責任はよし子に押し付けるスタイル
別にホモを否定している訳ではないが流石に一番最初で出てくる奴が男って……い、いや、まず第一に俺が初めて魔法を使うとき、水を使うとは断定できないはずだ。だって確率は四分の一なのだ。天文学的な確率ではないし、運が良ければ当たるって可能性も出てくるが……って、何で俺は男についてこんなに思考しなくてはいけないんだ。
少し、苛立った俺はそんな重い想いを投げ捨てるように景気よく花火を打ち上げてみることにした。ふとした出来事で花火を上げれる事に関してはこの世界は結構融通がきくと思う。……だよね?
まさか打ち上げ花火を打ち上げる方になるとはねぇ……。やり方は分からないけどこう、火でぶわぁーってやりゃあ出来るよな?多分だけど。
「敵がいたら引き寄せる的な意味合いも込めて大きく……『火よ』」
フェルの言霊に反応し、周囲の魔力がフェルを通して一つの現象に結び付ける。吸って吐く。簡単に言えばそれだけの行程、それだけの家庭だけなので威力は個人によって左右される。ましてや火なのだ。なんかこう、攻撃的な意味が強い属性じゃん?だから結構気合いを入れて撃ったから綺麗になるのかな?と、思ったんだが……
「……あ? えっと、不発ってことか? も、もう一度……」
かっこつけて天に手を伸ばしながら言ったので不発と言う結果に終わって恥ずかしくもあり、切なくもあり。こうなったらカレス呼び出してカレスを打ち上げてみようか?
と、決して軽くはない風評被害を受けたのだが反応はなかった。何故かあったのはドールだけ。二回目も不発に終わったし、この空間では魔法が使えない的なノリか?反応がないのは何時ものことだったのでさして、気にしている様子はなかった。
「……ふゅ~ふゅ~ふゅっ……ふゅほぉ~」
「やれないのに何故やろうとする……つか、誤魔化している時点で原因はお前じゃんかよ。……ふぅ、お兄さんは怒らないから言ってごらん?」
十五年間生きてきて、満面の笑み以上な仏のような顔をしながらドールに問い掛ける。なんか知らんけど転生補正で顔は良いのだ。以前は残念系こけしだったが今は違う。多少伸びてきて丁度いいぐらいのイケメンへアースタイルになったのだ。そこら辺のモブのような女に目を合わせるだけで、歓喜狂気殺意を通り過ごして卒倒するぐらいなのだ。そう思っている。最後の二つを思っている時点で歓喜を何十倍に上書きする程のものがあるのだがフェルは気付かない。だってなんか知らんけど女に殺意がわくんだもの。女を見るのだったら男を見てた方が……
こ の 事 だ っ た の か
うん、まぁ、そう言うことなら男の方にいってもしょうがな……くはないけどな。うん。
そこら辺の女なら一秒と掛からずに落とせる(自称)と、豪語するが寄生虫のように毎日を過ごしてきたドールには効かないわけで……。多分、驚いているのは“怒らない”の部分にだろう。そう、俺は仏だからなぁ!これまた自称だが。
「えっと、魔法を支配する権利をあげてたんですがその内の“火”風“土”はさっき吸収して奪っちゃいましたし水は私ですし。言っちゃうと権利を回収するついでにその属性を扱える権限も奪っちゃいましたした。てへ」
てへぺろと許しを貰おうとするがそんな事で許す俺ではない。怒らないと言ったな?あれは嘘だ。
流石にこの場で怒鳴ったりはしないが……っと、確かに他の属性も使えないな。上位はもっての他。普通の火とかは取れそうで取れないあの神経を逆撫でするような感覚になったのだが上位はその取れそう、という感覚すらなかった。お前は俺から全てを奪っていくつもりなのかドールッ!損害賠償とかで一生暮らせないかなぁ。
意外と冷静なのには訳がある。敵地に素っ裸で立たされているようなものなのだ。後ろを振り替えればまた、広大さだけが取り柄の大地が広がっている。帰り道はない。
いくら完全無欠の他力本願主義な俺でもこの便りになりそうかよく分からないドールの影で隠れている、ということは出来ない。普通に流れ弾で死にそうだもん。
基本のグーチョキパー並の属性を奪われたのだが忘れてはいけないあの二つを。一つが存在すれば必ず生まれ、片方が大きくなればそれに比例して大きくなる。云わば勝つための最終兵器。陰と陽、光と闇。そう、新たな力は光と闇なのだぁー!っと、盛り上がるとこなんだけど既に盛り上がりどこの前で言っちゃってるから意味がない。まぁ、終わり良ければ全てよし子って言うしね。