238「8階層の戦い(1)」
——時間は少し巻き戻り、櫻子・アーサーらS級探索者が8階層に着いた頃
「⋯⋯いるな」
アーサーが先頭で8階層に先に足を踏み入れた瞬間、視界には入っていないものの『圧』のようなものを感じ取る。
「うむ。おそらくここにいるのは『四つ柱』という喋る魔物の幹部連中じゃろう」
そんなアーサーの言葉に櫻子も反応。周囲のS級探索者らも2人と同じく8階層の異様な圧を感じていた。しかし、
「でも、この程度なら正直問題ないと思うけどね〜」
と、気の抜けた言葉を発したのは探索者世界ランク第4位ビッグ4『ジャック』の称号を持つ『ルーシー・フェアチャイルド』。
「それはさすがに気が抜けすぎだ⋯⋯⋯⋯と言いたいところだが、正直私もルーシーと同じ意見だ」
と、ルーシーのその言葉に同意を示したのは探索者世界ランキング第1位ビッグ4『エース』の称号を持つ『世界最強の男』アレクサンドル・アーサー。
「ああ、俺も同じ感想だな」
「ミーもそう思うねー!」
そんなルーシーとアーサーの言葉に追随して声を上げたのは、ブラジル出身の世界ランク第8位ペドロ・ハドラーと第9位韓国のパク・ハサン。さらには、
「⋯⋯お、同じく!」
普段から言葉を発するのが稀な男『沈黙の巨躯』⋯⋯世界ランク第10位ドイツのヴォルフ・エルゲンシュタインまでもが同意を声を上げる。
「おいおいおい、あの『沈黙の巨躯』ヴォルフさんまでもが声を出して同意の意を示したぞ?」
「てことは、この8階層の喋る魔物の幹部って⋯⋯⋯⋯大したことない?」
そんな世界ランカーたちの余裕の呟きに周囲にいたS級探索者らは安堵する。
「ヘイ! それじゃあ早速その喋る魔物の幹部『四つ柱』をやっつけてさっさと終わらそうぜー!」
ここでラテンのノリでペドロ・ハドラーが勢いづいた言葉をかけると先頭を歩き出した。
「あ、ハドラー! 貴様、私の前を歩くな!」
「ハハハ! 早いモノ勝ちネー!」
「はぁ、相変わらず騒々しい奴らだ⋯⋯」
「わ、私も⋯⋯頑張ります!」
「「「「「うおっ?! ヴォルフがまたしゃべったぁぁ!!!!」」」」」
こうして、喋る魔物の幹部『四つ柱』がいると思われる8階層だったが喋る魔物の『圧』が大したことないということで《《ほぼ全員》》が完全に緩み切っていた。
実際、ここにいる世界トップ10ランカー以外のS級探索者らは全員『副作用あり覚醒ポーション』を飲んで実力が跳ね上がっているため、ある意味この8階層にいるメンバーは『世界最強メンバー』といっても過言ではなかった。
しかし——
当然この8階層にいる喋る魔物の幹部⋯⋯『四つ柱』が大したことないなんてことは決してなかった。
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「ん?」
ペドロとルーシーが先頭に立って進む一行。
すると、その先に《《複数の人影》》があることを確認する。
「オー! アレがもしかして『四つ柱』って奴デハ?」
「どうやらそのようだな」
ペドロとルーシーがその人影を改めて探るように《《視る》》。
「フー、やっぱり大したことない相手っぽいネ〜」
「ああ。こうして近くで改めて《《視て》》も問題なさそうだ」
ペドロとルーシーが『四つ柱』らしき人影を改めて「脅威ではない」と判断。実際他のトップ10ランカーやS級ランカーらも同じように判断した。
そんなある種、油断している状況の中《《3人》》だけは警戒を緩めていなかった。
「フン。気に食わんな」
「同じく⋯⋯なのじゃ!」
それはこの中でも『最強のふたり』といっても過言ではないアーサーと櫻子。そして、
「トップ10ランカーではないとはいえ『スキルマニア』という異名を持ち実力者として知られるカルロス具志堅さんやあのオメガ様も警戒している『四つ柱』がこの程度であるはずがありません⋯⋯絶対に《《何か》》ありますわ」
そう、力強く言い切ったのはアーサーと同じイギリス総本部の副ギルドマスター、世界ランク第2位ビッグ4『キング』の称号を持つソフィア・ナイトレイ、その人だった。
「フッ、流石だねソフィア。それでこそビッグ4『キング』にふさわしい」
「ありがとう。でもだからこそ逆に《《矛盾した現状》》に少々ナーバスになっていますわ」
「如何にも。私としてもかなり気に食わないな。いっそここから大質量のスキル攻撃を仕掛けたいくらいだ」
「やめるのじゃ。そんなことせんでも時間の問題じゃ⋯⋯⋯⋯じきわかる」
そういって、世界ランク第3位ビッグ4『クイーン』の称号、そして『のじゃロリギルマス櫻子ちゃん』こと我らが櫻子が呟く。
遂に、『四つ柱』と櫻子たちが接触を果たす。
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『TS転生者の生存戦略〜Transsexual Reincarnation's Survival Strategy〜』
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