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二
教室の笑い声は、どれも同じように聞こえる。
けれど、好きな人の声だけは違う。
人混みの中でも、不思議と見つけられる。
それが恋というものらしい。
放課後。
夕焼けに染まる帰り道。
彼は、いつものように隣を歩いていた。
『ねえ、もし私が誰かを好きだって言ったら、応援してくれる?』
その一言で、彼の未来は一度終わる。
そう思った。
胸の奥を押し殺しながら、彼は笑う。
『もちろん。』
優しい嘘だった。
自分ではない誰かを祝福する覚悟。
その覚悟は、次の瞬間、静かに裏切られる。
彼女は少し照れながら、そっと手を握った。
『よかった。その相手、君なんだ。』
ようやく届いた想い。
ようやく重なった心。
夕焼けよりも赤く染まる頬。
あの日の二人は、世界でいちばん幸せそうだった。
私は、その光景を遠くから眺めていた。
幸福とは、不思議なものだ。
長い時間をかけて手に入れたものほど、人は永遠に続くと信じてしまう。
だから、その一瞬は美しい。
だから、その一瞬だけを私は忘れない。
終わりがあると知っているのは、
あの夕焼けの中で、私だけだったのだから。
きれいに真っ赤に染った。




