第二十話
主人公の黒歴史(笑)
森の中を、1人でスタスタと歩く。付近は恐ろしいほどの静けさに包まれている。
付近は、だが。
遠くの方でドサドサ落ちる音が聞こえるが、無視する。そこまで気にしてられないし。
遠くの方から目をつけておいた泉に着くと、俺はとりあえず身につけてる魔道具を外せるだけ外していった。…普通、魔道具なんて平民なら手が届かないし、貴族でも大切に家に置いて自慢の材料にするものであり、こんなに大量に身につけて、ましてやドサドサ地面に投げ捨てるものでもないが。
まぁ、自家製のものなんだからどう扱おうとも自由だろう。
仮面(制御)、ブーツ(速度調整)、手袋(威力調整)、ネックレス(着替え)、そして髪紐(変化)を取ると、すっかり元の姿になった。
次いで、水面に映った自分の姿を見て思わずorz。ならせめて髪紐外さなければいい話だが、髪を下ろしたいからとりたい。が、この姿は見たくないし晒したくない。微妙な心境になる。
水面に映っているのは、それはもう、これでもかというほどに作り込まれた…厨二病患者が喜ぶかもしれない黒歴史の結晶。
はぁ…
水面に映るのは、とりあえず少女。まず銀髪。の、赤と青のオッドアイ。そして額に第三の目(笑)。全て魔眼。冗談がキツい。
悲しいことにこれだけではない。
口には小さな牙。
背中には肩甲骨の上に黒と銀の3対の翼の模様。両の翼の間には、緑色の魔石が埋め込まれている。
両腕にはそれぞれ、一頭の大きな竜が巻きついたような刺青。かなりリアル。
手の甲には小さな赤と青の魔石が埋め込まれ、魔石を中心に術式が刻まれている。
足には蔦のような呪術式。マジ呪われてる(笑)。
ついでに言えば足元の、使役している影。
ツラい。イタイ。誰だよこんな風にしたやつ。
…私しかいないか。いや、半分だけだ!残り半分は運がアレだっただけだ。うん。
あ、口調が私になってる。まぁいいか、見た目女の子だし。たまには女の子らしくしないとね。別に普段女の子らしくしたくない訳ではないんだけれども。うん。別に現実から目を逸らそうとしているってことでもない。
…思考が逸れた。
いや、言い訳させて欲しい。一応機能重視してたらこうなっただけだから!色々いじくってたらヤバイ系になっちゃっただけだから!
いやほんと。素材無駄にしたくなくてさ… あと銀髪はもともとね。
ちょっと3年ばかし黒歴史してたら、なんか大魔神とか名乗るアホに会って、せっかくだから無理やり体丸ごと凝縮して魔石に変えて、ついでだから加工して魔眼に変えて自分の目を抉って代わりに埋め込んじゃったりとか…(左目)
なんか突然現れた熾天使名乗るアホに会って、うっかり殺っちゃったから可哀想に思って(無理やり)魔石に変えて(ry …(右目)
なんか突然現れた精霊王×6とかいうアホ共をうっかり(ry …(第三の目および影の材料)
それに、空も飛んでみたかったし、ちょうど天使と悪魔が押し寄せて来るようになったから魔石作って合成して凝縮してたら…(背中の翼及び魔石)
なんか、古代より生きる双頭竜を名n(ry …で、竜王の称号ごと貰ったっぽいのと(血を舐めたからかな?)…(両腕の竜)
吸血鬼の王を殺した時に何故か入った称号『吸血姫』(血を舐めたからかな?)によって若干牙が伸びたし。
魔導率が上がるように手の甲に悪魔と天使の魔石の残りを埋め込んだりして。
あと、一応足が遅いの気にしてるから、足になれないながらも呪術をかけたらこうなった。泣きたい。
うん。私は悪くない。厨二病臭くなったのは、出てきたヤツらのせいだ。うん。
…ちなみに、現在私は目玉が3つあるのに本物の目はない。が、不自由していない。魔石に変えてから作ったとはいえ、立派な魔眼だから、一応目の機能も果たしている。ヒュー、優秀ぅ。
なお、魔石がなくとも地の私のステータスも馬鹿みたいに高い。装飾品やら武器やらに付いている魔石は全て、ステータスを一時的に下げるタイプのものである。…縛りプレイがしたい訳ではないが、まぁこうでもしないと面白くないというか。うっかりやりすぎるからというか。
はぁ…
ほんと、なんでこんなに厨二病臭い見た目になっちゃったんだろ…
裸云々置いておいても、ちょっと人には見せられない…