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自灯籠  作者: 葦原爽楽
自灯籠 領域内の数学者
50/211

第四話 奏 lectured at 蛍 and 美羽

前回、やっちまったぜ

英語使うと間違ってないか不安になります。

それはともかくこれで50回目の投稿。よくもまあこんなに続いたものだと一人感動。



そしてその15分後。

美羽の家で、僕と美羽は正座していた。


美羽は僕たちが戻った時にはパジャマを着ていた。

対面には奏。

呆れたような、困ったような表情で僕たちを見ている。

事情は全て話した。誤解は全て晴らすことができた。


「なるほどね。二人の話はわかりました。

真実だと信じましょう」


なぜか口調が他人行儀(たにんぎょうぎ)だ。

僕たちは気まずそうに奏の言葉を待つ。

奏はまず美羽に向かいあい、(さと)すように言う。


「美羽。いくら蛍と親しいからって、さすがに下着姿はまずいよ。

こんなに羊ぶってても、一皮剥けば狼なんてよくあるんだからね?

下手したら襲われるかもしれないんだから、刺激の強い格好はしないの。いいね?」

「・・・・・・はい」


美羽が申し訳なさそうに答える。さすがにまずいと分かったのだろう。

奏が言う、羊ぶってる。僕のことですね。はい。

まったくその通りだと思います。僕を表すのに適切な言葉です。


「蛍。もう一度確認するけど、美羽に注意はしたのね?」

「ええと、かなり曖昧(あいまい)に、伝えました」


それを聞いて頭を抱えだす奏。駄目だこりゃ、と聞こえたのはきっと幻聴じゃない。


「はあ、蛍の性格上仕方ないと思うけど、時にはハッキリ言うことも必要だからね。

特に今回みたいな時には。

駄目なことは駄目って言うの。いい? それは決して相手を否定することじゃない。自分にとっても、相手にとっても、最良の結果になるために助言するの。

優しい言葉とか、相手を認める言葉しか使わないなら、いずれ蛍が潰れるんだから」

「はい。まったくその通りでございます」


異論無し。全くもってその通り。五臓六腑に刻みつけて、これから気をつけます。

奏は溜息をつきながら、鞄から袋に包まれたある物を取り出す。


「はい、この話これまで!

美羽、これお見舞いのフルーツバスケット! 受け取って」


奏が両手で美羽にフルーツバスケットを差しだす。

籠の中にはメロン、梨、りんご、オレンジ、キウイ、マンゴー、パイナップルが詰め込まれている。

日常生活ではなかなかお目にかけない代物だ。


「え? これ貰っちゃっていいの?

すごく高いんじゃ」

「いやいや、そんなことないよ。

美羽には日頃からお世話になってるし、この前なんてあんなに綺麗なブローチ貰ったし。

これくらいしなきゃ逆に申し訳ないよ!」


ほれほれ、と美羽にフルーツバスケットを差しだす奏。

躊躇(ちゅうちょ)しながらも美羽はそれを受け取った。


「ありがとう。けど一人じゃ食べきれないから、蛍とカナも一緒に食べよう。

ちょうど蛍がお粥作ってくれてるから」


あ、お粥。すっかり忘れてた。

僕は鍋に駆け寄って確認する。当然冷めているが、暑いしむしろこれでいいのかもしれない。


「え? 蛍って料理も出来るの?」


奏が鍋の中身をのぞき見て呟く。


「クックパッドで確認したくらいだよ。

奏も食べる?」

「え? いいの!?」

「うん。二人分はあると思う。

奏にとっては物足りない量だと思うけど」


二つの皿にお粥をすくって、二人の待つ机まで持って行く。


「どうぞ」

「おお、赤いね」

「トマトとか梅干しとか入れてみたんだ。

夏にぴったりだと思って」

「確かに、夏バテにぴったりだね」


二人は手を合わせる。


「「いただきます!!!」」


そしてお粥に手をつける。

一口すくって、口に入れる。

数回咀嚼(そしゃく)して、最初に感想を言ったのは奏だった。


「おお、さらさらしてる。

お粥っていうよりお茶漬けに近いね。水みたいにごくごく飲めちゃうよ」

「うん。食べやすくて美味しい」

「ありがとう。そう言ってくれると嬉しいよ」


その後も二人はお粥を食べ続ける。奏に至っては調味料は何を使っているのか考えている。

お粥の調理は成功したかな。


目線をフルーツバスケットに。確か美羽は皆で食べようと言っていた。

二人が食べている間にデザートでも用意しよう。

一応、二人に提案する。


「お粥食べた後、メロン食べたい人は手を上げて」

「「はい!」」


二人が行きぴったりに手を上げる。

そんな様子を微笑ましく見ながら、僕はメロンを持って台所へ向かう。




「身体に気をつけてね美羽。じゃあね~」


奏は僕たちに手を振って、玄関から外へ出て行く。

僕たちも手を振り返す。やがて姿が見えなくなった。さて、僕も帰る準備をしよう。


「今日はありがとうね、蛍」

「いやいや、ご飯を作るくらいならいくらでもできるよ。

また明日も来るから、じゃあね」


奏に続いて、僕も美羽の家を立ち去る。

美羽は最後まで手を振ってくれた。

蒸し暑い道を歩き、黒く干からびて死んでいるミミズを見ながら、帰った後の段取りを考える。

まずお風呂に入る。その後ご飯を食べてテスト勉強をしなくては。

復習は時間をおいて何度もすることが効果的だ。記憶の定着がいいとか。


そんなことを考えていると、突如スマホが震えた。

スマホを見る。真っ黒な画面。しかし文字だけが浮かんでいる。

なんだ? バグったか?

しかし文字を見て納得した。アラディアさんだ。

遠隔から僕のスマホをハッキングしたのだろう。なんて恐ろしいことをするんだ。

そして肝心の内容。そこにはこう書かれていた。


『明日の放課後、桃花に来い』


・・・・・・え?



次回、呼び出された蛍は一人桃花へ

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