか? しかも攻撃を反射するって。それどこのMMO? まぁ、俺のやった奴では反射は無かったけどさ。あったかもしれんが続けなかったから意味がないな! はっ、課金前提のゲームに俺が動くと思うなよ?

 それにしてはよく分からん服を購入していた記憶が。それは年頃の男の子ゆえの……ね? 見せる相手は身内しかいないけどな。

 それだったらさっさと家買って安定した“自分の家”を持てよって話になるがこの現状を見るとねぇ? 保険入ってないやつはドンマイ。ローン組んでるやつはチャラになるのかな?


 そんなことを僅か五秒ちょいの間に考えられるのは一種の才能か。

 体勢を立て直し、咆哮し、体から幾千、幾万の手が俺を呑み込もうと伸ばすのと、ドールが喋り始めるのは同時だった。


「――突っ込むところが全くの検討違いなんですよね」


 ……へ?

 一人、おいてけぼりの俺を残して喋り続ける。


「最初は……まぁ、なんだか覚えてませんは一番身近な所だと私が神とカミングアウトした所ですかね? 普通なら『ぎゃぁ~、か、神様ぁ(↑)』と、驚くか一切信じないの二択だと思ったんですが……」


 まだ、続きそうだと確信した俺は直ぐ様行動に移す。反射神経、それが体表にある男だよ俺は……。

 己が化け物だとカミングアウトしたのだが己が神なのと、己は体表に反射神経なるものがあるぞ!、とカミングアウトするのとではどっちが印象深いか? 俺は圧勝的に後者だな。

 自分で言った言葉に驚きながら手に持った剣を強く握り、振る。直接的に当たった部位は勿論の事、振った勢いが衝撃波になったそれは向かってくる黒く、影のような手を打ち消した。

 そして、少し空いた時間にドールの方に向き、言った。手短に、手短に。そうしないと多分、絶対、確信的に呑み込まれてバットエンドだ。


「に、二択じゃねぇよ! 折角、人が信じてやってんのによ……それに」


 少し、カッコつけて溜めを作り、


「――おかしいのは……いや、壊れてるのは一度死んだからだ」


 はよぅ、はよぅ。表面上はカッコいいが内心は冷や汗どころか出しちゃイケないものまで出ているような錯覚に陥る。……錯覚だよね?


「い、いちぃーど死んだらナニかが外れても普通だろっ!? それともあれか? 神だとカミングアウト」


 あ、ちょっと洒落てるかも。


「して、私敬ってくださぃ~ってアピってんのか、ああん? それを狙ってんなら無理だね、ハッキリ言ってやるさ“おめぇには”無理だよ」


 大事なことなので二度言いました。心の中で付けたし、魔王の方を向く。喋りすぎてしまったようですぐ正面には首をもぎ取ろうと狙っている手と、正面がぱっくりと割れ、中からゴ〇ラと、まではいかないもののそれに似た巨大生物がこんにちわしていた。絶体絶命じゃねぇかッ!

 剣を振り、少しでも手の数を減らそうとするがそれも虚しく、斬撃をすり抜けてきた手が触れようとした瞬間――


「――まぁ、細かいことはこれを倒してからでも……別に、倒してしまっても構わないのだろう?」

「唐突に死亡フラグ立たせるのやめい……はぁ、遅すぎ」

「へい、スンマセン」


 悪びれもなく、言葉だけ謝ったドールの手にはいつの間にか触れようとした手が引っこ抜かれていた、そんな感じなのか残骸っぽいのが手に残っているのが見えた。なんか……ナマコみたいだな。

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