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Chapter 2 お友だち大集合!

魔王国。いかにも、ファンタジー世界の存在だな、とスピカは思う。

だが、その実態は、軍閥の連合である。人間系諸国家が、同盟を組んで現魔王国領を占領しようとしたことにより、とりあえず大同盟した烏合の衆だ。各軍団長の権限は大きい。

魔王軍第4軍団。通称「死の軍団」。魔王軍結成時の9つの軍団の1つであり、由緒あるシングルナンバーズ軍団である。


常に曇りか雨が降っている陰鬱な気候のアンデ地方に位置する第4軍団本拠地の大洞窟は、いかにもおどろおどろしい雰囲気だ。

第4軍団は、ゴースト系を主力としているため、雰囲気にはマッチしている。

その巨大洞窟の際奥にある軍団長の間で、アンデッド・ロードとスピカは対面していた。

 


「……何の用件だ、小娘」


第4軍団長であり、ゴースト系軍閥の長であるアンデッド・ロードが、スピカを睨みつける。骸骨の奥から、赤く光る、宝石のような目が、ジロリと動いた。


「かつては、人類一の魔法使いとして勇名を馳せられ、今はシングルナンバーズの軍団長を務めるアンデッド・ロード、キース様にお会いできて光栄です。申し遅れました。私は、スピカ・パトリシアと申します。グランツ王国第一王子の婚約者です」スピカは言った。


王子の婚約者であると聞いた途端に、後ろに控えていたアンデッドたちの雰囲気が険悪なものになる。が、キースが片手を挙げると、一瞬で静かになった。


「敵国の王女候補様が、アンデッド・ロードたる私に何様か?くだらん要件であれば、この場でアンデッドに変えるぞ?」スピカの表情を観察しながら、カカカと笑う。


「……スピカ様、危険です。このドランが交渉をいたしますから、お嬢様はお逃げを……」心臓を握りつぶさんばかりの、キースの威圧感に、震えながらも、ドランはスピカに言った。


「その必要はないわ。安心して、ドラン。だって、むしろ私は、アンデッドになってみたいもの!

暇な時間はゾンビの動きを研究していた私よ!この展開のぞむところだわ」


スピカの眼球が突如、グリッと上に向いて白目に変わり、両手を胸の位置まであげて、カクカクと死後硬直をイメージしたダンスを開始する。


「「「Wooo!!!これは、完璧なゾンビダンスだああ!!!」」」


先ほどまで、部屋の隅に立って殺気を向けていたアンデットの琴線に触れる。

前世で、無数のゾンビを見てきたことによって洗練されたゾンビらしさに満ち溢れた動きは、ゾンビを含むアンデッドの心を掴んだ。


「あの姉ちゃん、人間なのに、俺たちよりアンデッドだぜ!!」

「最高だ!最高のゾンビだ!」


盛り上がりが最高潮に達した時、スピカは口のなかに隠していたカプセルを噛む。中には、蛍光グリーンのネバついた液体が入っている。


「グオオオオオオ!!!!!」スピカはシャウトとともに、蛍光色の液体を観客に向けてぶちまけた。


観客は、ゾンビよりもゾンビらしい演出に、オーディエンスは大盛り上がりだ。

夜な夜な蛍光色の液体の調合に取り組んだ成果があったと、スピカ自身も大満足。

ドランも満足してくれたかな?と思ってスピカは振り返る。


「……お嬢様がっ、お嬢様がおかしくなってしまった。だっ、旦那様に申し訳が……」ドランは目を見開いて、でブツブツと呟いている。


まだ、刺激が強すぎたようだ。

異世界人には、もっと大人しい演出から始めた方がよかったのかもしれない。と、スピカは反省する。

久々にゾンビダンスを披露でき、満足したスピカは、キースと再び正面から向き合う。


「……スピカ嬢、父上殿が処刑されたのがよほどショックだったのだな」キースは、スピカに気遣う様に言った。

「えっ、なんでドン引きされてるの?」スピカは言った。


このあと、アンデッドたちのアンコールに答え、しばらくの間、スピカによるワンマンショーが繰り広げられた。


「で、スピカ嬢ここに来た本題は、何か?」あきれた様子で、キースは言った。

「映画を一緒につくりませんこと?」

「断る」キースは即答した。

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