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第七話

長め?

 

 第九騎士団は今日も訓練を続ける。


 基礎練習をし、魔剣を振り、お互いに戦い、飯を作る。


 他の騎士団では普通、料理なんぞやらないが、ここではやらせることにしている。料理と言っても魔物素材を使ったワイルドな料理だが、まぁアレだ、野営する時もうまいもの食いたい…食わせてやろうという俺の配慮だ。俺が食いたいからではない。うん。


 え?なら俺が料理して食わせればいいんじゃないかって?はっ、俺がそんなめんどいことをするとでも?部下は有効に使わないとね。


 まぁ…たまーーーーになら作ってやってもいいけど…


 あぁ、やっぱだるい。めんどい。


 何よりも…


「団長、あと1時間以内に勇者一行が到着するそうです。」


 勇者が来るなんて…胃が持ちそうにない。


「大丈夫です、団長、団長の胃袋なら誰よりも物理的に頑丈であり、例え蹴ろうが殴ろうがされても破れることは決してありませんし、ましては胃酸ごときに穴なんてあけられませんよ」


 何気に人を殴られ蹴られた想定されてる。しかも言葉が受け身じゃない。…まさかと思うが、その蹴り役・殴り役は君とか想定したりしてるのかい、副官クン。


 だいたい、人間誰しも胃袋の丈夫さと胃酸の強さは釣り合っていると思うんだが。




 はぁ…


 ほんとに勇者来んのか…


 マジで?マジでー


 くっ…逃げたい。切実に。


「頼りにして…るけどしない方がいいかこの場合」

「なんでしょう?」


 そういやこの副官も勇者には思うところがあったんだっけ?ここで頼ると勇者の待遇がヤバくなりそうだ。うん。適度に頼ろう。


「そこまで理解したところでその思考にたどり着く団長もなかなか黒いですよね。」


 言うな、副官よ。


 まぁ、勇者に思うところがあるのはなにも副官(きみ)だけじゃないからね?




「勇者一行が到着しました。」


 とうとう着きやがった問題源(ゆうしゃたち)。憂鬱だ、胃に穴があきそう。


 まぁとりあえずはやってみるかー…。さてさて、勇者たちの腕前をとくと拝見させて頂きますか。


「ようこそ、リヨル王国第九騎士団(きちくのそうくつ)へ。楽しんでけよ?」


 俺は懐かしの面子を眺めつつ、ニヤリと笑った。


「は?仮面?厨二病かよなんなんだよこいつ」


 …とりまこいつ叩き切りたい。だが我慢する俺。マジ偉いと思うわ。ま☆大人ですから。


 _| ̄|○、;'.・ ゴホゴホオェェェェェ


 …またやってしまった。☆なんて飛ばすものじゃない。俺も学ばねーな、こういうとこ。


 思考が逸れた。思わず現実逃避しかけた。あぶないあぶない。


「なぁ、ほんとに大丈夫なのかよ、絶対コイツ頭イカれたやつだって。替えてもらえるように、王様あたりに言おうぜ?」


 …普通、本人目の前にして言うかそれ。変わってないなコイツも。止めてやれよイインチョー。…そういやコイツらの名前なんだっけ?まぁいいかそんなこと。どうでもいいな。


「ユウタ君、それはこの人に失礼じゃないかな。この人はアルザナ国王が依頼するくらい優秀な騎士らしいし。」


 イインチョーはまだまともだな。ユウタっていうのかコイツ…うわ、どうでもいいー


「カイトさん、不束者ですが、これからよろしくお願いします。」


 リーダーシップある系男子がぺこりと頭を下げた。すごいよろしくしたくない。でも、仕方がないか…


「えと、俺はマサユキです。それで、こちらが…」

「委員長のコウジです。」

「…ユウタです。」

「アヤミです。」

  ・

  ・

  ・


 とりあえず。


「お前ら、訓練場を10周してこい」


 一周1キロあるけど。


「話も、飯も睡眠もそれからな。」

「カイト様!今日着いたばかりの勇者様方には酷すぎませんか?」

「そうだそうだ!今から走るなんて無理ゲーだろっ」


 慌てた勇者の付き添いAが声をあげた。

 ユウ…なんだっけ?も調子に乗ってなんか言ってる。


 は?何言ってんだコイツら。


「俺の騎士は毎朝40周してから朝飯食ってるぞ?寝る前には城の敷地(一周20キロ)を5周させてるぞ?まぁウチの騎士は鍛えてるし、モブAが言うようにお前らは今日ついたばかりだし、お前らいつもこういうことしてなさそうだから4分の1にしてやったんだが… ああ、あれか?もしかして距離が足りなくて緩すぎる?なんなら増やそうか?そうだなー、お前らはこの世界を救う勇者サマだし、ウチの騎士と同じくらい余裕だよなー、もしかして倍もいけるか?それともその倍?2の何乗までいける?いやー、さすが勇者サマだ、やっぱ常人とは体の造りが違うなー。それじゃあさらにそれに加えて…」

「はぁぁあ!?おかしいだろ!寝言はネコで言えよ!できるわけねーじゃん。お前馬鹿だろ!」


 青ざめた顔で問題児A(ユウタ)が叫ぶ。問題児Aは残念ながら馬鹿である。頭が弱い。


「寝言は寝て言え。」


 頭を鍛えることも兼ねて、俺は感情のままに拳を問題児Aの頭に振り下ろす。もちろんこの時にスキル『峰打ち(必ずHPを1残す)』を発動させることを忘れない。死んだら元も子もないからな。


「できるか否かはやりきってから言え。五月蝿い。」


 女子が悲鳴をあげる。慌ててイインチョーが問題児Aにかけよる。


「なんてことするんですか!!」

「大丈夫、生きてる」

「HPが1しかないじゃないですか!」


 わお、限界まで減ったか。弱ぇ。一応、手加減したんだが…


 しーらない(泳ぎ目)


「で、どうする?当初通りやる?じゃ、つまらないからやっぱり俺の部下の2の何乗でやるべきか…」

「当初通りでお願いします!!」


 青ざめた顔でイインチョーが叫ぶ。うむ。イインチョーはまともらしい。


 後ろにいた8番がつぶやく


「鬼だ…」


 8番お前、午後の訓練2割増しで。

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