表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/19

09 ゴブリンとの戦闘

城に立て籠もるのが籠城なら、村に立て籠もるのは籠村(ろうそん)

 駆け込んできた従士の報告によると、父と長兄と共に隣村の表敬訪問を終え帰路の途中で大規模なゴブリンの群れに遭遇。父たちは隣村に戻って立て籠っているとのことだ。


「エルマールと従士長を呼んでちょうだい! それと櫓で警戒の鐘を!」


 母さんが侍女に命じて各所に連絡させる。なおエルマールは俺の次兄になる。





  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇





 応接間に場所を移し、会議が始まる。なお出席者は、母のエルネット、次兄のエルマール、村長(なお国から派遣された郡長官の部下で地方官)、従士長、そして俺だ。妹も参加を望んだが、未成年ということで母に追い出された。


「ゴブリンが少なくとも100匹とのことですが、我々がどう動くべきか皆の意見を述べてください」


 父が不在の今、この騎士領の責任者である母が皆に問う。


「隣村は猟師が中心となりますが、約50人の戦力。立て籠って守りに徹する分には問題ないでしょう」


 父の軍事的な腹心である従士長が言う。


「道義的な問題があるので救援は出します。早く助けないとアウグストが無茶をしかねません。ですがこの騎士領も守らなければなりません。この条件での計画は?」


 母が従士長に問う。なおアウグストは俺の父だ。


「見習いも含めてになりますが我々従士が10騎。この騎兵は戦闘専門職であり、これ単独で救援するのが一番でしょう」


「この開拓村の守りに問題は出ませんか?」


 母が更に問う。


「村人でも成人なら最低限の武術の心得はあるので、適切な指揮を執れば問題ないでしょう」


「そう、他に何か異見のあるものは?」


 母が皆に問う。


「異見ではありませんが、個人的な知人が隣村にいるので俺も救援の部隊に同行しますよ」


「そうマルルも行くの、ならマルルのゴーレムの後ろに乗ってわたくしも同行しますわ」


 と母が言う。皆で反対するが、母の持つ水魔法の回復魔法の有用性を説かれ、その主張が通った。





  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇





 翌日、夜明けと共に出発準備する。なお、妹は最後まで同行を望んだ『僕は騎兵科だし自分の馬もある!』が、母の『あまりわがままをいうと、拘束しますよ』と言われ、しぶしぶ諦めていた。


「シャルルッテ、せっかく両親に会いに来てもらったのに、まともに紹介できなくてすまない。できるだけ早く帰ってくるから」


 俺はわざわざ早起きをして見送りしてくれるシャルルッテに挨拶する。


「少尉…。いえ、マルル、どうぞご無事で」


 朝の半鐘(07:30)に出発する。なおこの10騎の指揮は従士長が執っている。俺は国軍の士官なので騎士領の指揮権は微妙だからだ。


 なお次兄はこの開拓村の指揮官として残っている。温厚で、土魔法使いで、でも剣術は父に次ぐ強さの次兄は拠点防御には適任だ(次兄は馬には普通に乗れるが、騎兵の訓練は受けていない。ああ俺も正式な騎兵訓練は受けてないや)。


 午前の鐘(09:00)頃に森に着く。小休止後に森へ入る。ああそうそう、隣村は狩猟の民の村でかなり深い森の中にある。森の中を警戒しながらゆっくり進む。


 午前の鐘(10:30)頃に隣村に近くに着く。かすかだが既に戦闘音が聞こえる。


「光魔法のカモフラージュのスクロールがあるので、偵察にでますよ」


 俺は従士長に提案する。


「そうですか、よろしく頼みます」


 俺は慎重にゴーレム馬を進め、スクロールを使用する。スクロールの効果時間は1分間なので有効に活用しないと。


 隣村は、深い森の中を流れる川の中州の高台という非常に強固な地形に造られている。また川に掛かっている橋が村への唯一の出入り口となっており、その橋の手前の川岸がわずかに広場となっている。その橋を起点としてローゼンベルク騎士領開拓村へ、森を抜け道は続いている。


 俺は、その森の中の道からカモフラージュ状態で、広場を偵察する。いるいる広場はゴブリンでひしめいている。すでに橋はゴブリンに占領され、村の門での戦闘に推移しているよう見受けられる。そしてゴブリン100匹じゃきかないな300匹はいそうだな。

 俺は、スクロールの効果が切れる前に戻り、従士長に報告する。


「あ~そうそう、ゴブリン軍のこちら側後方の守りは手薄だったので、敵の指揮官を槍での突撃で討てるかも知れませんよ?」


 少なくともゴブリンの指揮系統に混乱させることは可能だろうということで、俺の案が採用される。





  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇





 作戦は、ゴブリンの後方の守りに対してへの、俺のファイヤーボール(スクロール)から始まった。今回は停止しての静止目標に対する攻撃で外しようがない。左から右に1発…、2発…、3発…。狙い通りにキッチリ命中し、ゴブリンの後方は消失する。


 俺は従士長に射撃完了の合図を送る。村を攻める戦闘のさなかでも、さすがにファイヤーボールの音は聞こえたのか、ゴブリンの本陣が騒ぎ始めた。が遅い、幅の関係で2列になった10騎が突撃を敢行する。ゴブリンジェネラル?、ホブゴブリンを含む多数のゴブリンが槍にかかる。


 おっとヤバい、比較的後方に位置していたゴブリンアーチャー隊が向きを変え始めた。


「敵のアーチャー!!」


 俺はウィンドウィスパーで従士長に警告する。と同時に装填済の次弾を放つ1発…、2発…、3発…。かなり狙いが甘く、ほとんど命中しなかったが、敵の射撃を妨害に成功した。


 その間に態勢を整えた騎兵がゴブリンアーチャーへの牽制を開始する。


 すると従士長が近づいてきて可能なら敵に対してウィンドウィスパーでの勝ちどきをお願いされた。

「ゴブリンジェネラルはこのマルルクト・ローゼンベルクが討ち取ったぞ~!」


 俺はウィンドウィスパーを敵が一番集中している橋に向けて飛ばす。従士長はゴブリンジェネラルの陣にあった敵の旗を打ち倒す。騎兵に指示し勝ちどきを上げさせる。


 それを見たゴブリン軍は明らかに動揺し始める。


 そのとき村の門が開き、2騎の騎馬が突撃してくる。微妙に時宜早くないですかね? まだ戦局定まってないのに。だが、相変わらずの凄まじい腕だな、この距離で最初の突撃でゴブリンの首が飛ぶのが見えるなんて…。


 このアウグストとベルハルトの突撃に堪えきれずゴブリンは撤退を開始する。ああ、ベルハルトは俺の長兄だ。



なんかマルルの家族の物語になってきてます?

両親でた。長兄、次兄でた。妹でた。


あと姉がいる設定なんですが…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ