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ヤ
言葉は形を持たない。
だから人は、簡単に投げつける。
『消えろ』
『見たくない』
『次はお前だ』
画面を閉じても、通知を切っても、頭の中では消えない。
夜。
部屋の空気を裂くような音がした。
『ヒュン……』
一本。
また一本。
『ヒュン、ヒュン……』
壁には何もない。
けれど、スマートフォンには新しいコメントが表示される。
『もう刺さってるのに、気づいてないんだ。』
その瞬間、鈍い音が部屋に響いた。
翌朝。
壁一面には、無数の矢印が描かれていた。
すべてが、私のいる場所を指している。
そして私は、ようやく理解した。
矢印は昨日から飛んできたわけじゃない。
もっと前から、ずっと向けられていた。
怖かったのは、知らない誰かの悪意じゃない。
それを少しずつ、自分でも信じ始めていたことだった。
だから私は、壁から目を逸らした。
矢印を消す方法は分からない。
けれど、指された場所に立ち続ける必要はないのだと、初めて思った。




