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自灯籠  作者: 葦原爽楽
自灯籠 領域内の数学者
65/211

第十九話 悲劇の始まり

新キャラ登場。


曲を聴いた後、俺は堅洲国に入界した。

感想?粉ニマさんの歌は毎回最高ですよ。

ポップで明るい、だけど切ない、そんな曲調。

楽しいことばかりではない、時に衝突や別れが生じる友人との付き合いを、4分12秒間感情を込めて歌っていたと思う。

さて、問題はこっちだ。


瞬時に形成される赤い世界。さっき見た光景。

堅洲国に到着した俺は、周囲を確認する。

確かアラディアさんによると、咎人すぐ近くにいるとか言っていたが。

しかし咎人の姿は無い。

仕方ない。タッチ画面インターフェースを起動する。

これですぐにでも位置が分かるだろう。

そう考えていた俺だが、早速的が外れた。


(ん?レーダーに反応が無い。情報が表示されないぞ)


咎人の反応が一切無い。こんなことは初めてだ。

試しに時間をおいて再び試行しても結果は同じ。

堅洲国中を探るアラディアさん特性のレーダーで、一切捉えられない。


(なんだ?姿を消してる?いや、そんな馬鹿な。そんなことでこのレーダーからは逃れられない。

それとも咎人が熾天使(セラフィム)だったとか?可能性はあるかもしれない。けどそうなったら高天原が嘘の情報を流したことになる。そんなことあるか?それともアラディアさんを疑えば良いのか?)


頭の中で疑問符がどんどん湧き出る。

レーダーは相変わらず無反応。画面の中で無機質に周囲をぐるぐると探っている。

こりゃあ一回元に戻った方がいいな。俺はそう決意し、一度桃花に戻ることにした。


「もし、そこの方」


その時、後ろから声をかけられた。

振り向く。そこには三メートルはあろうかという巨体。

鹿か?全身の半分以上の長さの大きい角が天に逆立っている。

四本の足は、それぞれが三本の指で巨体を支えている。

全身は深い毛に覆われ、寒冷地に適した動物だということが分かる。

おかしいのは牙か。草食獣である鹿の顔、その口から肉食獣のような牙がチラチラ見える。

まあなんでもありな存在が集う堅洲国で、おかしいも何もないのだが。


俺は一応後ずさり警戒はしながら、目の前の鹿を見上げる。

声に敵意はなかった。瞳も平静のそれだ。

だけど油断はできない。時々いるんだよ、赤ちゃんみたいに澄んだ目で俺を殺そうとする奴。以前それで痛い目に遭いました。


「先ほどからどうなされたので?見れば何か納得がいかない表情。ついさっきも連れの方と一緒にここへ来た少年ではありませんか」


女性のように高い声だ。見かけによらず、いや、見かけ通りか。鹿ってなんかそんなイメージがある。

まあそれはいい。彼女?の言葉を拾うと、さっきアラディアさんに落とされたところをバッチリ見られているようだ。

一応名乗っておこう。


「ええと、俺粛正機関のもので、今回ある咎人を殺しに来たんです。けどさっきからその咎人がどこにいるか分からなくて困ってて」


緊張しながら言葉を紡ぐ。彼女も堅洲国に存在する者なら、粛正機関の名前も当然知っているはずだ。

咎人だった場合今すぐにでも殺されかねない。今俺は非常に危ない綱渡りをしている。

しかし俺の心配を余所(よそ)に、巨鹿の反応はあっさりしたものだった。


「ああ、粛正機関の。粛正対象の咎人はどのようなもので?」


巨鹿は俺の匂いを嗅ぎながら、頭を傾げて聞いてくる。

友好的でよかった。俺の疑問に答えてくれるらしい。その親切心に甘えさせてもらおう。


「咎人の名前はヘスリヒって言います。肉の塊に手足が無数に生えた姿してて、えっとこんな感じです」


魔術を使って、俺の頭の中の記録を外に映す。

空中に浮かんだ像は、瞬く間に咎人の姿を象り、ターゲットである肉塊を形成する。

その姿を見て、巨鹿の目が細まった、気がした。


「これは・・・・・・ああ、あれですか。なるほど、ついに彼女も」

「彼女?」

「いいえ、これはどうでもいい話ですね。確かに、この咎人も先ほどまで七層にいました。

しかしつい先ほど上の階層、第六層に行ってしまいました」


上。それを聞いて、集の脳内に先ほどアラディアから聞いたことを思い出す。

粛正機関だけを狙っている。

上層、中層見境無し。

俺はある可能性に行き着き、慌てて空間を移動する術式を編成(へんせい)する。

魔術は一瞬で完成し、俺の身体が消えるように薄れていく。

最後に、情報を提供してくれた巨鹿に礼を言う。


「すんません、情報ありがとうございました!」

「いえ、大した事ではありません。ただ、」


巨鹿は一旦言葉を区切り、一瞬の後にまた言った。


「彼女に、どうか死の救いを。粛正機関の方」


その直後に空間移動の魔術で、俺は上の層に移動する。

消える視界。現われる赤い大地。そして、白い肉塊。

最後に聞こえた巨鹿の言葉。

その意味を、俺はすぐに知ることになった。




それは突然の出来事だった。

堅洲国で咎人を粛正していた。

無事に完了。ワニのような咎人を縄張り内で倒し、帰宅しようとした際。


目の前に醜悪な肉の塊が現われた。


「うっそぉぉぉおおおおおおお!?!?!」


私、エクシリアは瞬時に咎人の霊格の総量を見る。

そして気づく。あ、私じゃ勝てないと。

全長十数メートルほどの巨大な白い肉塊。足やら手やらが無数についていて、それを高速で動かして走っている。

加えて象の鼻のような触手が計八本。ワームのように口を開き、シャアアアアと威嚇してる。

肉塊の表面には様々な人面が浮かびあがっている。泣いている、絶望している。

クリーチャー。まさにそう呼ぶにふさわしい。


私はそのクリーチャーに背を向け、全力でダッシュする。

戦う気は毛頭ない。私の存在の格は主天使(ドミニオン)。対してあのクリーチャーは私より上だ。考えたくはないが、座天使(スローンズ)の領域に到達しているかもしれない。

つまり格上。本来なら逃げることすらできない相手。相対した時点で死が確定する。

だけど私にはのうのうと座して死を待つ気はない。それくらいなら最後まで無様に逃げ切ってやる。


一歩踏み出して、時間の概念を超越する。周囲の時間が止まり、私はその中で加速する。

しかし背後からの爆音は止まらない。クリーチャーは私と同じく時間を超えて、無数の手足で地鳴りを上げながら私に迫る。


「グゲガガアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「ひっ!あぁもう、マジ最悪!!」


精神を粉砕するような絶叫。

背筋が凍り、足が止まりそうになる。

その恐怖に耐えるために、私も負けじと大声を出す。


(葦の国に戻る術は少し時間かかるのよね。そんな隙をさらしたらあいつに追いつかれる!

あぁ、厄日。お姉ちゃんの言う通り今日は堅洲国に来なきゃ良かった・・・・・)


後悔するが、時既に遅し。起こってしまったことは戻らない。

誰か、誰か来てくれ。十分距離を取れば私は元の場所に帰れる。

来るはずの無いヒーローを待ち望みながら走っていると、突如足下の大地から触手が突き破って来た。


「んなあぁ!!?」


触手は足に絡みつき、私の動きを拘束する。

気持ち悪い触感が足に伝わる。触手は私を地面の中に引きずり込む。

硬い土の中を引きずり回されて、そして地上に出る。

片足を掴まれて空中にブラブラと宙づりになる。

目の前には人面が浮かんだ肉塊。数百はある目は全て私を映している。

あ、終わった。呆けたまま私は死を確信する。

肉に大きな亀裂が走り、ガパッと鋭い牙が並んだ口が開かれる。

触手が私をそれに近づけ、奈落のような口は私を歓迎する。

食べようとしているのか、私を。魂だけじゃなくて、物理的に。

駄目だ、もう泣くしかない。


(お姉ちゃん、助けてぇ)


涙ながらに助けを求めるが、肝心の姉は今出かけ中。

鼻先にまでその吐息が聞こえ、思わず目をギュッとつむるエクシリア。


直後、白い肉塊に矢が突き刺さった。


「え?」


正確に言えばそれは矢ではなかった。

高速で跳躍し、咎人の身体に拳を突き立てた海曜集だった。


「コンバート 死滅」


殴ると同時に、その命を終わらせる。

殴打の衝撃で吹き飛ぶ咎人の巨体。地面を削りながら、たっぷり百メートルその場から距離を離される。

俺は触手から解放され、落下した少女をお姫様抱っこのように受け止める。

ピンク色のツインテール。幼さの残る顔立ち。外見と体重からして美羽たちと同じ高校性くらいの年か。


「良かった。怪我は無い?」


俺は彼女を降ろして、安否(あんぴ)確認をする。

少女は何が起きたのか分からない表情をしていたが、ハッとして我に戻る。

赤面しながら俺に頭を下げた。


「あ、ありがと、ございます。私、あれから逃げてて」


少女の言うあれとは間違いなくあの咎人だろう。

集は目立った外傷が無いことを確認する。

確認した所で、咎人・ヘスリヒを見る。

その巨大な身体を起こし、数百の目で俺を睨み付けている。

死の拳を放ったはずなのに、死んでいない。


俺が殴った箇所を見る。

そこだけ赤く、体内の肉が丸見えになっている。

そして俺は近くに落ちていた白い肉の塊を見る。

恐らく咎人のものであろう白い肉は、その色が黒に変色していき、やがて炭のように死滅した。


(切り落としたのか。俺が触れた時に)


そうして死を無効にしたと。

だが、攻撃自体は通じる。

触れることは出来る。顕現も通じる。

数週間前の俺なら手出しもできない下層の咎人。だが今は戦える。

それを感じて、俺は隣の少女に声をかける。


「君、名前は?」

「あ、エクシリアって言います」

「じゃあエクシリアちゃん。君はすぐに元の世界に戻った方がいい。あの咎人は危険だ」

「あ、あの~、そうしたいのは山々なんですけど~」


少女が申し訳なさそうに手を上げる。


「帰還するための魔術が使えません」

「え?」


思わず素の声が出てしまう。

エクシリアちゃんは弁解(べんかい)するように声を張り上げる。


「もちろん帰還するための方法は知ってますよ!当然です。

けど、さっき咎人に触れられた後から、魔術が使えないんです」


まじで?それじゃあここから出ることはできないんじゃあ・・・・・・。


「グゲガアアアアアアアアァァァァァァァァァ!!!」


再び絶叫をあげるヘスリヒ。

聞いただけで精神が病みそうな声。百メートル離れたここにも爆音が聞こえる。

音が俺たちを打つ。全身をビリビリとした衝撃が伝う。


チラリと横を見る。エクシリアちゃんは怯えた表情でヘスリヒを見ている。

エクシリアちゃんは見た感じ、俺とあの咎人より格が下だ。

戦闘についてこれるのかどうかと言われたら、否と答えるしかない。


「俺が時間を稼ぐから、エクシリアちゃんはその隙にどこか遠くへ逃げて!」

「え、あ、はい!わかりました!」


たぶんそれが最善の答えだ。

一人で行動しては他の咎人に襲われる可能性もある。けどヘスリヒを相手取るよりかは、勝ち目があるだけ百倍ましだ。

俺が帰還するための術を使っても、あの咎人はその一瞬すら許さないだろう。

答えるや否やその場を立ち去る少女。

それと同時に、咎人も動き出した。

象の鼻のような触手。そのうちの四本がエクシリアちゃんに、残った四本が俺に向かって伸ばされる。

咎人にとって百メートルの距離などあってないようなもの。ワームのような触手は俺たちを食いちぎろうと歯を光らせる。


俺は拳を地面に叩き込む。


「コンバート 壁」


地面が脈打ち、俺の前に巨大な壁が建つ。

厚さ30メートルもの巨大な城壁。堅洲国の土を鋼鉄以上の硬度に変換し、それで盾を作った。

しかし期待はできない。

ガガガガガガガガガガガガ!!! と、ドリルが壁をを粉砕する音が聞こえ、壁から八本の触手が勢いよく飛び出る。

元より壁はエクシリアちゃんの逃走の手助け。既に彼女は視界には入らない場所にまで移動した。

それを悟った触手は俺に狙いをつける。


シャアアアアと殺気が込められた声を発する触手たち。

一つ一つがが容易く地面を貫通し、顕現者であろうが致死に追いやる力を持つ。

それを俺は避ける。ステップを刻んで、飛び退いて、ジャンプして、宙返りをして、躱して躱して躱して躱して躱して躱して躱して躱す。

決して避けられない速さじゃない。跳ねながら俺は触手の全てに触れる。


触れた感触は、麻袋の中に泥を流し入れたような不気味な冷たさがあった。

俺が触れた触手は動きを止める。命令を待つ機械のようだ。


「コンバート 焼却」


告げると同時に触手の群れが発火する。

真紅の炎は触手を細胞ごと焼き尽くす。熱さに悶えるが無駄だ。

存在の根本ごと変えたのだ。俺が触れた触手は焼却という意味に変わり、その意味の通りに燃え尽きる。

やがて炭化した細胞の一片も残らずに触手は燃え尽きた。


そして聞こえる地鳴り。その音の大きさは徐々に増している。

もちろん咎人だ。壁に衝突し、壁を吹き飛ばす。

破片は遙か彼方にまで飛んでいき、危うく俺にも当たりかけた。


接近してくれるとはありがたい。その気なら俺もそうさせて貰おう。

俺に無数の手と足が伸ばされる。俺を叩き潰し、踏みつけるために。

だが先ほどの触手と同じく避けきれない速度ではない。

落ち着いて、正確に攻撃をさばく。

先ほどエクシリアちゃんは触れられたら魔術が使えなくなったと言っていた。

それが本当なら、できる限り接触は避けた方が良い。

俺と同じく触れることで効果を発揮する顕現かもしれない。となると無形型か。

しかし、今のところ俺に異常は無い。先ほど八回も触手に触れたのに。

現段階で考えられることは二つ。咎人・レイナの顕現の強制力が低いのか、あるいは効果が蓄積するものなのか。

格下であるエクシリアちゃんには通じたが、俺には通じていないことからその正体がある程度推測される。


雨のように降り注ぐ手足。俺はそれを掻い潜って本体に近づく。

先ほどの変換では身体の一部を切り離して無効化された。

なら必要なのは一瞬で中枢(ちゅうすう)まで届く一撃。

拳が届く位置にまで潜り込み、右ストレートを見舞う。


「コンバート 貫通」


打撃の衝撃が巨体を貫通し、ぶよぶよの肉を突き破る。

破れた肉から黄ばんだ中身を辺りにぶちまけた。

痛みに咎人が悲鳴を上げる。見た目に反して人間の声なのが余計に背筋を凍り付かせる。


それは俺の攻撃が有効である証拠。

この調子で続けていけば、いずれ咎人を倒せる。

ちまちま削ることになるが、持久戦は慣れている。過去に5時間は戦い続けたこともあるんだ。あの体験に比べればなんのその。


だけど、その時俺の脳裏に何かが走った。


「!!?」


強制的に映像が流れる。

視界にノイズが、現実と乖離していく。

なんだ、これは。三人誰かがいる。この光景は、この視線の主は、誰だ?



ザザッザーザザザザザザザザザーーー。(テレビの砂嵐の音)


虎の姿をした咎人。

私はその喉に刃を当て、掻き切った。


「ッッッッ!!」


声を出すこともできずに、その身体が倒れる。

二メートルほどの体躯を持つ大虎は堅洲国にその魂を散らせた。

その目は最後まで、私を睨んでいた気がする。

そして訪れる魂喰い。私が砕いた彼の魂が、私の中に入ってくる。

そして融合。混ざり合って、一体となる。


「ふぅ、」


魂喰いが完了して、初めて私は安堵の溜息をついた。

魂喰いは対象者が死亡した、最も信頼できる合図だ。

粛正終了。七層の相手だけあって、それなりに苦労した相手だった。

後は帰るだけ。自分に近づく二人の姿を確認する。


「終わったか、レイナ」

「今日も粛正ご苦労さま~っと。風呂入りたいからさっさと帰ろうぜ」


厳粛な顔立ちの青年ログと、軽い笑顔を浮かべている少年リガ。

同じ粛正機関の同僚だ。彼らも顕現者であり、位階は私に及ばないが、私の戦闘のサポートを任せている。

三人一緒で咎人の粛正をこなす。同じ屋根の下で暮らす、大切な仲間たちだ。

私はリガの頭を撫でる。


「お疲れさま、リガ。サポート上手になったね。戦いやすかったよ」

「ふふーん、だろぉ?横で突っ立ってるだけのログとは違うんだよ俺は」

「ほう?その割には咎人の動きに毎度びびってたように見えたがな」


横から口を挟んだログの言葉に、リガは青筋を立てる。

二人には身長差があるせいか、毎度リガがログを見上げる構図になる。

それもリガの不満を増長させた。


「んだと!?あれはもしものことを考えて、奴がこっち来た時にいつでも逃げられるようにしてただけだ!」

「それを甲斐性(かいしょう)無しと呼ぶんじゃ無いか?」

「てめえ!!」

「はいはい、二人とも落ち着いて」


飛びかかろうとしたリガとログの間に私が割って入る。

手で二人を牽制して、頭を冷やすように促す。


「ログ、言い過ぎよ。今回の咎人は貴方達とは格の差があった。自分の命を最優先にいつでも逃げられる状態でいるのは正しいわ」

「あ、ああ」

「リガ、あなたもよ。ログは突っ立ってただけじゃない。ちゃんと魔術で皆と交信して、必要な情報を教えてくれたじゃない。

今回咎人の顕現が分かったのはログのおかげよ」

「ま、まあ、そうだけどよ」


押し黙る二人。いつものことだ。リガとログが口喧嘩を起こし、そのたびに私が割って入る。

言い返せずしょんぼりとする二人。私は二人の手を取って、彼らを無理矢理握手させる。


「仲直りは?」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「仲直りは?」


最初に謝ったのはログだった。


「すまん、リガ。ついカッとなってしまった。本来なら年長者である俺が冷静に構えるべきなのに」


ログの謝罪を聞いて、リガはばつが悪い表情をする。


「いや、ログが謝るこたねぇよ。そもそも最初に喧嘩ふっかけたのは俺だし。

ごめん。言い過ぎた」


誠心誠意(せいしんせいい)頭を下げるリガ。その様子から本気で申し訳なくしていることがわかる。

それを見て、今回も仲直りできたと安堵する。

私は二人の手を取る。


「じゃあ、リガの言う通り早く帰りましょう。時間も時間だし、夕食も用意しなくちゃ」


夕食の言葉を聞いて、リガの目が輝く。


「なあレイナ、今日の夕食は?できればカレーが良いな!」

「はいはい。ならカレー作ってあげますよ」

「お、マジで!レイナ太っ腹!」

「その言い方止めなさい。私のお腹は太ってません」

「レイナ、リガはそういう意味で言ったんじゃないと思うぞ」


ログのツッコミをスルーして、私は帰還のための魔術を唱える。

今日もなんとかなってよかった。後ろの二人を見て、私はそう思う。


「黄泉戸大神開きたまえ。再び光を見るがために」



ザーザザッザザザザザザザザザッザー(テレビの砂嵐の音。だんだん意識が浮上する)


次回、共闘。

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