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40歳子供部屋おじさん、社会復帰のためにダンジョンへ入る  作者: 音有五角


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子供部屋おじさん、デートする

 土曜日。家族で集まって朝食をとっていると、母が上機嫌そうに言った。


「昨日、真由美ちゃんと久々に会ったわよ~」


「え?」


「これからもよろしくお願いしますって言われたわ~。良かったわぁ、まだ付き合ってたのね~」


 結婚も視野に入れた付き合いだったので、昔は両親に真由美のことを紹介していた。

 どうも再会したのをきっかけに、わざわざ家に来てあいさつしたようだ。


(なんという積極さ……真由美はすごい女性だな……)


 しかも今日の土曜日は真由美からデートに誘われている。

 そのことを告げると、母親は増々上機嫌になって、楽しみだわぁ、などと言っていた。

 女性達が連携した時特有の、プレッシャーを感じた。

 恐ろしい。

 鈴木は朝から、冷や汗を流した。



 ☆



「ふ~。映画感動したね~」


「そうだな」


 真由美とショッピングモールの中にある映画館から出ながら、そんな話をする。

 ドライブデートだ。

 車は真由美のもので、運転してくれている。


「ちょっと買い物付き合って~、亮太さん」


「ああ……構わないが」


 真由美に手を引かれたりしながら、買い物に付き合ったりもした。

 久々に感じる手の温もり。

 これではもう恋人同士のようになっている。


(きょ、距離感がやたら近いな……付き合っていた頃のようだ……)


 この間の話はなんだったのかと思うのと同時に、嬉しいような、まだ心の準備が出来ていないような、そんな複雑な心境になった。

 だけど大切で楽しい瞬間なのには変わりなくて、あっという間に時間は過ぎていく。

 そうして夜になり、真由美の運転する車の助手席に座りながら、ふと浮かんだ疑問を口にした。


「その、探索者という仕事は、良いのか」


「ん?」


「そういう仕事が嫌という人も、いるからな」


 もしも今後、結婚などを考えるにあたって、探索者のパートナーというのは、人によっては理解を得られない場合もある。

 なにせ命がけの仕事なのだ。

 パートナーが毎日モンスターと戦うというのは、精神的に負担がある。

 しかし真由美は受け入れていた。


「大丈夫だよ。それに配信見たけど、戦っている亮太さんの姿も好きだよ」


「そ、そうか。ありがとう」


 ストレートに好きと言われて、つい、照れてしまう。

 真由美の真っ直ぐな思いと言葉は、よく伝わっていた。

 そうして、やがて真由美の運転する車は鈴木の実家の近くに辿り着く。


「またね、真由美」


「うん! またね~」


 言葉を交わし、車を降りる。

 真由美の車が去っていくのを、見送った。


「やっぱり車が欲しいな」


 そんなことを思った。

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