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自灯籠  作者: 葦原爽楽
自灯籠 千紫万紅の夏休み
210/211

用語説明

前回、QandAコーナー


【用語説明】 



・顕現の説明


『顕現』

自らの想いの現われ。

自己の確立した世界。そこから発生する不可思議な力。

真我(アートマン)に属するものと見なされているが、詳細は不明。

謎に満ちており、ニライカナイで様々な実験が行われているが、その正体に迫れたことはないらしい。

よく植物に例えられる。土壌が世界観(価値観)、肥料が感情、魂が殻で、芽がでて開花するものが顕現。

世界に対する優先度が非常に高いため、たとえ手の届かない遙か高次元の相手であろうと、強制的に干渉することができる。



『顕現者』

顕現を発現した者。

自分の世界、理を体現した存在。自分という独自の法則で編まれた身体を持つ。

優先度の関係ゆえ、顕現者以外の者に害されることはない。


ある者は言う。生きるとは、自分という世界を確立させていく作業だと。

周囲の環境から学び、独自の世界観を形成していく作業だと。

顕現とは、その果てに発現するのかもしれない。



・顕現の(タイプ)


『三大カテゴリー』


顕現は主に『具現型』『無形型』『展開型』の三つの大カテゴリーが存在する。

それに対し、さらに細かい分類――小カテゴリーのタイプは数多く存在する。

なお、異なる型の顕現が併存することもあり得る。

例、『狂乱(オルランド)()騎士(フリオーソ)』 無形型兼具現型




『具現型』

顕現が目に見える明確な形で現われる。主に武具や物体の形で。

しかし、目に見えて触れられるといっても、物質化してそこにあるわけではない。

仮に美羽の黒化した腕を精密機器でスキャンしたとしても、平時と同じ人間の腕が映し出される。もちろん写真にもそう映る。

そこにあるはずなのに、そこにないかのように振る舞う。なんとも不思議なもの。

三つの中で基礎的な戦闘能力が高い。肉体は頑強で、耐性も強い。個体として完成している。



『無形型』

顕現が目に見えない事象や形而上の概念という形で世界に現われる。

個体によるが極めて厄介。能力封印、行動阻害、封殺など相手を詰ませる能力が多い。

目に見えない都合上、能力の詳細を知るのが困難。

その分個体としての能力が三つの型の中で最も低く、具現型が触れれば吹き飛ぶ。



『展開型』

顕現が『世界』という形で現れる。

『世界』という最大単位を操る力。

その性質上、三つの型の中で最大規模を有している。

一度発動すると、顕現者が良しというまで広がり続ける。

オプションとして、世界の浸蝕による相手やそこにある諸概念・事象の自世界への取り込み吸収同化の機能がある。

時間・空間・力・法則・因果・事象の全てを自らのものにして自在に操作するその力は圧巻であり、同種の顕現でもなければ浸蝕された場を奪い返すことはできない。

展開した顕現は顕現者の体そのものであり、同時に自らの世界に偏在している。

だから世界ごと壊さないかぎり、展開型は殺せない。

個体としての能力は中程度。良くもなく、悪くもない。

顕現の型の中で、今まで出てきた回数が一番少ない。




・各世界の説明



・『三界構造』

数多の神話で見られる世界の形。

すなわち、高天原・葦原中国・根堅洲国の上下構造。



『高天原』

神。そして神に仕える随神たちが住まう世界。

詳細は不明。

物理的な徒歩や飛翔で辿り着ける世界ではなく、かといって空間を超越し次元をまたぐような方法でも到達することは不可能。

それは高天原全体に張り巡らされている結界による。このため、高位の咎人であろうと高天原に侵入することはできない。

高天原に行き来するためには、随神が持つ専用の通行証がなければならない。




『葦原中国』

起点の世界。美羽や蛍たちが住んでいて、ここから物語が始まる、

あらゆる宇宙論、概念、世界を内包する超々々規模の大世界。

度々登場する平行世界もその一つ。

今も無尽蔵に拡大しており、その規模は誰にも計り知れない。


顕現者で構成される『粛正機関』なるものが所々に存在する。

彼らの仕事は咎人の粛正。自分の住まう世界の防衛。顕現を発現した者の保護・・・・・などがある。

粛正機関の粛正範囲は主天使までであり、それ以降の咎人は基本高天原が担当している。



『堅洲国』

咎人、並びに鼠たちが存在し、日々殺し合いに明け暮れている。

ここに住まう者は『無道』の民とも呼ばれている。

堅洲国に住まう存在を『鼠』と総称している。そのカテゴリーの中で、高天原から粛正認定された者が『咎人』。

『魂喰い』という独自の法則が渦巻いており、ここに住まう鼠たちはもちろん、一度でもここを訪れた存在は全員がその法を身に宿す。

九層に別れており、下に行くほど鼠の数は少なく、より強大な存在が住まう。

つまり逆ピラミッドの形。



『ニライカナイ』

堅洲国にある異界。

超常、異常が当然の世界であり、連日数兆数京単位で死傷者が出る。

葦の国からやってきた客人(まろうど)。堅洲国に住まう荒脛巾(あらはばき)が集まって、その価値観・知識・技術・法則が集大成した結果、際限ない混沌に包まれている。

堅洲国は排他的な空間システムが存在するゆえに、階層ごとに鼠たちの住み分けができている。

しかしニライカナイは特殊な空間であり、存在の強弱を度外視して併存を可能にしている。

百王や七大天使などの強大な咎人が存在しており、コミュニティ・ガーデナーが日々、世界の終焉レベルの事件を解決している。


いつ誕生したのか。誰が創造したのか。それらは謎に包まれている。





・各キャラの説明



黒雲美羽


【情報】

粛正機関・桃花に属している顕現者。

高校二年生。女性。本作の主人公。

中学三年の冬の日、突如美羽と美羽の家族は咎人に襲われ、その遊びで家族が醜い化け物になる。

自分が殺されそうになった時に顕現が開花。咎人と家族を殺し、現実世界に戻る。

精神的に不安定な状態が続いたが、蛍の必死の手助けにより徐々に笑えるようになった。


高校進学と同時に、粛正機関・桃花で働くことに。

高校二年の時に出会った、奏という少女と友人になった。


顕現は凶悪かつ殺傷力に秀でており、その破壊は形の有る無しにかかわらず万象を破壊する。

それゆえ、自分が殺した者は絶対に忘れないという鉄の掟を課している。


漆黒の少女の悪夢を見ることがある。それは美羽にとって絶対的な恐怖であり、同時に自分の■■。

詳細は不明だが、その少女と『鬼ごっこ』をしているらしい。

美羽が捕まった時に何が起こるのか。それは誰にも分からない。



・顕現


暴虐の御手(アシェマ・ハザフ)

美羽の腕の顕現。美羽が最も使っている顕現。

美羽の腕に合わせスリムな形状になっているが、本性を現せば巨大で歪な豪爪になる。

別名、殺戮の槍。その名の通り槍の姿で具現化することもできる。(美羽があまり武器を使わないのでその形状にはしない)



背教(タローマティ)()歪脚(イシュヨー)

美羽の脚の顕現。

その能力は『原理』を打ち砕く。

原理とは理由。それがそれゆえにそうなっているという根本。因果の因に当たる部分。

つまり、○○だから△△の、○○の部分をぶち壊す。すると△△が成り立たず自壊する。

それゆえ法則や理を破壊することに特化している。

今のところ単純な強度が足りなければ相手に通用しないが、本来なら触れるもの全てを貫通し、一方的に破壊を与える。質量の違い、強度、格の違いという理由すら打ち砕く代物となる。実はかなりチートな代物。



渇熱の双炎(タルウィ・ザリチェ)

炎の顕現。世界樹を燃やし枯らした二柱の悪魔の名を冠する。

赤黒く、そして青黒い二つの炎。

その本質は穢れの炎。炎は熱を持たず、逆に(エネルギー)を奪い取るマイナス。

無音の火に触れたものはエネルギーを奪われ枯れ渇き、腐って老いて摩耗し滅するのみ。

身に纏えば炎の鎧となる。



不浄なる蝿王(ドゥルジ・ナス)

不義不浄の顕現。

掌に収束する黒い球体。単発型(一発の銃弾)として現われる。

単純な威力は美羽の顕現の中で最強クラス。

炸裂すれば敵の体を黒い球体が覆い尽くし、内部を異界の常識で押し潰す。世界を対象にすれば世界を丸々飲み込む。


その内部は陵、辱、嘲、嗤、侮、罵、汚、恥、屈、蔑、貶、誹、悪、羞。

あらゆる悪意と悪性情報が詰まった地獄そのもの。

上限知らずに上昇し続ける熱。絶対零度を超えて下回り続ける冷。

相反する二つの熱量が合わさり、さらに呪詛やら超重力やらが殺到して押し潰し、最後には零に縮小して押し潰す。



穢る暴風破壊の侵犯(サウルワ・パーク)

浸蝕の顕現。美羽の体から発せられる黒紫の波動が、空間を犯し占領していく。

そこにある法則は壊れ、触れてしまえば猛毒の病理で侵される。

犯し尽くされた世界は完全に埋め尽くされているので、そこから新たに創造しようと0秒で再び壊される。



悪想零落(アカ・マナフ)

秩序を乱す顕現。

因果関係がもつれ、正しい思考と言動が不可能になる。

例え思考回路が完全に狂っていて、常人からすれば意味不明で理解不能な行動をする者がいるとして、その者もこの顕現から逃れられはしない。


攻撃しようとしても思考と因果が狂い、何も出来ない。

立ち上がろうとしても、呼吸をしようとしても、それら意図したことは絶対に成し遂げられない。

どころか自身を存在させることが難しく、今にも分散しそうな自らの身体を留めるので精一杯。


論理的、因果的、秩序的な思考や言動は多くの者に共通する。それゆえ、この顕現は多くの者に通用する。

なお、顕現で拮抗するという一応の対抗策は存在する。平和王・シャロはこれによって無意識ながら対抗していた。




・顕現の共通点。


壊せないものは基本ない。

壊されたら即死し完全に消滅。破壊したものは決して治癒することはなく、たとえ掠り傷であろうと、破壊の罅は水が染み渡るように全身に広がっていく。

さらに殺傷力に力を割いたら、痕跡の全てごと抹消することができる。(相手を記憶している人、残した痕跡、その全てが自動的に壊れて消える)

また、相手の攻撃を破壊して防ぐことができる(破壊の膜)。


エネルギー、精神、魂、霊、情報、存在、空間、時間、次元、生命、粒子、法則、可能性、概念、能力、魔術、因果、現実。世界の構成要素を全て破壊する。

不死であろうが、再生能力を持とうが、それごと壊す。破壊不可能な非実在のものであろうと、概念をぶっ壊して破壊する。

死を壊して蘇る、事実を壊して自らの損傷を壊すこともできる。

美羽の顕現はこれが基本装備であり、即死技のオンパレード。

こと殺傷力において桃花トップ。

諸事情あって美羽の顕現は全て下方修正というか弱体化していて、本来の実力が発揮できていないし、この程度の数しか発現していない。




・それ以外の術技


蛇蝎磨羯(フラフストラ)

自らの身体。あるいは闇で占有した空間から湧き出る無数の獣たち。

まるでドロドロのタールが生物の形をとったかのような姿をしている。

蛇、竜、狼、熊、鼠、獅子、害虫、巨人・・・・・・・。

その強さは主である美羽の霊格に依存する。

美羽の一部ともいえる存在なので、その牙は強大な熾天使にも通じる。



『不浄門』

二元論の悪側に位置する霊体たちを呼び出す召喚術式。

普通、霊体の召喚には五芒星を書くなり鳩の血を必要とするなどの準備が必要だが、

この不浄門はそれら過程を無視して望む霊体を召喚する。

呼び出した霊体は基本美羽に対して忠実で、逆らうどころか喜んで自らの権能と霊格の全てを捧げる。

その理由は不明。



『破壊の膜』

あるいは『黒の帳』。

自分を中心にドーム状に、薄く無色透明な破壊の膜を纏っている。

これを展開している間、実体・非実体問わず、自身への干渉を全て破壊する。

殴る蹴るなどの物理的干渉、精神や魂への干渉、不都合な情報、さらには顕現にも適用される。



『呪詛の鎧』

身に纏う形の防壁。

自分に触れた者に対して適用される。

美羽の身体は呪いや病の塊であり、世界にとって不都合な悪性の集合体。

病、猛毒、激痛、死、呪い、放射能、溶解、ウイルス、麻痺。

美羽に触れたら、数千を超えるデバフが一斉に接触者に襲いかかると思えば想像しやすい。



『歪みの空間』

自身の前方に展開している。

空間を歪ませ、ひずませ、他者の攻撃をそらす。

どれだけ強大な攻撃であろうと、自分に当たらなければどうということはない。

相手からすれば放った攻撃が見当違いの地点に着弾している。

空間歪曲の原理をもって防壁として機能する。



■ ■ ■



・白咲蛍


【情報】

粛正機関・桃花に属している顕現者。

高校二年生。男性。本作の主人公。

美羽とは幼いころからの親友。小さい頃には一緒にお風呂に入ったこともある。

中学三年の冬。顕現に目覚めた美羽の『蛍だけは、ずっと一緒にいてくれるよね?』という台詞に頷き、

『うん。僕は美羽が望むなら、いつまでだって側にいるよ』と返す。

以降、この言葉を胸に刻み、それだけのために生きることにした。


性格は臆病。ゆえに一歩下がった立場を取る。

周囲に流される。特に美羽に対してそれが顕著。

主体性のなさは、自分が余計なことをしないため。

だから本当は緻密な計画を立てられるし、その通りに行動もできる。意図してそうしないだけ。


蛍の特徴の一つとして『呪い』がある。蛍は生まれながらに呪われている。詳しく言うなら『そういう星の下に産まれている』。

その呪いは、蛍の行いが彼の思惑を超え、世界に悪影響を及ぼしてしまうという内容。

誰かの幸せを想ったゆえの行為が、逆に不幸をもたらしてしまうという皮肉。

この呪いのために、蛍は主体性を自ら潰している。

いつかこの呪いを、彼が超克する時が来るのだろうか。



祝!美羽と恋人になりました!(^^)/



・顕現



『想造』

想像具現化。想像したことを創造する。

応用範囲が非常に広い。自分の創造。武器の創造。事象の創造や、他者の顕現の模倣すら成し遂げる。

自分が死んでも、死んだ後に自分を創造することで存在を保つ。

欠点として、自分の想像を超える攻撃を食らえば、様々な不死を紙を破るかのように容易く突破され死に至る。

自身の敗北を想像してしまえば、相手との実力差に関係なく自分が負ける。

などが挙げられる。


つい最近、想像の超越すら可能にした。

誰かが蛍に勝つことを想像しても、それを超えてしまうために無敵。

しかしその変容は作為的な様子が見受けられる。

特にスライと向かい合った時の蛍は、いつもの彼とは思えない程冷たい声と冷たい目だった。



神の傲慢(ヘレル・ベン・サハル)

長刀の形で具現した顕現。

その能力は創り変えること。改変改竄能力。その能力は切断と同時に発動。

新たな創造原理の挿入。

切断した対象の歴史・時間・事実を破壊し、その後0から再創造する。

『想造』の弱点であった、同格の相手に通じ難い特徴をカバーする形で現れた。




・術技


『オーベルテューレ』


想造で生み出す無数の武器群。

蛍がいつも使う常套手段。無数の武器を産み出し、それを相手にぶつける分かりやすい数の暴力。

同格であろうと傷をつけることができる(その割には本編で全然通用しないけど・・・・・)

また、これは余談だが。

蛍の産み出す武器は『オーベルテューレ』の名前がついている。

ドイツ語で序曲という意味なのだが、おそらくそれ以外の意味が内包されているのだろう。


『暁の槍』

簡単に言えば長刀ビーム。

それに込められている意味は様々。

光子やら陽子やら、様々な素粒子などを長刀に集め、無限速で撃ち出す。それをぶつけられれば素粒子単位で消し飛び滅ぶ。即席の荷電子粒子砲。

次に、神話にある見るなのタブー。聖書において硫黄と火が降り注ぐ街を振り向いてしまったがゆえに塩の柱となった伝承を利用した。触れるもの全てを魂まで塩に変え、圧倒的熱量で沸騰させる。

光には致死量を遙かに超える放射線が込められ、被爆すれば顕現者であろうが死に絶える。

それに蛍の荒唐無稽な想像も加わり、絶大な威力を発揮する。

これ自体に切断した相手を書き換える効果は付属しない。


なお、必殺技なのに作中これが決定打になったことは一度も無い。




『ケラウノス・オーベルテューレ』

神秘的な形状と神気を有するショットガン。周囲にある霊子やらエーテルやら粒子やらを吸収し、三つの銃口から未知のエネルギーと共に放つ。

無の領域に叩き堕とされたとしても、その無を無という情報をエネルギーに変換し、銃弾として撃ち出す。

純粋な火力は蛍の持つ手段の中で最高火力。



『アイン・ソフ・オウル』

赤い竜骸を纏い、戦闘能力を大幅に向上させる。

全身を赤い鱗が浸食し、竜の口のようなマスクが形成される。背中から爪のような翼が飛び出し、赤とエメラルド色に不気味に発光するその数は計12。

鋼を遥かに上回る筋繊維が凝縮した赤い尾は蛇のように曲がりくねり、触れれば如何なる者であろうと切り裂く。(平和王に襲われ、瀕死となり覚醒した美羽の姿と似ている)

同格の中でも遙かに上の実力を持つローランや、覚醒したファルファレナとも互角に渡り合える程の力を発揮した。

なお、あまりに強すぎて完全には使いこなせていない。



『煌熾の光』

展開する防壁の一つ。

蛍の全身から放たれる不可視の光が、蛍への干渉を焼き尽くす。

仏像や聖者のイコンには、その背後に光輝く光輪が描かれている場合が多い。

それはその者の神聖を表わし、尊く触れがたい存在であることの証明。

蛍の光もそれと似たもの。



・その他



『■■の呪い』

簡単に言うと不幸。呪い。

蛍の身に不幸が下るよう、世界がそのように廻る。

だから蛍がどれだけ論理的かつ常識的な行動をしようとも無駄で、本人の能力を超えて、世界が決して乗り越えられない艱難を与える。

まさしくそういう星の下に生まれたからとしか言い様がない不幸。



■ ■ ■



・否笠


【情報】

粛正機関・桃花店長

美羽・蛍の監督役。彼らを保護した張本人。

粛正業のアドバイスや生活支援など、同じ顕現者としてできうる限りの手助けを行っている。

老齢に達しているが、粛正者としての実力は本物。


本人は自分の顕現を忌々しいとさえ想っている。

それは彼の過去と密接に関わっている。



顕現 

絶無の魔神(メフィストフェレス)


万象否定の顕現。

感覚としては、書かれている文に対して、否定文を付け加えるものらしい。

例えば、『美羽は破壊を宿す顕現を有――さない』『蛍は想像したものを創造でき――ない』といったふうに。

その性質上、いかなる命題であれ否定文がつけられるなら否定できる。

否定されたものは存在できず、どのような現象であろうと消滅する。

能力の使用も許さないため、これを使われた時点で大抵の顕現者は詰む。


しかし、いかなるものにも例外はあり、否笠の顕現が通用しないこともある。

まず単純に彼よりも格上のもの。絶対的な格の差ゆえ、その命題を否定することはできない。

そして既に死した者。輪廻に帰ったその魂を否定し、再び現世に生き返らせるという芸当も不可能。

さらに美羽の顕現による破壊。あれは否定しようにも、命題ごと砕かれているため否定不可能。



■ ■ ■


・天都契


【情報】

粛正機関・桃花店員。

店長に続く古株であり、度々美羽や蛍に戦術指導している。


過去、ニライカナイに姉と一緒に住んでいた。

しかし『魔道具』と呼ばれる超常アイテムを狙う、とあるコミュニティに姉を奪われてしまう。

当時若かった否笠と組み、最終的に姉を見つけるも、もはや手遅れで自らの手で殺すことに。

姉に救ってもらった命。だからこそ自分も誰かのためにこの命を使う。

姉との約束を、今度こそ違えない。そう誓っている。



顕現 『契約』

自分と他者の間で約束事を取り決める。

するとその契約を履行するための力が天都に与えられる。

例 天都『お前を倒したい』 咎人『いいよ、やってみな!』→両者間で契約が成り立ち、相手を殺せる程の力が手に入る。

上手く嵌まれば格上にも通じるため、格上殺し(ジャイアントキリング)の性質も有する。



■ ■ ■


・アラディア


【情報】

粛正機関・桃花店員。

天上天下に唯我独尊のやべえ人。同じ同業者である美羽や蛍をトレーニングと称して拷問するくらい。

『百王』のカテゴリーの一つ、魔術王の一人。

彼が扱う魔術は全てを表現する。

所帯を持ち、妻と娘がいる。

ガーデナーの仮頭首・シェーレを伝って、桃花とのパイプを繋げてもらい、以降所属することになった。



顕現・???

不明。桃花の従業員でも目撃した事がないらしい。



■ ■ ■


・鏡花霞


【情報】

粛正機関・桃花店員。

常に酒を飲む酔っ払い。

美貌やスタイルは相当のもので、蛍曰く「酒を除けば完璧」。


過去、古い慣習を引きずる家に生まれた。

進路、友人、生活、自由、その全てに父親の意思が干渉し、閉塞感のもと多大な精神的苦痛を味わう。

男尊女卑の風潮が今よりも強く、自分を縛る鎖である外のあれこれに、内心ぶち切れていた。


顕現を開花させてからは人生が変わった。

毎日好きなだけ酒を飲み、咎人を殺してその命を味わい、見た目通りぐうたら生活している。

両親からの言葉などなんのその。顕現者となってからは一度も連絡をとっていないらしい。


最近、美羽のお母さん役にはまっている。


顕現 『狂乱怒(オルギア)()催す酒神(ディオニュソス)

展開型。世界を塗り潰し、四方八方を酒海で埋め尽くす。

この空間に存在するだけで酔いが回り、顕現者であってもまともに立つことができない。

どころか現実ごと溶かされ、至福の心地のまま世界と一体化する。

戦闘時にはこれら常時展開される能力の他、膨大な酒海の津波を叩きつけ、島々に生える木々や植物を鞭や槍のようにして操る。

原子の一片までも霞の法則で染まっているため、敵に逃げ場などなく、酒海の津波に呑みこまれ攪乱されるしかない




■ ■ ■


海曜集


【情報】

粛正機関・桃花店員。

大学生。歳は19。美羽や蛍の先輩。


大学で友人と学び、その後遊んだり桃花で働いたり、そこそこ人生エンジョイ勢。

咎人の粛正も仕方ないと割り切り、しかし無血で済むのならそれに越したことはないと考えている。

実は性格があやふや。作者が人物像をあまり深く考えなかったらこうなります。


とある咎人と戦った時、エクシリアという別の粛正機関の顕現者と出会う。

二人で共闘し、咎人を撃破。

しかしこのことは集の心に大きなトラウマを残す。

美羽や蛍のように絶対に守りたいものがあるわけでも、アラディアや否笠のように超越した魂を有するわけでもない。

つまり彼は普通であり、それゆえ傷を負いやすい。



顕現 『変換』

手で触れた事象を、望んだ事象に変換する。

生を死に、氷を炎に、物質を霊魂に、など。かなり万能な働きをする。

最近、多数の変換事象を一挙に押しつけることが可能になった。

だが、これで本領を発揮しているかと言われれば、どうも不自然な点が残る。



■ ■ ■


・その他登場人物


愛沢奏


【情報】

美羽と蛍の親友。高校生。

美羽からは「カナ」。蛍からは「奏」と呼ばれている。

バトミントン部所属。朝にジョギングもしており、身体能力は(人の内では)高い方。

美羽と蛍からは「日常の象徴」と捉えられており、それほど大切な存在。

一度大事なものを失った美羽は、次こそ絶対に、大事な(カナ)は無くさないと心に決めている。

蛍も、自分と美羽を良くしてくれる奏を非常に大事に想っており、命を賭けて・・・・それ以上の気持ちで彼女を守りたいと想っている。


本人は美羽と蛍をくっつけようと考え、そのように行動しているが、

それは世にはびこる恋愛至上主義者の押しつけがましさでは断じてない。

「モテないと負け組」とか「恋をしないと可哀想」とか「彼氏/彼女と付き合って、結婚することが一番良い」だとか、そんな低い次元の話では決してない。

奏が想っているのはもっと深く、真に二人を想ったゆえの感情。

だからこそ、二人をくっつけようと画策する彼女の目は、どこか必死さすら感じられる。



■ ■ ■


用語説明 ver堅洲国



・鼠

堅洲国の住人を総称して言う。

無道の民であり、咎人もこれに含まれる。

堅洲国で産まれた者を『荒脛巾』。外から入ってきた者を『客人』と呼んでいる。


・咎人

堅洲国に住まい、葦の国に害をなす者。

その目的や罪業は様々。


・縄張り

堅洲国に住まう鼠たちが、周囲の空間を奪い取って造り出す自分だけの空間。住居。

一種のアジール。俗世の法から解放された場所。

自己の内部世界を拡張し、それを固定させている。展開型と似たようなもの。

堅洲国では縄張りに無断で立ち入ってはならないという、暗黙の了解(不文律)が成り立っている。

これは上位者が決めたことではなく、鼠たちが日々殺し合う中で、自然と確立されていった法。

縄張りの物理定数や法則など、主は自由に決めることができる。縄張りの中に限れば神と呼んでもいいかもしれない。

なお、縄張りは自然とできる者もいればできない者もいる。そのため縄張りの製作方法を学ぶために、ある者は展開型に頼んで、ある者は他の咎人に恥を忍んで教えを乞い、ある者はニライカナイの『初心者でもできる縄張り製作講座』を受ける。



・堅洲国 各層の大体の基準


第一層 天使たちの住処  非力なものや、発生したばかりの荒脛巾(堅洲国から発生した者)がここにいる。

第二層 大天使たちの住処 ここから基準が上がる。だいたい物理法則など知らんと無視して、国を壊し大陸を砕き海を蒸発させ山脈を消し飛ばし星を消滅させる。

第三層 権天使たちの住処 平行宇宙や無限次元、多元宇宙規模の全知全能者。また、それらと戦える者が多くを占める。ここまでが非顕現者の階層。通称、上層。なお、顕現の有無はともかく、霊格の大きさだけを見れば、四層五層に匹敵する存在もいる。

第四層 能天使たちの住処 顕現者ビギナーの層。ここから戦術や立ち振る舞い、様々な技術を学んでより下の階層を目指す。顕現者以外では戦闘にもならない。可能性から超越している(それゆえ、顕現者が平行世界で分岐することはない。だから顕現者は有限)

第五層 力天使たちの住処 特筆すべき点はない。

第六層 主天使たちの住処 ここまでが中層であり、粛正機関の粛正担当範囲。

第七層 座天使たちの住処 粛正機関の粛正担当(アベレージ)を超える、神の領域に一歩踏み込んだ化け物が住む。

第八層 智天使たちの住処 ここから二つ名持ちの有名な咎人が増える。

第九層 熾天使たちの住処 一応の終極点。咎人たちの理想。



・熾天使

これより先の位階は一つしかない。

実力差が激しく、同じ熾天使であっても強さに差がある。

百王≧七大天使クラス(熾天使上位)>並の熾天使>熾天使に成り上がったばかり(熾天使ビギナー)

といった感じ。

作中で『熾天使すら葬る~』とか出てきたら、それは並の熾天使を基準にした測り方。

作中でよく単位として使われる。



・百王

熾天使の位階にあるが、実質その上にいる者たち。

総じて想像を絶する力を持ち、周囲への影響力が甚大。

その名の如く、大体百人くらいいるんじゃね? というアバウトな基準で名づけられた。

作中で実際に出てきたのは以下。


平和王・シャロ。

魔術王・アラディア。魔術王・ヘカテ。



なお、魔術王の例を見てわかる通り、百王というのは『〇〇王』という一つの括りで一人という認識。

それゆえ、同じ名を冠する王が複数いても問題ではない。

なお、それに近い存在としてファルファレナの名が挙げられる。



■ ■ ■


用語説明 ver高天原


随神(かむながら)

高天原に属する粛正者。

その名の通り、神に随う者。

葦の国で働く粛正者よりも強く、彼らが対応できない下層の咎人を担当する。



・十二天

随神を率いる十二の粛正者。

それゆえ、高天原の隊の数も十二。

能力や相性を考慮するわけではないが、素の実力は七大天使と同格だと言われている。


作中に出てきた十二天は

シュヴァラ 

ロウ の二人。



・神霊

十二天の上にいる者。

神。すなわち随神の支配者。

産まれながらに神性が最大減に解放され、随神すら凌駕する力を持つ。

しかし神話に綴られる神そのものではなく、実際には神以外の者がその神座に着いている。

つまり生き神、あるいは現人神。


作中に出てきたのは、焔――ニギハヤヒ。 美穂――豊受大神。




■ ■ ■


・『肉体』

顕現者、というか存在は実に多様な体、あるいは器を所有している。

肉体 電脳体 霊体 星幽体 モナド体 精神体 虚数体・・・・・・。



肉体 知っての通り、物理法則に従った物質的な身体。粒子やエネルギーで構成されている。

霊魂体(アウゴエイデス) 物理法則を受け付けない高位の霊的な身体。核だろうが宇宙を滅ぼす爆弾だろうが、それが物理的なものである限り霊体には干渉できない。

精神体(メンタルボディ) 精神的な体。なお、この作品では精神と魂は別物。それぞれに役割がある。

虚数体 存在しないのに存在している器。タキオンがその代名詞。これを自覚し手に入れた者を壊すには、存在しないものを殺す荒唐無稽を成し遂げる必要がある。

モナド体 身体を構成する素粒子よりも無限に小さいモナドで構成された身体。世界の鏡。とある咎人がこれについて言及していた。

星幽体(アストラルボディ) 。これに目覚めれば星光となり、高次のエネルギーと接続できる。

エーテル体 未知のエネルギーで構築された身体。

神体 神性を含む何か。神としての体。

法則体 自分が確立した法則、理。それによって構成される体。法則というものが糸のように積み重なって出来ている。

などなど。


これら全てが、一つの体に重なって存在する。

すなわち存在というものは統合体となっている。


肉体を脱ぎ捨て高次の衣を纏うのではなく、全てを包有して一つの身体となす。

高位の顕現者はこれら全てを破壊しない限り、何度でも蘇る。

例え肉体が消滅したとしても、残りの器が存在する限り無問題。その後に肉体を創造すればいい。

よって葬るために一瞬で全ての器を壊す必要がある。


体はそれぞれ時間や空間や次元を含んでおり、霊格の内に過去現在未来や、広大無辺な空間を宿している。

だから顕現者は人というより、一つの世界のようなもの。

霊格の増大と共に身体や身体機能も拡張され、自由度が増大していく。



・霊格

存在量。

強さの指標であり、霊格の大きい者の方が基本強い。

対象の熱量や質量、エネルギー量や、上述した多種多様な体の合算。

それにプラスして、その時間密度や空間量や次元構造も合わさり、顕現者が発する想念を加えて初めて霊格量を導き出せる。

無論、正確な計算は無理。



・マテリアライズ


自分の肉体を好みの形に変形する技法。

一粒子単位、一原子単位で配列や形を入れ替えることができる。

これによって自分の顔や体を、まるでゲームのキャラメイクのように選択することができる。

巨大化や縮小化も可能。選択できる大きさの限界はない。

堅洲国やニライカナイの住人は、一生に一度くらいはこれをしたことがある。

無論、それに対して抱く想いは人それぞれ。

親から貰った体を変えるなんてとんでもないと想う者もいれば、『ラッキー!完璧美形の自分が手に入るじゃん!』と抵抗を持たない者もいる。



■ ■ ■


・第六感


味覚、視覚、触覚、嗅覚、聴覚。人間が持つ五感の、その先にあるもの。

直感と言われることもある。本編では全員標準装備。

これが鋭ければ鋭いほど相手の攻撃や回避場所などがなんとなく分かり、最適解を選び取れる。

産まれながらに六感が鋭敏な者や、修行によって自由に使いこなせる者がいる。蛍と美羽は後者。


美羽や蛍の体験談によると、自分の周囲に感覚を張り巡らせている感じらしい。

であれば本編での活躍も納得ができる。感知できる幅が広まったのだから、そこに入り込んだ者の一挙一動は筒抜けなのだから。


・第七感


預言者や霊能者はこれを用いるとか。

人の意識が3次元上からいなくなり、別次元を理解する。

未来を見通し、また距離を無視してものを見る千里眼。

気の視覚化。

電気や熱、周波数や波など、様々なものを感覚として捉える。

テレパシー、などのESP(超能力)

潜在意識・潜在能力の開花など、実に様々な効能が得られる。


別名、末那識。


・第八感


アカシックレコードや宇宙、普遍的無意識、高次存在と接続できる。

世界の全てと繋がる。全は一であり、一は全。

全てが一つであることを知ることができる。その応用で全世界の遍在が可能になる。

蛍が本編で詳細に描写してくれた。


別名、阿頼耶識。

自分に蓄えられた貯蔵庫でもあるので、過去現在未来の体験・知識・功績・因果・記憶など、その全てがある。

第七感までの感覚は対象の死と共に滅び去るが、この第八感は別。死した後も、続いていく。

高次自己(ハイヤーセルフ)もこの位階にあたる。



・第九感



別名、阿摩羅識

ある意味で仏そのもの。不変なる生命の奔流。


神の感覚。これがどういったものかは辿り着いたものしか分からないし、詳細を記すことも不可能。

有り体に言ってしまえば全知全能なのだが、その言葉で言い表すには疑問が残る。


ちなみに、蛍が瞑想中に感じ取った白い領域は、これとは無関係。偶然繋がってしまっただけ。

しかしこれを契機に、蛍の内で何かが変わったことは確か。



■ ■ ■




『堅洲国へのゲート』

各平行世界に必ず存在する。

特殊な紋様が刻まれた、一種の鳥居。

時空も次元も異なる特殊な位相にある堅洲国へ行ける。

なお、このゲートには浄化作用があり、堅洲国から帰還する際には魂レベルで祓い清めが行われる。

なぜかというと堅洲国の環境が劣悪で、未知の病や病原菌のオンパレードだから。

過去、顕現者を媒体として葦の国に現われた黒騎死病魔群の一柱が蔓延し、数千万もの平行世界が消滅した事例がある。

その反省として、全てのゲートには超強力な自動浄化作用が付与されている。

なお、日々アップデートしており、それは高天原が自動的に行っている。




・存在の分類


『天然物』

文字通りの天然物。自然に生まれた者を指す。

彼らは顕現を発現する種を宿す。


『生産物』

加工物とも呼ばれることがある。

クローン、被造物、コピー、機械など、人為的に0から作られたもの。

どういうわけか顕現を発現することができない。

七大天使のウリエルがそれに関する研究を行っているが、依然としてその理由は掴めない



次回、ウリエルによるニライカナイ説明

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