↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
140/144

玉座にいるぞ、気を付けろ!

 よし、そしたら早速やってみよう!ってな訳で魔王に有効そうな光の魔法を試し撃ちすることに。ドール曰く「勇者の特権で聖属性……性的な意味じゃないですよ? が使えるのですが先代勇者は社会的に死んでいるので聖剣が使えるフェル様が泣き崩し的に使えるようになったのですよ!」と、言っていたのでいきなり上位属性を扱えることになった。なんだよその譲渡制。勇者の社会的に死んだってのは……王都関係だよな?別に名前は関係ないよな?絶対と言えない辺り痛々しさが垣間見れるな。むしろフルオープンな感じで精神衰退しているな。恥を知ろうぜ……。

 呪文もなにも結局は雰囲気作り的な意味合いが強かったらしく、特に呪文を言ったから魔法が強くなる、そんなことはないみたい。実体験けどね。元凶は母親である時点で確信犯だな。絶対狙って嘘吹き込みやがったな……と、魔法の使い方を教えてもらった恩を忘れ、仇で返しそうになったが俺の第二の理性のおかげで踏みとどまれた。もう、この怒りを魔王にぶつけるしかないねっ!今この段階で悪と断定したけど恨まないでよねっ!


「まだですかね?」

「もうすぐだよ……」


 なかなか始めないことに疑問に思ったのかドールが聞いてきたので軽く流した。独り言としては出てないけど恥ずかしいね、これ。

 っと、ドールの言う通りまだですかね?と言われるまで溜めたのだ。すぐ、ポンっとでるだろう。そんな淡い期待を抱きながらかっこいいという理由で柄の部分しかダメージ与えられなさそうな聖剣(笑)を構え、聖的なイメージを固める。次はどんな娘が出るんだろうか?聖属性ってやっぱり聖女さんとか?いや、神官さんとか?どっちにしても神に従えてそうだしドールの影響を受けてないといいなぁ。っと、性別は女固定で考え始めている辺り、水のホモ事件のことはすっかり忘れているのだろう。本格的に淡い期待になってきた。

 聖……と、言えばなんだろう?勇者?絶対不変の圧倒的守護者で弱き者の味方……かな。若干古い感じがするし、言ってしまえばオラオラ系の勇者も流行ってきていると思う。おら、魔王さ討伐に行くだ。そっちのおらじゃねぇな。


 俺の想いも伝わってか先っちょがなかった剣から全身を覆うように光が伸びてきた。

 シュルシュルー、とプリなんちゃらとか制服でムーンが変身する際に真っ裸になって謎の光が体に引っ付く。そんな変身音が聞こえてきそうな程、鮮やかに軽やかに覆い尽くす様はまるで補食されているよう。

 柄から出てきた光が全身を覆い尽くし、完全な光と化した時、パリーンとなにかが割れるような音が聞こえ、視界さえも覆っていた光が一斉に見えなくなった。


 「……なんじゃこれは」


 純粋に疑問に思ってしまい、声が漏れる。

 確かに、一般服……まぁ、外出用の服で防御力皆無だった筈の服の上には白銀の鎧があり、貧弱ぅとまではいかないものの魔法使いゆえの細すぎる腕にはこれまた白銀のガントレットが装着してあった。普通、鎧と言うものは激しく重く、普段から着ていると言うことは無い筈なのだがこの白銀の謎の鎧シリーズは嘘のように軽かった。一切、重さを感じられず、むしろ普段より身軽になったと感じられる程であった。この状態だと全身覆ってんのかな?そう、思いガントレットをはめた状態で全身を触ってみようとしたが……残念、右手には見覚えのある柄の先から細身の、だがドールが生み出した光によって爛々と輝く様子は待ち望んでいた主に合えた喜びかと思えた。んだけど確実に俺って外から見ると白銀の騎士だよな。一切剣使った……ことはあったか。でも、確実に忘れてるぜ?


 そんな突然白銀の騎士に変貌したフェルを見て、驚きが隠せない様子のドールだったのだがいくら覚醒しても時間は止められない。そんなことを物語るかのようにフェルが落とした剣が剣先から地面にあたり、キンッと音がする筈だったのだが……


 ズブリ、そんな擬音が聞こえてきそうな程綺麗に突き刺さった剣。これはこの剣が特別切れ味が良いのか、地面が柔らかすぎるのか。だが、その場合何故このように立っていられる?もしかして……

 微かに抱いた疑問が本能と一致し、反射的にドールの腕を掴み刺さったまんまの剣の持ち手を強く握った。その瞬間、狙ったかのように地面が傾きだし……いや、背中(・・)が傾き、地面に横たわっていたモノが立ち上がる。


 咆哮。

 言葉にすれば簡単だが実際は鼓膜を、いや脳内を直接揺さぶるような声に全身を強張らせる感覚に陥る。だが、右手に掴んでいるドールも左手で刺さっている剣にも手が放れていなかった。

 安堵も束の間、謎のモノが立ち上がったせいで背中付近に刺さった剣がゆっくりと、だが着実に重力に従って下に落ちていく。モノを切り裂きながら。


「あ、あれが私達が倒す相手、魔王ですッ!」

「デカ過ぎない? 純粋に成長してそうなったのか謎なんだけど」


 多分違うと思いながら呟く。

 魔王、玉座に座ってふんぞり返りながら待っているものだと思ったら地面に横たわっていた。普段なら笑って腹抱えそうな程滑稽で無様な姿、王なのに倒れているとか……お仲間さんどしたの?もしかしておいてけぼり?ハッ、と言いたいのだが大きさがヤバすぎた。どのくらいヤバイかと言うと……あー、うん。兎に角ヤバい。全身から石油を垂れ流すかのような黒光りする巨人なのだが俺が流れ的に切っている感じの部分が痛いのか内蔵を音で壊すのか、と冷や汗で問い掛けそうな程低い、時なりのような音を奏でている。奏でるっているか鳴らしているって感じだな。


「これって討伐報酬とかでるよね……? タダ働きで超時空生命体的なノリの巨人と戦わせるとかブラック通り越すぞ、これ」


 うんともすんとも言わないドールは絶賛空中に取り残されていた。魔王――巨人が動いている最中に手離してしまったのだ。おうふ、これって俺も空を飛ばなきゃいけない系ですか?ですよね……。

下からでした

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。