第31話 プレゼントは猫?
なかなか煙が晴れない
「煙が邪魔ね・・」
そんな中、機兵達は煙の中から姿を現した
「まとめて来たぁ?!」
「バッ、バドリアケージ!」
トラーイアが魔方陣を展開、発動する
淡い桃色の巨大な鳥かごが機兵達を捕まえた
「トラーイア、ナイスッ!」
「は、はい!」
「皆、ここは全力でいっちゃおう!」
「そうだね、最近全力も無かったし」
・・いいものなのかな?
「ほら、リーディも!」
少し離れていた僕を引っ張るソーミィ
「準備はいい?」
機兵が捕まっている鳥かごから少し遠く離れたところに魔方陣が展開される
それは何重にも重なり、色は純白に輝く
魔力の多さに耐え切れず、大地が揺れた数秒後
・・・・キャノォォォン!!!
ゼリスクのエキスパート5人 黄金の卵5人 孤独な化物1人
──11人の声が重なった
その直後、轟音と衝撃が響いた
* * * * *
~???Side~
『・・・・キャノォォォン!!!』
「ウヒャヒ!?・・計画は狂っちゃったケド、仕方が無いネ」
少女は一人、オレンジ色の液体が入ったグラスを手にしながら呟く
「キヒ、キヒ、キヒハヒヒヒッ プレゼントを用意したんだっ ソォレ!」
少女は醜い笑みを浮かべながら、手元のボタンを押す
数秒後、モニターから爆音が響いた
「ワァァ、見てごらん! ディス、リングがドンドン落ちてくヨー♪」
少女はモニターを操作しながら、隣に座っている黒猫に喋りかける
モニターには、一部から煙をあげて傾き、ゆっくり落下していくゼリスク本部の姿があった
「キヒハ ヒハヒヒヒヒッ!! プレゼント喜んでくれたカナ? キヒヒヒヒッ♪」
モニター越しに聞こえる黒猫の声ナァーンという退屈そうな声が部屋に響いた
~Side-out~
ドオォォン・・
機兵を螺子一本残さず排除した後、背後から来る爆発音と衝撃
「何!?」
「機兵?」
「反応はありませ・・ あぁっ!!?」
「う・・・うそでしょ・・?」
皆が上を見ながら呆然としている
・・僕も少なからず、驚いていた
「そんな・・ゼリスクが・・ 落ちて行く!!」
「と、とりあえず行くぞ!」
『うん(はい)!!』
星武の言葉に全員が頷き、ゼリスクの近くまで飛んでいく
中にはまだ入らない 何があるか分からないからね
「けほっ・・げほっ」
「ゲッホゲホ、なん・・ゲホ・・なんだこの煙!!」
「エン、雨でも降らせてしまえ」
「お、アンサナイスアイディア!」
「オッケー、エン=ヴァイアン、行きます! レインバズーカ!」
煙のちょうど真上に紫色の魔方陣を展開し、滝のような・・いや、滝の雨を降らせた
今まで晴れなかった煙も、無くなっていた 所々水溜りが出来ているが、魔力の雨
すぐに消えるだろう・・
「バズーカって・・」
「駄目かい?」
「駄目じゃないけどさ・・エン、ネーミングセンス無さすぎ」
「酷いよイキュリー!」
「馬鹿やってないで行くぞ?師やユズキ教官達は先に行ってるぞ」
『え?!』
そう、今僕らは新人達を置いてけぼりにして、爆発があった場所から中に入っているのだ
まぁ中は真っ暗でボロボロだったんだけどね
「うひゃー、こんなにポッカリ穴開いてたのか」
星武が入ってきた穴を見つめる
「お姉ちゃん、あれ!」
「ん?」
ソーミィが何か見つけたようだ
「何よ、コレ ・・・布?」
「どれど 動いたぁぁっ!!?」
動いた?
どれどれ
僕はマーレとユズキが居るところに行き、布を抱き上げた
「・・あぁ、やっぱり 猫だ」
布の中にはの黒猫が包まっていた
「猫!?」
「何でこんなところに・・」
「魔力反応があったから、ランダム転送でもされたんじゃないかな」
「ふぅん、家では飼えないわよ?」
「まぁ俺達全員飼えないよな」
「・・・なんで僕を見るの?」
「だって・・・ねぇ?」
「飼えるのって、リーディくらいしか居ないじゃん」
「そうそう、雪矢君がいいって」
「そうね、雪矢がいいわ」
「ちょちょちょ、やめてよっ」
何だか表情が出しづらくなったなぁ
「そ、そうだ レヴィン、レヴィンはどう思う?」
『マスターが適任かと』
止めを刺された
「じゃあ決まりね」
「・・・」
こうして僕は猫飼いになったのだ
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ゼリスク襲撃事件
何者かによって爆発され、撃墜しかけるも
管理庁を始め、エース達4人、期待の新人5人により、撃墜を免れ、復旧した
犯人はいまだ不明
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そして舞台は少し戻り、3ヶ月前の事
「ククク・・完璧だっ・・!」
狂ったように高笑いする男がいた




