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『ヒトラーに憑依しました』連載版 作者:零戦
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第三十四話





――東京、大本営――

「ヒトラーからインドへの圧力を強めてほしいとの要請です」
「……海軍さんはやれますか?」
「やれるでしょう。ですがアメリカは大西洋からレンジャーを除いた空母を太平洋に回航しています。恐らく一時的な攻撃くらいなら可能ですな」

 東條の問いに山本五十六はそう答えた。

「一航戦は搭乗員の育成をしてますので……五航戦を主体にした機動部隊は投入出来ますな」

 この協議で海軍は五航戦を主力に六航戦(隼鷹型二隻)と伊勢型二隻、巡洋艦四、駆逐艦十二隻の艦隊(司令官大西少将)を派遣する事にした。
 なお、日本は史実通りに南方地帯を攻略しており、今のところの激戦区はラバウル―ポートモレスビーであった。
 このポートモレスビー攻略に山口多聞少将の二航戦、角田少将の三航戦を投入する予定でもある。
 今のところ、日本の戦略は史実を踏襲していた。特にニューカレドニアはニッケルの採掘で有名でありニューカレドニアの攻略は必須であった。
 勿論、史実の反省で輸送船団を護衛する海上護衛総隊も開戦前に創設されており輸送船団に被害らしい被害は与えていなかった。

「どうせならセイロン島を攻略しますか?」
「だがネックは輸送だ。輸送船にも限りはある」

 日本は戦時輸送船の建造に着手していた。流石にコンクリート船は作らないが、史実のような戦時輸送船は建造しないようにしていた。

「二重底の廃止はせんよ」
「開戦初期に鹵獲した外国船も使用していますが、やはり数が足りませんな」
「ではセイロン島及びベンガル湾一帯を徹底的に叩く事にしよう。伊藤の南遣艦隊も派遣しよう」

 こうして日本は史実を踏襲したセイロン島攻撃を計画するのであった。




「それで、トーキョーに爆弾を落とせそうかね?」
「プレジデント、それは無理でしょう。いくら大西洋から三空母を引き抜いたからと言ってそう簡単に戦局は挽回出来ません。現に真珠湾は時折ジャップの空襲を受けています」

 開戦初期に第四艦隊はウェーク島を攻略していた。なお、被害は無く井上中将は史実の駆逐艦如月と疾風の仇を取れた。
 そしてウェーク島には陸海が共同開発、生産をした新型重爆撃機連山十六機が配備されていて三日に一回のペースで真珠湾を爆撃していた。
 そのため、真珠湾の機能はあまり回復していなかった。

「それにジャップはオーストラリアを陣営に迎え入れるかもしれません。ポートモレスビーもラバウルから空襲を受けています。またソロモン諸島も次々と攻略されています」
「むぅ……兎に角真珠湾の機能を回復させろ」

 アメリカの攻勢は暫く時間が掛かるようであった。


「チャーチル、南アフリカの部隊は全て中東に移動させるのだ」
「し、しかし陛下。南アフリカから撤退すればナチスが南アフリカに……」
「それはやむを得ん。中東とインドは自由イギリスの生命線だ。それをちょび髭に取られるわけにはいかん」

 ジョージ六世はチャーチルにそう指令を出していた。

「中東はアメリカからの支援で防衛線の構築は完璧です」
「何重にも構築しておくのだ。ジェリーはしぶとい」

 ジョージ六世は世界地図の太平洋に視線を移した。

「全く……開拓者どもは極東の人間を駆逐すら出来んのか……」

 ジョージ六世は溜め息を吐いた。ビックセブンのコロラド型や基地航空隊が多数存在したにもかかわらず、太平洋艦隊は負けていた。

「ですがエセックス級空母が揃えばジャップも駆逐出来ます」
「だが肝心のエセックス級空母が揃うのは一年後ではないか。それまでにジャップは太平洋を支配するぞ」
「はぁ、それに情報ではジャップに通商破壊作戦をするとか」
「確か開拓者の魚雷は不発が多いはずだが?」
「アインシュタイン博士が改良した魚雷を使用し始めています」
「ふむ……なら少しは託してみるか」

 ジョージ六世は紅茶を飲みながらそう言った。


「レーダー長官、カナリス提督がお見えです」
「ん? カナリス提督が?」

 執務室で書類業務をしていたレーダーは衛兵からの言葉に首を傾げた。

「私に何の用か……兎に角通してくれ」
「ヤー」

 それから程なく、執務室にはレーダーとカナリスがいた。

「突然の来訪は済まないレーダー長官」
「構いませんよ提督。それで用とは?」
「……マインフューラーの事だ」
「マインフューラー……ですか?」

 レーダーの問い返しにカナリスは無言で頷いた。

「昔と比べると総統は変わったと思う」
「はぁ、確かに変わってはいますが……」
「特に『我が闘争』の改訂版を出した事だ。改訂前のに間違いがあると言って改訂版を出したが、調べてみると改訂したのは日本の事と東方への生存圏だ」
「日本は同盟の事がありますし東方への生存圏はソ連に配慮したのでは?」
「それならまだいい。だが、日本へあの必要以上のアピールは少し疑問でな」
「はぁ、確かに日本へ訪日したのも今考えれば少し異常と思いますが……」
「総統は……もしかすれば総統ではないかもしれんな」
「それはどういう意味で……?」
「一時、総統が倒れたと聞いているな?」
「はい、急に倒れたと……」
「調べてみると倒れてから総統は親日になっているのだ」
「………」
「総統は倒れた事で何か悟ったのかもしれんな……」
「………」
「済まないな長官。変な事で訪ねてきて」
「いえ、構いません。それと親日の件ですが、もしかしたらゲーリングが何か知っているのかもしれません」
「そうか……ありがとう長官」

 カナリスはそう言って執務室を後にした。

「マインフューラーの変化……か」

 一人になったレーダーはそう呟いた。

「……まぁ私としては親日で海軍重視にしてくれたマインフューラーで良いがな。予算増えるし艦艇も増えるしな」

 レーダーはそう思った。

「と、いかんいかん。午後からグラーフ・ツェッペリンの写真を撮らなくてはな……。ツェッペリンの写真で写真集を作って……」

 そう言ってニヤニヤするレーダーであった。なお、次の即売会でもレーダーが作製した写真集は僅か三部しか売れず、見事に轟沈するのであった。




「マインフューラー……貴方に何があったのか……」

 情報部の執務室でカナリスはそう呟いた。




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