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魔法と闇と絶望と  作者: 凛莉
第三章 ~騎士と本~
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第43話 運命-別れ

いつ終わるかまだ未定で、どの位続くのかも決まっていないので

前編の所を少し変えました。

「ノワール、どうしたの?」


「うー!」

ノワールは僕のローブの裾を噛んで引っ張っている。


「もう、そんなに引っ張らないでよ・・ どうしたの?」

僕はローブの裾を噛んでぶんぶんと首を振るノワールを抱き上げた。



「にゃっ」

ノワールはジタジタと暴れたと思ったら、飛び出してしまった。

その先には、アンサが居た。


「なっ?!」

アンサも急な出来事に驚く。

僕はノワールを止めようと手を伸ばすが、この身長と腕じゃ全然届かなかった。

普段は気にしないけど、こういう時に困るよねぇ・・・。

うぅん、間に合わない! このままだとアンサにぶつかっちゃう!




「うにゃぁ」



ノワールはアンサが持っていた本の中に吸い込まれるように入っていってしまった。

〈・・・これは! 魔道書の魔力反応が極僅かですが有ります!〉


「つまり、どういう事?」

〈これはつまり・・・「うわっ!?」


ジャラ、ジャリンと金属同士がぶつかる音がして、地面にドサリと落ちた。

「鎖が外れた・・?」

「あれだけ丈夫な鎖がこんな簡単に・・ あ、本の鍵は掛かっていてまだ開けません」


〈ノワールは本の一部なんでしょうか?

この魔道書は何者かに封印されていて、ノワールがその鍵の一つ・・・とかでしょうか〉

多分そんな気がするなぁ・・


〈・・前から不思議な事はありましたが、また謎が増えました〉

本当に・・猫らしくないとは思っていたんだけど・・・・


何で僕の所には“普通”が居ないのかな?

・・・もしかして、『類は友を呼ぶ』ってこの事?

僕は普通じゃない・・のは知ってるけど・・・



「それにしては普通の猫・・・にしか見えませんでしたね・・・」

アンサはじっと手に持っている本を見つめている。



「少し話が変わりますが」


「うん?」


アンサは僕の方へ向いた。







「ルナティアへ戻り──旅をしようと思います」

「・・旅?」


アンサは頷いた。

その顔は真剣そのもの。




「まだまだ未熟ですが、このままくっ付いているだけでは強くなれません。

私は私なりの方法で力を付けようと思います」



ふむ。


「ルナティアはその一歩。その旅が終われば私はまた、違う世界で旅をします。

ですが私はまだ世界移動の術を持っていません。

最後にご教授、お願いします」


「その役割はレヴィンだね」

〈おぉ、力を出せる時が来ました!〉


レヴィンをアンサに向ける。

すると赤い宝石の一つが赤く光る。

その光は、アンサに向けられていた。




「これが・・・」

〈これで大丈夫ですね 寂しいですが、頑張って下さいね〉


そうだね、僕も止めはしないよ。

去る者は追わず、ってね


「いってらっしゃい、頑張ってね。 でも、死んだりしたら許さないよ?

僕のお弟子さんなんだから!」

「・・。 はい、死ぬつもりは元から御座いません」


アンサは本を差し出す。

「これは・・?」


「師が捜し求めていた物はこれの筈です。

この先は私が行っていい場所ではありません。 足手まといになるのは目に見えています」



あれ・・

アンサには言ってなかったんだけどなぁ・・・


バレちゃったからには仕方が無いね

僕はアンサから本を受け取った。



「では私はそろそろ。 いつか再び会いましょう。

その時はまた、指導、お願いします」

〈私が転送致します。場所はルナティアですね?〉


「有難う御座います」

アンサの足元に魔方陣が展開される。



〈転送:ルナティア ──ご武運を〉


アンサは丁寧に礼をすると、姿は消え、魔方陣も無くなった。


〈寂しいですね。 それにしても、いつバレていたんでしょう?〉

「さぁ・・ それはアンサに聞かないと。

じゃあそろそろ本格的に調べてみよっか」




〈あ、私にお任せください!〉

レヴィンはピコピコと機械音を鳴らした。





〈私の仕事、それ位しか無いですし・・・〉


最後にボソリと呟いたレヴィンの独り言は誰にも聞かれずに済んだのであった。



アンサさん退場です。


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