プロローグ
『リアルファンタジー・オンライン』
一神秘の森:西端・獣道付近
樹々の鬱蒼と茂った森の獣道付近の樹の上に一人の男がいた。
細められた目は鋭くその奥にある真紅の眼と漆黒の眼、スッと通った鼻筋と薄い唇は清潔感がある。10人に聞けば9人はイケメンだと答えるだろう。そして何よりも特徴的な耳、大きさは人と同じではあるが鋭く尖っている。
忍び装束のような漆黒の服は男の体に密着し、その下にある細くも引き締まった肉体を浮き上がらせている。また、両手の親指以外の指には銀色の指輪をつけている。
男は冒険者の格好をした2人が視界に入ると、顔の下半分を隠す骸骨の口が描かれたマスクを付けると口を開いた。
「あ、カップルかよ。なるたけ嬲って殺そ。」
この男こそRFOにおいて発売時から4年間、世界ランキング8位を守り続ける王国所属の冒険者。
本名、「鷹鳴 日向」プレイヤーネーム、「ラネット・ルシアス」またの名を『暗殺者』、である。
ちなみになぜルシアスが2人がカップルだと気づいたかというと、2人が装備しいてる指先である。
アイテム名を『結婚指輪』装備したところで何の補正もないただ装備領域を食い潰すアイテムであり、ルシアスみたいな「ゲームは現実であり遊びじゃねェ!!」なんて言ったりする。ゲームガチ勢からするとゴミアイテムである。まぁ負け犬の遠吠えともいうが。
ルシアスは太股につけたポーチから投擲用のピックを二つ取り出すと、同時に取り出した赤い液体の入った小瓶にピックの先をつけ、液をピックに塗り付ける。
そして、ルシアスに気づかず獣道を進んで来る2人に向かって、投げる。
周りを警戒せずに歩いていた2人は、突然飛んできたピックにダメージ判定をもらい、焦り警戒し周りを警戒するが、敵に備え抜剣したところでその場に崩れ落ちる。
2人の自由を奪ったもの、それは『毒』である。
ここで1つ疑問を解消しよう。
なぜルシアスは『調合師』という非戦闘職でありながらページワンにまで上り詰めるたのか?
その答えは、『徹底した偵察』と『毒による敵の弱体化及び無力化』そして公式チートとまで言われる『プレイヤースキル』である。
2人を無力化した事を確認したルシアスは樹から飛び降り2人に近づく。
「だ、誰だ。姿も見せず卑怯だぞ」
「ちょっと、どうなってるのよ」
『卑怯』一般人からしたら侮辱されたと憤るが、ルシアスは罵倒されても薄く笑うだけだった。なぜなら彼からしたら『卑怯』『卑劣』『狡猾』などの言葉は褒め言葉でしかないからだ。
ルシアスは五月蝿い男の顔に蹴りを入れ、女の子方を向く。
「ッ!来ないで、来ないでよ!!」
女は必死に喚くが、ルシアスは薄く笑みのまま女に近づき、右足を振り上げた
「嬢さん一緒にあそびましょッ、と」
そして軽い台詞と共に右足で女の頭を蹴り抜いた。そしてそのまま男に見せつけるように女を蹴り続ける。
「__ガッ。やめッ!痛い、痛い、痛い、痛い」
「やめろ!!彼女を蹴るな!!」
男が怒り喚くのを見てルシアスは笑う、女が涙を流し懇願しても蹴り続ける。
しかしルシアスはしばらくすると、蹴るのやめた。
「2人共イイ声で鳴くね☆もう飽きたけど。じゃバイバイ。」
そして、どこからか剣を取り出し、2人の首を斬り飛ばした。
首と胴が離れた2人はそのまま光の欠片になって消えていった。
◇■◇■
「はぁ、手応えなさ過ぎだろ。経験値も全然増えないし、やっぱり、もっかい魔王殺すかなぁ。」
伸びをしながらさらっと魔王を倒すと常識外なことを呟くルシアス、彼は『魔王殺し』の称号を持っている。
「魔王領行くかな〜。しっかし、運営からしたら正面戦闘じゃなく暗殺で魔王が殺されるなんて思わなかったろうな。」
ルシアスはストーリーを無視しソロで魔王城に忍び込み、魔王が一人のになったところで暗殺したのである。
そしてルシアスが魔王を倒した事は運営によってRFOの全土にアナウンスされたのである。
ちなみに魔王を倒そうと以前、ページワンが臨時パーティーを組んで正面から突撃した事があるが、見事に惨敗している。
「なぁ、お前もそう思うだろ、ウヴァ。」
誰かに向けてルシアスが声を投げかけると、空から一匹の鴉が降りてきた。
ウヴァと呼ばれた鴉は、ルシアスの肩に止まり、一言鳴くと頭をルシアスの頬を擦りつけた。
ウヴァ、その名前の由来は大空から偵察を行うUAVである。VとAを入れ替えて、そのまま呼んだだけの名前だが、ルシアスは以外と気に入っている。
ウヴァの頭を撫でながらルシアスは歩きだす。
しかし数歩も行かないうちにルシアスは立ち止まった。
「なんだ、今のノイズ?RFOに限ってバクなんてないしな。接続不良なら面倒だしな、一旦落ちるか。」
そう言い、システムメニューを開きログアウトを操作する。
◇■◇■
目を開けると、白い天井が視界にはいる。見慣れた自宅の天井だ、ログアウトできないなんて事はなかった。
日向は体を起こし、腕に刺さっていた点滴の針を引き抜いた。
「ッ痛〜。点滴はいいけど刺す時と抜く時がアレだよなぁ。」
ん?自宅で点滴って病弱なのかって?いや、RFOにログイン中に水分補給しないと水分不足で安全装置が働いて強制ログアウトさせられるからな。
そう、鷹鳴 日向は重度のネトゲ廃人である。一日平均ログイン時間は14時間、食事は親戚の医者から買った点滴という食事すらしないキング・オブ・廃人である。両親は既に多額の死亡保険を残し他界しているので日向を止めるものはなく彼の廃人化を加速させた。
とりあえず、接続不良じゃないか確認しないとな。イベント中に落ちたら本気で死ねる。
ヘッドギアの接続を確認し終わった日向はトイレに行き、戻って来るなり腕に点滴を刺しヘッドギアを被り、ベットに横になった。
「システム・リンクスタート。ゲームログインスタート。」
いつも通りログインをする日向。
しかしらログインが完了すると同時に、彼の体は光となって消えていった。
◇■◇■
「ログイン完了っと。アレ、ここどこだ?」
周りを見回すが30分ほど前にログアウトした神秘で森ではない。森ではあるが、樹々の葉の色が違う、神秘の森では青々としていた木の葉がこの森の場合、毒々しい紫の葉脈が見られる。
ウヴァも肩に止まったまま辺りを見ている。
「・・・これは、システムエラーか?」
いくらRFOがバクが少なくても0ではない。ごく稀にこういったログアウトした場所に戻れないといったバクがある。
日向改めルシアスはシステムメニューを開く、しかし、出た表示は・・・
「け、圏外!?いやいやいや、ログイン出来てるのに圏外って・・・。」
日向は一瞬焦るが、こめかみを人差し指でトントン叩きながら、脳内の知識と現実の状況を冷静に統合していき、1つの仮説をたてる。
そして仮説を証明すべく短剣を使い指を切る。結果、痛みと赤い血がでる。
その様子を見てルシアスは確認する。本来なら赤いダメージエフェクトとささくれを剥いた時のような痛みのはずだからだ。
「異世界転移か。・・・てことは・・・俺の時代キタァーーーー!!」
彼が出した結論、それは『なろう』で一世紀ほど前に流行っていたというジャンルの話が自分の身に起こったのでは?というものだった。
日向は急ぎルシアスのステータスを確認した。
レベル:649
名前:ラネット・ルシアス
種族:デミヒューマン(ハーフオーガ)
職業:調合師(伝説級)
称号:魔王殺し.暗殺者.毒使い.不老
能力値
筋力:1860+(60)
耐久:1990+(40)
俊敏:2640+(110)
特殊技術
魔眼.ポーション制作.毒制作.調教・弱
召喚獣:鴉
「あれ?称号とスキル増えてないか?あとウヴァって召喚獣扱いなのね。」
ルシアスは疑問を解消すべく称号とスキルの詳細を見る。
不老:老いることがなくなる。魔王を討伐し神より与えられた称号。死なないわけではないので注意が必要。
魔眼:魔王の眼。この世のあらゆる物を知る眼。力無きものはこの眼で見られただけで昏倒するであろう。
「・・・不老はいいとして。魔眼使えねぇええええ!!え?なに?人里に行くなと?なにこれ?鑑定眼の下位互換じゃねえかよ!!」
何いらねえモンよこしてんだ!!と運営を罵倒したあとにルシアスは肩で息をしながら眼帯をアイテムボックスから出す。そこで溜息1つ。
「はぁ。なんで眼帯とか持ってるんだよ。いや入れたの俺だけどさ。」
ぶつぶつ文句を言い眼帯を付け、ウヴァに空から現在地を教えるように指示をだす。
5分後、分かった事はここが王国の南4キロほどの伏魔の森だということ。そして思った以上にホームに近いことを知ったルシアスは楽しそうに笑った。
「アハハハ。行くぞウヴァ、異世界なんてワクワクするじゃん。」
「****」
ウヴァの了解を示す鳴き声を聞き、ルシアスは鍛え上げた俊敏に任せ、全力で王国に向かい走り出した。
RFOではレベルが1上がるとポイントを10もらえす。そしてプレイヤーはそのポイントを腕力、耐久、俊敏、に好きに割り振りプレイしていきます。
ルシアスはAGI特化型ですね。
( )の数値は装備品による補正値です。
ルシアスが調合師なのに調教の能力を持っているのは、暗殺者なら鴉とか猫とかを飼いたいという一心で頑張ってウヴァ(野生のモンスターの時)に餌付けをして仲良くなったからです。
RFOの詳細なストーリー、ゲーム設定などは後々まとめて出したいと思っています。
次話、エルフっ子がでるとかでないとかそしてルシアスの公式チートがなんなのか分かります。




