記憶の中の瞳
ヴァルプルギスモードに変身した優也の姿を見たサブリナは…
「あ、あの時の…リル君と私を助けてくれた…
そして今も私のために…うううう…」
透き通った彼女の瞳から溢れ出た涙が頰を伝う…
しかしナイト老師はニヤリと笑みを浮かべて…
「ほう…人間のくせに強大な魔法力を持っておるな…
成程…先程のクソガキはお前の守護霊か…
お前と一つになって強大な魔法力を与えておるのじゃな…
馬鹿な奴らよの…さっきの札を使った後でお主の力を持ってすればゴーレムなんぞ赤子の手を捻るようなもの…
どうしてワシの術札にケチをつけたのじゃ…」
優也はヴァルプルギスモードを解いて元の姿に戻った…
「老師…あなたのお力はジーニャさんの実力を知っている我々ならどんなに凄いモノか既に理解しております…」
「…どういう事じゃ…⁉︎」
「我々は呪いが跳ね返った呪術師が死んでしまっては困るのです…どうしてこんな事をしてしまったのか…その理由を知りたいのです…」
「な、なんと…それでは呪いをかけた相手をお前らは許すつもりだと言うのか…」
「それは…分かりません…しかし…」
優也の脳裏にイミテに罰を与えて外海に流し出した事が浮かぶ…
「どうしてそうなったのか…どうしたら二度と同じような事が起きないのか…⁉︎
今まで考えて来なかったからこそ…
僕達…人間や魔法使いの人々が老師様から見放される結果になったんだと思います…
もう二度と同じ過ちは起こしてはならない!!
僕は自分の世界の人々もこの世界の方々も大好きです…
妻や仲間達と出会えて…本当に幸せだと思っています…」
「おお…」
優也の澄み切った想いの一言がナイト老師の心の琴線に触れた…
老師はフラフラと自らの足でサブリナに歩み寄った。
「…ハーフエルフの娘よ…酷い事を言って済まなかった…許して欲しい…」
「いえ…老師…私なら大丈夫です…」
サブリナはいつもの笑顔を取り戻して老師に微笑みかけると優也の方を恥ずかしそうに見た…
彼女からの視線に気づいた優也は嬉しそうに微笑み返す…サブリナは赤面してしまった…
「あーあ!!姉ちゃんも殿に愛されてるんか…
でもな…ウチが一番やからな!!一番!!」
「良かったわね…サブリナさん…」
「は…はい…!!」
自分と同じ想いの王女達から激励されてサブリナは
恥ずかしいような嬉しいような不思議な感覚だった…
そして改めて優也の大きさを知って…彼女は何故か胸が少しだけ苦しくなった…
…ナイト老師の前に歩み出て、優也は跪いた…
「老師様…どうか本当に非礼をお許しください…
我々には時間がありません…なんとか方法を模索してやってみます…」
ナイト老師は先程の優也のブラッドムーンの瞳を思い出した…
「お主…ちょっと瞳を見せてくれぬか…⁉︎」
「は、はい…」
言われるままにナイト老師に顔を寄せる優也…
「成程…やっぱりのう…
お主、シャブリヤールの…」
「じ、じいちゃん…その話は…な!!
ア、アハハハハ…」
必死にゴマかすジーナを見て…
「なるほどのう…此奴ばかりかジーニャが全力でお前達のために一生懸命になる理由が分かったわ…
ワシが人間や魔法使いを毛嫌いするのはきっと自分の主張や利権の為に他人の事を顧みない奴らを多く見過ぎてきたからじゃのう…
そう…あの時もそうじゃった…あれは今から随分と昔の話…
ワシの昔話を聞いてくれるかの…⁉︎」




