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魔法と闇と絶望と  作者: 凛莉
最終章~騎士と王~
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第52話 幼馴染と親友


それから僕達は、クラクサスを探す為にそれぞれ捜索していたが、

中々足取りは掴めずにいた。



「どこに居るんだろ」

〈多分、世界を点々と、していますね〉


「レヴィン、大丈夫?」

〈大丈夫、ですよ。 メンテナンスも異常は無かった、みたいですし〉


うーん・・・ポツポツと途切れてるなぁ。

レヴィンのフルメンテナンスをしたが、どこにも異常が無かったし、スピリーツから見ても

異常は無いとも言ってたんだけど・・・

何でだろ?



「ふー・・・。二人共、どう?」

「そうね・・・私は収穫ゼロ」


〈私もです。 そういえば、マスター この間の本は、変化ありましたか?〉


あっ、そういえば、そのままローブの中に仕舞いっぱなしだったっ

よ・・っと、これだこれ。


ついでに一緒に出てきた、蒼の森で取った金リンゴを一つ千切って、一口齧る。

ん、美味しい。


表紙を捲ると、そこには今まで無かった字が書いてあった。


「字が浮き出てるわね」

〈日本語・・・ではなさそうですね。 これはっ・・・!?〉


「・・・!!」

レヴィンとスピリーツがとても驚いている。

僕もその文字を良く見たとき、驚いた。


どこか懐かしい、馴染みがある文字。

不思議とスラスラ自然に読める。

見た事は無い筈なのに、見た事がある。

何て矛盾・・・



兎に角これに書いてある文を読もう。


「二つの魂宿りし身体。漆黒の翼を纏いし騎士、その翼は喜びに満ちて枯れる」

「懐かしき影に涙しその身、呪いから開放され」


〈あるべき姿へ戻り、憎悪に溺れし悲しき人型を、希望を、目に宿して〉


「「<打ち倒せ>」」



漆黒の翼・・・多分僕の事、だと思う。

騎士というのは良く分からないけれど、まぁリーディの前世かな。

二つの魂も、僕とリーディ。


喜びに満ちて枯れるって事は、何かいいことがあるのだろう。

懐かしき影、呪いもリーディの事だね。

僕は泣くほどの人と出会ったことも無いし。


そして憎悪に溺れし悲しき人型は・・・もしかしたら、いや、そうだと思う。

クラクサスの事。


そして何かがあって、絶望から希望に変わった僕かリーディが、

クラクサスを打ち倒す。というか殺れって感じだね。


「最後の文からして、予言かしら?」

〈それっぽい、ですね・・・〉


「うん。僕もそう思う。 でも次のページは?」

次のページからはミミズのような文字がビッシリと書いてあってよく分からない。


「二人共、これ読める?」

スピリーツの方へ本を向け、レヴィンもよく見えるようにする。



スピリーツは首を横に振って、

「無理ね。見た事が無いわ うーん・・・この4000年間ずっと旅をしてきたのだけれど」

「4000年? そういえば神の魔導書って言ってたっけ」

〈そうだったんですか。 神が創ったと言われてるのですが、結構最近なんですね〉


いやいやレヴィン 全然最近でもないから。

・・・いや、でも神様単位だと最近・・・かな・・・・?



「んー・・・そうねぇ・・・私を創るのに大分掛かったみたいよ。それはもう昔の昔からね」

「ふぅん」


そういうものかなぁ。


〈私も読めませんね・・・色々調べてみたのですが、見つかりませんでした〉

「レヴィンありがと」

〈・・いえ〉


少し照れくさそうにするレヴィン。

うーん・・・ん?


本のページが丁度半分程になった頃、


「あっ、マスターここ、ここ!何か書いてあるわよ」

スピリーツが指差したページには、日本語でしっかりと


『レクイレーチェ』


そう書いてあった。


ふとスピリーツの顔を見ると、眉間に皺を寄せ、厳しい顔をしていた。

僕もこの文字を見た時、とても虚しく、悲しくなった。


〈レクイレーチェ・・・世界、名ですね・・・そしてこれは・・・・〉



「初めてリーディと私が出会った世界」



スピリーツが小さな、少し震えた声でそう言った。


















「はじめまして。 貴方の名前は?」



まだ幼い少女が、少女よりも幼い少年に話しかけた。

本を読んでいた少年は急に離しかけられて驚いたのか、ビクリと身体を震わせてから、少女の方を向いた。




「・・・だれ?」


「わたしの名前は、スピリーツ スピリーツ=ディスチェラーシオ!」


少年は恐る恐る自分の名前を口にした。

「僕はスリーデニィ=タンティース・・・・ようけんは、何ですか・・?」

「わたしと友達になって欲しいの!」


暗い顔をしていた少年は、きょとんと驚く顔をする。

「友達・・?」

「そ、だから一緒にあそぼ?」


「でも、僕はきたないって・・・だからあそんじゃダメだって・・・」

少年はまた暗い顔になり、俯いてしまう。


少女、スピリーツはいきなり少年、スリーデニィの両手を取った。

急な出来事にスリーデニィは驚き振り向く。目を丸くさせていて、何が起こったのかまだ把握し切れていないようだ。


「汚くないよ? スリーデニィはとてもキレイだよ。そんな卑屈にならないで、人生はたのしく生きなきゃ」

「・・ひくつ?」

スリーデニィは「卑屈」という言葉の意味を知らないようだ。


スピリーツはそのままスリーデニィの手を取ったまま、立ち上がと、スリーデニィも引っ張られて立ち上がる。



「わたしは5歳だよ。スリーデニィは?」

「僕は4つ。 スピリーツさんはお姉さんだね」

そうスリーデニィが言うと、スピリーツは手を離して、くるくると踊る。



「一つしか違わないんだから気にしない~!後「さん」付けはダメ~!」

「・・分かった。よろしくね、スピリーツ」


「ふふ、こっちこそよろしくね、スリーデニィ!」

くるくると回っていたスピリーツは、スリーデニィの方を向いて止まる。




ニッコリと少女、スピリーツと少年、スリーデニィはニッコリと笑った。















「そうなんだ・・・ というか、スピリーツはリーディを知っていたんだね」

「あら、言ってなかったわね。 そうね・・・私が1000か2000位の時かしらね?

10年以上の付き合いだと思うわ」


へぇ・・・幼馴染みたいなものかな?

それにしても、リーディって思ったよりも大分昔の人なんだね。


「でも何でその世界の名前が・・?」

〈私の勘ですと、恐らくそこにクラクサスが居ると思われます〉


・・・成る程


「予言の文面、意味不明の文字列、そして世界名・・・・文字列は分からないけれど、

予言と世界名を見れば・・・そうかもしれないわね。 でも、よく見つけたわね・・・

あの世界はとても見つけにくい場所にあるのに・・いえ、ランダム転移での可能性があるわね。


・・・・それにしても、まさかまたあの世界に行くなんて」


「? あれから行ったことがあるの?」


スピリーツは困ったような笑いを見せて、

「えぇ。リーディが居なくなった後に1度だけ。

あの世界はもう生物が居ない荒れ果てた世界になってしまっていたわ」


「世界の終わりが来たとき、私はその世界に居なかったけど」と付け足した。



〈・・・そう、なんですか〉

「レヴィン?」

レヴィンが何故か少し寂しそうな声を出した。


〈いえ、何でも有りません〉

「まぁ、言いたくないのならそれでいいんじゃない?」


〈すみません〉

「そんな謝らなくていいよ」

「・・ふふっ、本当に仲が良いのね、貴方たちは」


スピリーツがクスクスと笑っている。


「まぁ、何だかんだで長い付き合いだもんね」

僕はレヴィンにそう話しかけた。


〈そうですね。ある意味私とマスターは『幼馴染』という関係なのかもしれませんね〉

明るい声でそう答えてくれるレヴィン。

昔はもっと機械的な声というか、感情が結構堅苦しかったんだけどねー


「ふふっ、そうかも」

「じゃー私は親友ね!マスターとレヴィンのね」

〈そうですね!では、これからも宜しくお願いします。マスター、スピリーツさん〉




それから幼馴染で親友のレヴィンと、親友のスピリーツと僕の3人で暫く笑いながら話をした。






スピリーツはソファから立ち上がり、キッチンへと向かおうとする。


「もうこんな時間。 今日も私が夕飯を作るわね」

「いつもありがと、スピリーツ」


ユズキ達が来てから、2日経った日に、スピリーツが僕の生活に驚いて、ご飯を作ってくれるようになったのだ。

あの時食べたご飯は、あんなに美味しい物かと驚いたよ。


「全く・・・幾ら空腹を感じない、食べなくても生きてはいけるといっても・・・

食べるのと食べないのじゃ幾らかは変わるのよ!?」


キッチンからトントンと材料を切っている音がする。

数十分後には、キッチンから良い匂いが漂ってきた。



「さ、出来たわよ。 今日はシチューと、ライ麦パンよ」

いつもスピリーツの作る料理は、質素だがとても美味しい。

今日も大きなお皿にたっぷりと入っているシチューが凄く美味しそう。


シチューとパンの組み合わせって凄いよね。


「さ、頂きましょう」

「はーい」


「「いただきまーす」」



・・・んまいっ!



「んー・・・近いうちにはユズキちゃん達に連絡して、レクイレーチェに行ってみましょ」

「そうだね・・あ、飲み物お代わりいい?」


空になったコップを差し出すと、スピリーツは受け取って水を入れてくれた。

お茶とかジュースでも何でもいいんだけど、スピリーツが言うには

「やっぱり人間水が一番」らしい。



まぁ、料理が美味しいからいいんだけどね








あれだけ沢山入っていたシチューももう空っぽで、パンで拭うようにして最後まで美味しく頂いた。


「ふぅ、ご馳走様、美味しかったよ」

「お粗末さまでした。 ありがと ・・明日はオムライスにでも挑戦してみようかしら」


「本当? 楽しみにしてるね」


オムライスは定番料理だが、僕はまだ食べた事が無い。

卵系は基本的に好きだから、とても楽しみだ。






その後も少し話し合って、3日後にユズキ達に連絡を入れることにした。

ちなみに、あの「レクイレーチェ」が書いてあったページから後ろは全部白紙だった。


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