番外編
クリスマスなのでそれにちなんで番外編です。
「そろそろクリスマスですな」
「そうか、もうその季節だな」
総統官邸の総統室で俺ことヒトラーはシュペーアとそう話していた。ちなみに今は十二月二十日だ。
「では総統のためにグリューワインを購入しませんとな」
「ははは、俺のは安物で構わないよシュペーア。そうなるとヒルダのプレゼントを購入しないとな」
シュペーアと他愛のない話をする。
「流石にクリスマスの時に戦争は止めようか」
「第一次大戦と同じですな」
「うむ、まぁ法王から全世界に向けて発信してもらうか」
第一次大戦の1914年にクリスマス休戦が西部戦線で自発的に起きた。まぁその後の戦闘はクリスマスでも関係無しだったが。そしてイタリアのムッソリーニに要請してバチカンの法王に全世界に向けて発信された。
『クリスマスの時は戦いを止めよう』
法王の発信にソ連は無視してフィンランドとの戦闘を継続した。
「ルーデル隊長、ソ連の戦車部隊が来るようです」
「流石はイワンどもだ。なら歓迎してやろうではないか、さぁ行くぞガーデルマン!!」
「代わってくれないかヘンシェル?」
「すいません、今日の搭乗割りに自分は入っていないので」
「………(´・ω・`)」
そしてルーデルはその日、ドイツ義勇空軍の一員としてシュトゥーカに四度出撃した。
「む? イワンめ、また新型を作りおったな」
ルーデルの眼下にはシュトゥーカの接近に隠れようとしていたSU-76自走砲がいた。
「あれを主に捧げよう」
ルーデルは急降下を敢行しジェリコのラッパを鳴らしながら五百キロ爆弾を投下した。
「戦果確認!!」
「敵戦車二両が吹き飛びました!!」
上昇している機体の中でルーデルの問いにガーデルマンはそう答えた。何だかんだ言いつつ従うガーデルマンである。それは兎も角、ルーデルの急降下爆撃で二両のSU-76自走砲を見事に破壊した。
「今日も楽しい一日になるだろうな」
(私は疲れました)
四度目の時に高射砲でシュトゥーカが被弾、墜落はせずに帰還出来たが飛行不能になり仕方なくルーデルはBf109に五十キロ爆弾を搭載した機に乗り換えて出撃。五度目の攻撃で敵戦闘機三機を撃墜している。
フィンランド戦線はいつもの事だったが中東方面等ではクリスマスの日には戦闘を停止していた。
チャーチルやルーズベルトは不満顔だったが法王の権威には逆らえないのであった。というよりクリスマスの時に戦闘行動は作戦上入ってなかった。
そして中東方面では第一次大戦の西部戦線のように独伊混合と英のサッカー試合が行われたりする。結果は引き分けのようである。
「ふむ、外はホワイトクリスマスかな」
俺は総統官邸の窓から外を見ていた。外は雪が降っており一面の銀世界を作っていた。
……史実のようにベルリンが蹂躙されないようにしないとな。何とかアメリカが物量で押して来る前に和平に持ち込みたいが向こうはどう出るかだな……。
「そぅとぉ〜、なに黄昏ているんですくぁ〜ヒック」
「……誰だエリカさんに酒を飲ました奴は……」
そこに顔を真っ赤にして酔っ払ったエリカさんが日本酒の一升瓶を持ちながらやってきた。
「まぁ注ぎなさいそぅとぉ〜」
「ア、ハイ」
俺はそう反射条件のようにエリカさんに酒を注ぎ、エリカさんはそれを一気のみで飲み干した。
「ぶはぁ!! そぅとぉ〜、そぅとぉ〜があんな顔をしちゃあ駄目ですよぉ」
エリカさんがそう言って俺に説教してきた。しかも俺正座で。
「あなたぅはぁドイチュの顔なんれすからドンとぉ構えていてゃら良いんれふぅ」
「エ、エリカさん?」
そう言ってエリカさんが俺に抱きつくと寝息が聞こえてきた。どうやら酔いが回って寝てしまったようだな。
「……良い夢をFraulein」
俺は眠るエリカさんにソッと頭を撫でた。
ちなみに近くの物陰から見守る者達がいた。
「あれはヘタレなのかシュペーア?」
「奥手でしょう宣伝相」
「今年も負けたなフリッチュ。ほら百マルク」
「くそ、レーダーに負けるとは……」
「エリカお姉ちゃんとあーちゃんが抱きついてるぅ」
「見ちゃ駄目ですよヒルダちゃん」
「それよりヒルダちゃん、この服を着てくれないかね?」
「黙りなさい変態」
そんな事があったそうな。そして日本はというと……。
『只今、十二月二四日から大晦日の三一日まで一週間同人即売会を開催致します!!』
『ウオォォォォォーーーッ!!』
「列にはキチンと並んで下さい!! 五列で御願いします!! こらそこォ!! 割り込もうとしてんじゃねぇよ!! 憲兵、こいつを最後尾まで連れて行け!!」
「三部下さい!!」
「同じく三部下さい!!」
「俺は六部!!」
「全部六円二二銭になります!!」
「八円九銭です!!」
日本はいつも通りの光景だった。
御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m