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清成と中華飯

 記者会見は問題なく終了したように見えた。

 まぁ実際の所殆ど清成さんが対処してくれたので俺の方は横にいただけの感じもしたが、それでもいくつかの質問には俺が答えるしかなく。できる限り無難と思われる答えだけを返しておいた。

 電気が使えない大陸ではテレビカメラはさすがになかったが、昔ながらのフィルムのカメラは使えるため写真は撮られていた。フラッシュは無いが一部では魔法によって再現されていた。

 2時間ほど質問攻めにあった後ようやく解放されたのだが、俺も清成さんもクタクタであった。


 「なぁ御剣腹減ったな、飯食いに行こうぜ」

 「そうですね、さっきまでは緊張で全く感じませんでしたが、緊張が解けたらお腹がすきましたね」

 「行きつけのいい店があるんだ、ついてこい」


 そういって清成さんはどんどん歩いていく。

 俺は慌ててついていく。


 「ここだ、うめーんだよこれが」


 そこはかなり立派な店構えの中華料理店だった。

 普通に高そうである。俺一人じゃとても入れない。


 「よぉ、マスターいるか?」

 「いますよ、マスター」


 清成さんは中に入ると店員さんに声をかける。

 店の中も当然ながら高そうな店だった。


 「お、清成また来たね。いつものでいいか?」

 「ああ、今日はこいつの分もいれて二人分な」

 「わかったよ、いつもの席で待ってるアル」


 そういってマスターと呼ばれた人は奥へと思っていった。

 いかにも怪しい中国人ぽいしゃべり方であったが、見た目は普通の日本人シェフだった。


 出てきた料理は、焼飯、餃子、エビチリ、ニラレバ、卵スープ、そして何故か天津飯……

 それらがすべて二人分である。かなり多い。てか、ご飯ものが何で二つあるんだ?


 「お、きたきた、御剣も食えよおめーから」

 「あ、はい、ありがとうございます」


 とりあえず、卵スープを飲んでみる。うまい、とろっとしたスープに溶き卵がうっすらと入ってさらにいい出汁が利いている。次に焼飯を食べてみる。パラパラだ。一口食べると程よく歯ごたえのあるコメに濃い目の味付けのチャーシュー、胡椒が利いて絶品である。他の料理もものすごくうまい。かなり多めだと思ったがこれは食べれてしまう。


 「どうだうまいだろ? 海鮮物が無いのが残念だが海老だけは淡水養殖だからいけるんだよな。ここはおすすめだぜ? 今度あの彼女でも連れてきてやんな」

 「確かにめちゃくちゃうまいですね。そしてしれっと彼女とか言わないでください。幼馴染ですから」

 「俺は名前は言ってないからな。そこで幼馴染とか言ってる時点で思い浮かんだ相手は一人なんだろ? なら決まりじゃねーか」

 「う、そんな事はありません。気のせいです」

 「気のせいでも何でもいいが、あんまり油断してると他の誰かに取られちまうからな気をつけろよ」

 「そう、かもしれませんね」


 そんな話をしながら黙々と食べていく。

 いつの間にか食べきってしまっていた。


 「ごちそうさまでした」

 「まだはえーよ」 

 「え」

 「中華と言えば最後は杏仁豆腐だろうが」


 そういっていると、杏仁豆腐が運ばれてきた。


 「もうお腹いっぱいですよ」

 「いいから一口食ってみな、絶対食えるから」


 言われるままに食べてみる。杏仁豆腐の独特の香りと共にほのかな甘みが広がり、口の中で溶けてなくなった。すごい、これなら食べれる。


 「すげーだろ? ここの杏仁豆腐はどんなに腹いっぱいでも食えるんだよ。まじでうめーからな」

 「ほんとに食べれますね。ものすごくおいしいです」

 「いろいろすまなかったな。これからも色々サポートはするつもりだが頑張れよ。あと……」

 「なんですか?」

 「おそらく本土ではお前の事は英雄に仕立て上げられてると思うが気にするな!」

 「なんですかそれは? 勘弁してください」

 「あきらめろ、マスコミってやつは都合のいいように煽るもんだ。ましてや今や本土では大したネタもなく大陸の方に注目が集まっているらしい。そこでお前の登場だ、当然奴らはいつものように捏造、歪曲、切り取り、偏向報道。幸い本土と違ってこっちでは記録技術も通信技術もそこまで発展していないからな、やりたい放題だ。ならどうするか? お前をネタに視聴率稼ぎに来るだろ普通。奴らも必死なんだうまくやれよ」

 「……」


 頭が痛くなった……

 きっとこのお昼も清成さんなりのお詫びの印なんだろう。


 「解りました気を付けます」

 「おう、困ったときはいつでも俺の所に来いよ」

 「そうします」


 そうして二人は店を出た。

 空は明るく日もまだ高い。

 いい天気なのに俺の心は明るくなかった……


 ----------


 それからすぐに冬休みに入った。冬休みと言っても小笠原は温かい。とはいえクリスマスにお正月とイベントが多いため特に短くなるといったっ事はない。ただ、2週間しかない為本土に帰るような人はまれであった。

 俺はというと休み前に宣言されたとおりに遥香たちの監視下にあった。

 と言っても正月くらいしか出かける事もなかったのだが……


 冬休みが終わると魔法塔選抜試験が行われる。魔力が安定化し始めるこの頃に優秀な学生を選び魔法大学付属魔法学院へ入学するための試験である。ここで落ちても魔法大学を受験すれば魔法大学へは行けるのだがかなり狭き門となる。そして、魔法大学へ行けなければ魔法塔へは入れない。一流の魔導士を目指すならここで魔法学院への切符をものにしたい所なのである。


 ちなみに結果から言うと俺は当然首席である。次席は秋野であった。日下部が学年50位、遥香が62位、加藤さんは70位であった。つまり上位30名しか入れない為、俺と秋野以外は東校に残留である。

 残念ではあるが仕方がなかった。まぁ、学校が変わるとはいえ同じ小笠原にいるので会えないわけでは無いのだが、遥香には延々と泣かれた。

 そして泣き止んだ後には


 「絶対魔法大学に行くから待ってるように!」


 と言い渡されたのである。


 そして春が来る……

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