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魔法と闇と絶望と  作者: 凛莉
最終章~騎士と王~
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第51話 特定




「リーディ・・?」

〈様子が・・・おかしいですね〉


光の無い目で何も無い空間をただボーっと見つめていた。

しっかりと手に本を持ちながら。


「・・・毒を、早く取り除かないと・・・・」

ボソボソと何かを呟く。


「大丈夫・・?」

スピリーツは顔を顰める。


〈スピリーツさん、本が・・!〉

レヴィンがそう言うと、スピリーツもリーディが持っている本を見ると、

驚いた顔に変わる。


「何これ・・・」


本が黒い光を纏っている。

それは靄のように怪しく蠢いており、とても不気味だ。

その黒い靄は、本を持っているリーディの腕に纏わりついている。

よく見ると、何かが本に吸い取られているようにも見えた。


〈・・・急速に、リーディ(・・・・)さんの魔力が減少していますね〉

「まさか魔力まで二つだなんて、・・驚いたわ」

腕を組むスピリーツ。どうなるか見守っているようだ。


〈リーディさんの魔力が、尽きそうですね・・・〉

「えぇ。もう一般人レベルよ。少し魔力が多いだけの、ね」

レヴィンとスピリーツが呟いていると、リーディが動いた。


本をよく見えるように胸元まで上げた。

目も本を見ているが、何処か別な所を見ているようにも思える。


「・・と・・・・・か・・さ・・る・・・」

何か呟いたようだが、掠れていて聞こえない。



「・・・聞こえた?今の」

〈いえ、聞こえたのは「と」「か」「さ」「る」・・・「される」でしょうか〉


「される・・・? 何かしら」

〈まぁ、何時までも、気にしてても仕方ありませんね〉


「それもそうねーっと、終わったみたいよ?」


いつの間にか靄が消えていた。

背にある大きな翼も、今では2枚合わせてもリーディの両腕程の長さしかなくなっていた。

その翼も黒い光を放ち、光の粒となり、そのまま消えた。



ふらりと雪矢が倒れる。

スピリーツが受け止め、そのままリビングへと向かい、ソファに寝かせる。



〈取りあえず、ユズキさんに連絡を入れましょう〉

「そうね。 アイツを取っちめる為にも情報が必要だわ」


「少しお茶でも飲もうかしら~」

スピリーツは鼻歌を歌いながら台所へと向かった。









~ユズキSide~



「・・・という訳で、今日はここまで!皆お疲れ様!!」


『ハイ!』


うんうん。元気があって宜しい。

教え子達が訓練室を出る。


マーレちゃんがふぅーとため息を吐いて肩を回す。

「皆大分強くなったわね・・」

「そうだねー。 若いと成長も早い!」


「何よ、私がもう若くないっての? ・・・まぁ、あの頃が一番伸びてたわね」

「マーレちゃん・・・私もだよ・・・・」


そういえば全然変わってないなぁ・・・

マーレちゃんとの初任務の時が懐かしい。

あの頃のマーレちゃんは凄く新鮮だったのに今じゃ私と同等。



〈マスター。レヴィンから連絡が入りました。家に来て欲しいとの事です〉

首元からスティラがそう教えてくれた。


「あら、レヴィンって事は・・雪矢ね? 何かしら」

「とりあえず行って見よっか。 そうだ、アールちゃん達も誘ってみようかな」


「そうね。3人ともこの後はフリーみたいだし」

えっ!?そうなの?!


「何で知ってるの?」

「それはスケジュールを見せ合ってるからよ」


「えっ、私だけ仲間はずれなの・・?!」


ショック・・・・!!


「いや、アンタは私と同じでしょ」

「あー・・それもそっか」

同じスケジュールを2つ見せても意味無いもんね。


ふとマーレちゃんを見ると、アクアと話してるみたい。

終わったのか、こちらを見る。

な、なんだろう・・


「何見てるのよ? 星武達には連絡したから、すぐに此処に来ると思うわよ」

「あーい」


マーレちゃんは行動に移すのが早いんだよねー

私はいつも少し迷っちゃう。




「おーっす」

「「やっほー」」


暫くすると、星武君とアールちゃん、ソーミィちゃんが訓練室にやってきた。


「今日も息ピッタリね」

「本当になー。 今は見分けが付くけど、俺昔はしょっちゅう間違えそうになってたからな」


え?

「星武君はいつも当ててたじゃん! 私なんて昔は本当に間違えてたんだから!

でしょ?アールちゃん!!」


アールちゃんの方を振り向く。


「私、こっちだよ」


呆れたような声で隣に居たソーミィ・・・アールちゃんが言った。


「今も間違えてるじゃない」

「あううっ」



「いやー、ユズキが公式の場でも間違えるとは思わなかった」

「ううっ、もう忘れてぇ・・・・」


顔が熱くなり、両手で顔を隠す。

・・・絶対今真っ赤だ



「兎に角まぁ、転移していいかー?」

「いいわよ」


「じゃあ行くぞ」


どーんと気の抜けるような声で転移を開始した星武君。


こんなんでいいのかなぁ・・・。















「ん・・・あれ、そのまま寝てた?」


最近寝っぱなしだなぁ・・・

起き上がると、緑茶のいい香りが漂って来た。


「あ、マスターおはよう」

〈お早う御座います。 ・・・そろそろユズキさん達が来ると思いますよ〉


「えっ、本当?」

僕そんなこと言ったっけ?


「あぁ、情報聞く為にね。レヴィンが呼んでおいたのよ」

ズズ・・とお茶を飲んでいるスピリーツ。


「そうなんだ・・・ってあれ、もう来たかな?」

〈来たようですね〉


ソファーから立ち上がり、玄関へと向かうと、丁度ピンポンとインターホンが鳴った。


「はいはーい」


扉を開けると、ユズキ、マーレ、アールにソーミィ、星武が立っていた。

勢揃い。



「まぁ取りあえず入ってよ」


「じゃあ遠慮なく~」

ユズキがそそくさと家の中へ入る。

その後ろから皆も続々と入ってきた。


「前に来たときは余裕無かったけど、こう見ると凄い豪華だよねぇ」

「そう?」


「十分デカいわよ」

マーレが呆れながらに言った。


「いらっしゃーい。 まぁま、ここに座って座って」


「なぁ、アイツ誰だ?」


「ふっふーん。私はスゴーイ魔導書なのよっ!」

どうだっ、という顔をしている。


「まぁ、雪矢君の所に居るし・・・」

「そうだねぇ・・・・」

もう全員呆れてる。


「えっ、何その反応?!マスター過去に何やったのよ!?」

「そんな急に言われても・・・色々やったし・・・・・」


うん、色々ハシャギすぎたかも。





ユズキ達がソファーに座る。

スピリーツが全員の前にお茶を出す。


その時には皆真剣な顔をしていた。


「それで、私達を呼んだ理由は?」

「うん。前の襲撃事件のヤツ。 あの犯人の情報が無いかなと思って」


ユズキが首を傾げる。

「どうして? あんまり雪矢君が関わる事でもないと思うんだけど・・・・」


「そうでもないのよ。私を猫に変えた憎いアイツをボッコボコにするのよ!」


「へ? 猫ってもしかして、あの黒猫ですか?」

アールがビックリしている。


「そうだよ」

僕が肯定すると、ソーミィとユズキが驚く。


「本当!?」

「そうだったんだ」


「本当にもう、猫の時の記憶が全く無いのよ。 ソイツが「キヒヒ」という変な笑い方をしているのだけは覚えてるのだけれど」

「あっ、そいつだよな。犯人」


やっぱりそうだったか。


「えっと、名前はクラクサス=セリラルハコラベ。

女の人みたいなんだけど・・・アンドロイドっぽいの。

出身・・世界は多分ディスティーノかな」

「そうなの? 探し物してるときにちょっと行ってたんだけど・・」


その世界だったんだ・・

偶然ってのは結構あるもんだね。


「雪矢君は世界単位で探し物するんだね・・・。まぁ、まだ行方を掴めてないんだけどね」

「異世界をポンポン渡り歩くってのも夢だよなぁ」


「まぁとりあえず、名前が分かったから後は絞り込むだけね」




「まぁ、お手柔らかに頼むよ。 殺されちゃっても困るから、コッチがね」



スピリーツは少し考えると、


「・・・分かったわ。 手が滑らなければね」


(滑らしそうだなぁ)


全員の心の声が完全に一致した瞬間だった。



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