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第二十二話

 

「なぁお前ら。」


「「「………」」」


 現在、俺の目の前には屍が…あぁ、数えるのもダルい。サクッと言えば、俺以外ほぼ全員が屍と化している。


「…弱くね?」

「いえ、現在生きているだけで奇跡に等しいかと。」


 何故か(騎士の中で)ただ1人立っていられる副官は冷静にツッコミを入れた。


「あれほどの猛毒を受けていられるのは、ひとえに女神様の加護と団長の御指導のおかげですから。」

「いや、毒耐性の話ではなくてだな?」


 ことは10分前に遡る。遡るほどの時間でもないが。


 うん。やめた、遡んの。めんどい。サクッと言うわ。



 1.勇者共と騎士共は戦いに疲れ、腹が減った!


 2.ゆうしゃ は おいしそうな果物 を見つけた!!


 3.ゆうしゃ の叫び! ゆうしゃ は 騎士 を呼んだ!!


 4.ゆうしゃ と きし は 美味しそうな果物 を使用した!


 5.ゆうしゃ と きし は 倒れてしまった!!



「…盛大にバカっぽく聞こえますね。ことに、ひらがなになっている辺りが。」

「実際馬鹿だからな。やってることが。常識的に考えて、知らないものは口に入れるなよ。頭が弱ぇ勇者って、ナニ?」

「!! だ、団長が、常識を、口にしている…!?」


 …ニコッ


 ゴンッバキッ


 パシャン(ポーションがかかる音)


 騎士も騎士だよな。ゆうしゃと一緒になってトラップに引っかかるとか…やっぱ俺の指導不足かもしれない。日頃からもっと、鬼畜トラップやら毒の訓練を増やすべきだな。


「…そういや副官、お前なんでまだ立ってられんの?」


 ちなみに、ゆうしゃが口に突っ込んだモノは、魔物の『取り替え果実』である。危険度A。ただし、森では日常茶飯事。キノコ並にある。ただ違う点といえば、衝撃が加わると爆発します。毒ガスを撒き散らしてな。


「この、リンゴに似たヤツって言ったら…やっぱ即死系の毒だよな、これ」

「そうですね。何故団長が涼しい顔をしているのかが謎です。さすが人g…超人ですね」


 よく見ると副官も苦しそうである。まずいな。そろそろ毒が回ってきたか。勇者も瀕死だし。今のところまだ誰も死んでないが…


「薬ねぇしな…」


 即死系の解毒剤は作れない。意味無いので研究が進んでない。


「さて、どうすっかねぇ…」


 実は、俺も効いていない訳ではない。俺の場合は毒耐性がかなりあるために、全ての毒が全体的に遅効性になるし、隠せないほどの症状が出る前には解毒できる。


 解毒は魔法を使うことが多い。現在俺は装備的に魔法を使えないが、体の中で使う分にはノーカンである。まぁ、魔力を外に漏らさないための装備だし。


 面倒ではあるが、勇者・騎士共を助ける方法が無くはない。が、やはりめんどい。ここ1年で1番めんどくさい仕事になりそう。


「………背に腹はかえられない、か」


 はぁ…


 すっっっっげぇ嫌なんだけどな…


 やる、かぁ…


 腹を括ると、俺はヤバそうな勇者の胸ぐらを掴んで引き寄せ、唇を重ねた。


「!!!?」


 あ、こいつ意識まだあったのか。案外丈夫じゃん。


 無理やり口をこじ開けさせると、俺の中の魔力と勇者の中の魔力を同調させ、毒素をこちらに引き寄せ、吸い取る。口の中から、身体を蝕む毒が入ってくるのが分かった。


 9割ほど取り除いたところで、口を離す。衝動的に口の中のモノを吐き出したい欲求に駆られるが、面倒なことに、この毒素は空気中に出た瞬間に拡散するから、消化するしかない。きっっついわー


 ふと勇者の顔を見るとトマト並に紅くなっている。


 …治りかけて熱でも出たか?


 とはいえ、時間もないのでその勇者を投げ捨t…地面に置いた。


「次」


 さっと皆の顔を見て症状の具合を確認すると、…何故か全員コッチをガン見していた。重症軽症に関わらず、こちらをポカンとした顔で、ある者は紅くなり、ある者は蒼くなって見ている。…いや、全員重症かもな。


 手近かにいたやつを掴みあげ、同じ処置をしていく。なぜか逃げようとするやつとか、暴れるやつもいたが、手負いの獣のようなものだろう。特に取り合わず黙々と作業をこなしていった。


 勇者、騎士達全員が終わった頃には全員ぐったりしていた。俺も、さすがにそろそろ毒が回ってきて、しんどい。真面目に。


 が、ここで寝るわけにもいかないので。


「お前ら、治療あらかた終わったから立て。少し先に野営地に丁度いいところがあるから、そこまでは歩いてしばらくそこで野営するぞ…起きろっ!」


 さして効果が無いと知りつつも、気休めにポーションをバラまいて、俺は全員を叩き起した。


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