Green Youth ①
大会初戦
2050年2月4日
仙ヶ谷高校vs青山田高校
NF杯予選ラウンド。
オンラインでの対戦である今戦は、チーム間のラグや使用機器による性能の差を無くす為にそれぞれのチームが最寄りのカルナバルベースにある最新機器を使用して対戦を行う。
これにより、自分の身体性能以外の差異は無くなり、純粋な実力のみの勝負が実現した。
-仙ヶ谷高校サイド 駅前ビル40階カルナバルベース 大会用最新機器ルーム-
大会前の緊張、それは誰でもするものだ。
だか、仙ヶ谷高校の4名は普通とは違う緊張感が漂っていた。彼らは部屋の中にある時計を見つめている…。
部屋の外でバタバタと人が走る音が近づいてきた。
「悪い!遅刻した!」
颯は聞き飽きた謝罪を述べながら、部屋の中に入ってきた。
「後10分遅れてたら不戦敗だったんですけど…?」
「本当にごめんなさい。」
「間に合う方が不吉だから良いよ。」
「試合前なんだから、余計な話はこの辺にしましょう。(颯爽と現れる颯くんもカッコいい♡)」
「そうですよ。試合開始時間まであと30分、最後の確認をすべきです。」
BFカルナバルのマップは8つ。
大会で使用されるマップはお互いのチームが2つのマップをBANし、残りの4つの中でランダムで選ばれる。
相手が得意なMAP、自分が苦手なMAPを排除できる仕組みは有利不利が生まれない為の配慮だ。
特に今大会はベスト4までは全てBO1なのでバランスの調整には細心の注意がされている。
そして、仙ヶ谷高校vs青山田高校の舞台となるMAPは〝LiverTwin〟。マップ中央に流れる川と両端に位置する2つの高層マンションが特徴だ。
今回の試合では青山田高校がA側のスポーン、仙ヶ谷高校がB側のスポーンとなった。
情報収集を担当するテレスが今回の作戦を説明する。
「このマップの設置場所の周りには遮蔽物が何も無い為、安全に設置する為にはマンションA・Bの確保が必須です。ヴォルトさんスサノさん僕の3人でマンションB側、シャランガさんニト部長の2人がマンションA側に行きましょう。青山田高校の傾向的に初手で勝負を仕掛けてくるでしょう。データを集計した結果、約90%の確率で自スポーン側からY橋を渡りマンションB側に急襲してきます。僕たち3人で彼らの邪魔をしつつキルできれば上出来です。先にシャランガさんがマンションAに到着すれば射撃による支援も見込めます。死なないように耐えましょう。」
「俺がX橋を渡ってる時にちょっかいをかけて侵攻を遅らせる、ヴォルトは奇襲の準備を頼む。」
「合点承知!」
「今回はヴォルトの機動力を相手は知らない筈だ。自信を持っていけ。だが、奇襲が相手に漏れていると感じた場合は一度テレス先輩に相談してくれ。」
「おう!!俺に任せとけ!」
実際にはヴォルト=黒仮面だとバレている可能性はあった。だが、その微弱な可能性の為に奇襲を中止するという決断には至らなかった。
円陣を組み気合を入れた後、5人は最新鋭の機械に座りログインした。
◇ ◇ ◇ ◇
-青山田高校サイド 弘前駅前カルナバルベース 大会用最新機器ルーム-
青森県立青山田高等学校。
県内屈指のマンモス校であり、部活動が非常に盛んな高校である。サッカーや野球などが有名であったが、近年eスポーツ部の部員が右肩上がりに増えている。現在の部員数は500人、ランク100に到達している猛者から他ゲーをプレイしている為に低フロアで燻っている者まで多数在籍している。
高校生の部活らしくマネージャーも勿論いるのだが、BFカルナバル部門には独自に新設された〝アナリスト〟という役職が存在する。日々敵になりうる者達の情報を集めたり、海外やプロから最新戦略を部員に伝えている。情報が重要であるこのゲームには効果的な役職だ。
青山田高校のアナリストの1人〝ABCee〟はエントリー締切後に発表された全校全員のプレイヤーネームを覚え、ランクタワーで情報収集を行っていた。
大会の12日前、彼は暗記していた名前のプレイヤーと遭遇した。その名は〝VAULT 〟〝Susano〟。失踪していた革命世代シャランガの新チームメイトだ。しかも、彼らの正体はバズっていた仮面二人組。ランク戦中は出来るだけ目立たぬ様に影から彼等の姿を観察した。博識ングなる者の妨害により後半ラウンドは上手くいかなかったが情報としては十分であった。なにせ、彼らのプレイングはネット上に拡散されている。
当日までにネット上に投稿されている仮面二人組の動画を全て確認し、アナリストとして1つの結論を出した。
「黒仮面…プレイヤーネーム:VAULT は屋根に登れる可能性がある。」
どの動画を見ても通常では間に合わない速さで裏取りを行っている。そこから導き出した結論であるが、実際にこの結論は的を得ていた。
つまり、青山田高校は仙ヶ谷高校の奇襲策を事前の情報戦によって完全に見抜いていた。完璧な情報収集を行なったアナリストABCeeに青山田高校のキャプテン〝Boss〟は称賛を送る。
「素晴らしい働きだったよ。ABCee。君の情報がなければ、革命世代のシャランガだけではなく話題の仮面二人組を擁するチームに無策で戦う所だった。そうなれば確実に負けていただろう。」
青山田高校部員でランクタワーの最高峰フロア100を達成しているのは2人。そんな実力者の1人がこのBossという人物だ。もう1人のフロア100のプレイヤー〝4SU〟も完璧な分析に拍手を送っていた。
「スナイパーの僕としてはシャランガとの撃ち合いに集中できる環境を整えてくれたABCeeには感謝しかないよ。」
フロア100のスナイパーである彼は同年代の最高峰スナイパー・シャランガとの戦いを非常に楽しみにしていた。もし、ABCeeの情報が無くヴォルト達への対策を立てていなければ2人のスナイパー対決に横槍が入っていたかもしれない。
青山田高校はBossと4SUの二枚看板のチームだ。彼らがアナリストABCeeの作戦を元に効率よく敵に対処できるのは大きい。
『僕たちの試合の半分は試合前に終わっている。どれだけ敵を分析し対策を立てるかによって試合の結果は180度変わる事だってある。それだけこのゲームにはアナリストが重要なんだ。』
海外の有名なプロプレイヤーの言葉だ。
実際、今回の試合もアナリストが敵の隠し玉を調べ上げた青山田高校と表面上の情報しか手に入れていない仙ヶ谷高校という差が生まれている。
試合前にも関わららず青山田高校の優位で試合は幕を上げようとしている。
「では、皆さん。試合の勝報をお待ちしています。」
青山田高校の5人のプレイヤーは前哨戦に置いて抜群の活躍をしたABCeeにこれ以上ない感謝を思いながらログインしていった。
【NineFoxCup 予選Cブロック 第一試合】
仙ヶ谷高校
VAULT (Gunner)
SharangA (Gunner)
NitoO (Gunner)
TeLeS (Officer)
Susano (Blader)
青山田高校
4SU (Gunner)
Rin (Gunner)
GoAp (Gunner)
plenT (Officer)
Boss (HeavyGunner)
Map:LiverTwin
予選突破の命運を分ける戦いが始まる。
誰かさん達がバズってた弊害が不利な状況へと…
?「だから目立たぬ様に言ったのに…」
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