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運命からのノック


老師の問いに優也は大きく頷いた…



「是非お聞かせください…何故僕達の種族が老師様から見限られてしまったのか…⁉︎


真実を知りたいです…」





「うむ…おそらくはお前達がまだこの世に生を成す前…


人間界は戦乱の真っ只中だったとある男が言っておった…




その男は科学者で、政府の命令を受けて兵器を研究開発しておったのだ。



ところが研究中に突然事故が起こった…



爆発のエネルギーによって次元の裂け目が生まれてしまい、男は偶然、千年前の魔界へと飛ばされてしまったのじゃ…



そして男はある国の王子によって保護され…手厚い看護を受けさせてもらい、傷はみるみるうちに完治した。



科学者の男は王子の恩に報いるために自分が力になれる事を考えた…



当時の大臣は男が持っている超一流の科学力に目を付けて『どうかこの国を侵略から守るため…人々を守る為に我々に協力して欲しい』と懇願した。



男は恩返しになるのならと大臣に協力して侵略者を一掃出来る兵器を完成させたのじゃ…



ところがその大臣は王室に反旗を翻して国を自分のモノにしようと企んでおったのじゃ…



男を暗殺し、その兵器を奪って国を襲おうとした大臣はある事に気がついた…



兵器には人工知能が組み込まれていて王子にしか扱えないとんでもない代物《シロモノ》だったのじゃ



王子は男が兵器のために暗殺されたことを大変悲しんだ…



そして世の中の為に…男の忘れ形見のその兵器を人里離れた場所に隠した…





それでも大臣は他の国と内通してクーデターを起こして王朝を乗っ取ったのじゃ…



しかしすぐにまた他の国に侵略され…この地も不毛の地となってしまった…」




「…悲しいお話ですね…」



「うむ…もしもその王子のように国に暮らす人々の幸せについて考えるような指導者が居たらこの国もそうはならなかったのかもしれんな…


優也と言ったな…お前のような…」





「そ、そんな…私は…今も困って老師の元に縋《すが》らせて貰っておりますし…」




「じ、じいちゃん…それは…



と、殿…そろそろ帰らんと姉ちゃん達が…」



ジーナが一層、焦ってみせるとナイト老師は笑って彼女を諌めた…



「ハハハ…まあ…良いではないか…


優也よ…ワシはそなたを気に入ったぞ…



ワシがそなたに会う事は遥か昔から決まっておったのかもしれん…



それに瞳に浮かぶ紅の月…


魔界に来る事さえも運命だったのじゃ…」





「ろ、老師様…一体どういう事なのですか…⁉︎」




「ハハハ…そなたは知らなくても良い…


いずれ…運命の方からそなたの心のドアをノックしてくるじゃろう…



しかしのう…優也よ…


人を…この世を想う…あの王子のような心を


そなたが持ち続けるのであれば…



お主達は決して運命の渦に巻き込まれる事なく、

人々の心を満たす穏やかな泉《オアシス》となるじゃろう…




さあ…こちらへ来るのじゃ…」



そう言ってナイト老師は優也を近くにある小さな泉へと案内した…



そして泉に手を浸して小さな声で呪文を唱えた…


すると…泉の水はドンドンと減っていき…


見る見るうちに階段が現れた…



「さあ…ここを降りるのじゃ…」




ジーナは急いで優也に駆け寄る…



「なあ…殿…まるでロープレみたいな仕掛けやな…


この奥にはきっと中ボスが…」





優也は大きな溜息を吐いて…


「ジーナ…君は一体何処でそんな事を覚えて来るんだい…」



「いや…まあ…その…」









老師に続いて…階段を降りた先に広がる光景に優也達は息を飲んで驚いた…




「こ、これは…」

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