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第二十二話






 八月二二日、そろそろ夏が終わろうとしていた。

 俺は総統室にフリッチュ達を招集させた。


「諸君……そろそろやろうかと思うのだが……いけるかね?」

「陸軍は何時でも行けます」

「同じく海軍もです」

「空軍も行けます」


 フリッチュ達三人はそう返してくれた。


「……宜しい。では『アシカ作戦』を発動する。手始めにゲーリング、君の空軍からだ」

「お任せ下さいマインフューラー。第一、第四航空艦隊は参加出来ませんが、他の第二、第三、第五航空艦隊は参加出来ます」

「うむ、くれぐれも市内に爆弾を落とさないように厳命しておくのだ。総統からの命令としてな」

「ヤー」

「ところで総統。例の物は出来ましたか?」


 フリッチュがずいと俺に近寄る。


「うむ……ギリギリだが何とか完成した」

「おぉ……それでは……」

「作戦開始前の二四日に即売会をする」

『オォッ!!』


 即売会の言葉にフリッチュ達が喜んだ。誰だよドイツ国防軍をこんなのにしたのは……。

 俺ですね、分かります。


「幻〇郷は新シリーズですか?」

「そうだ。紅〇異変は終わった事だしな」


 次は春〇異変だけどな。あぁゆゆ様……。


「まぁ楽しみにしておく事だな」

『ハイルッ!!』

「……あのゲルダさん、即売会とは何ですか?」

「本の発売の事よ。貴女は持ってないの?」


 ゲルダはそう言ってエリカに表紙が腋巫女である薄い本を見せた。


「へぇ……面白いですね」

「でしょ? 即売会は総統の新作が発表される時にあるのよ」

「総統が書いているのですか?」

「えぇ。基本はね、その後は画家達がそれを元に書いているわ」


 段々と仲間を増やしていくゲルダであった。そして作戦開始前の二四日、総統官邸の会議室で本の即売会が始まった。


「ん? ヒムラーも来ていたのか?」


 絶対に来ないと思う親衛隊の長官がそこにいた。


「はぁ、フリッチュ達がやけに押していたので……」

「連れて来られたのか」


 ……段々とオタ化になっていくがまぁいいや。ドイツ国防軍だし。


「それでは発売する」


 俺の言葉にざわついてのが静かになり、高級将校や佐官達が列を作って並び出した。


「一部は紙幣で二十マルクだ」

「三部下さい」

「同じく三部下さいッ!!」


 そして売り子の兵士が金を貰って本を渡していく。

 なお、複写機は史実より早くに小型事務用湿式ジアゾ複写機「M型」を開発していた。

 1938年にアメリカのチェスター・F・カールソンによって、後にゼログラフィと呼ばれる基本技術が発明されていたが、直ぐにカールソンと接触して複写機の基本技術をコピーしていた。まぁその分、カネがカールソンに行ったけどな。

 まぁジアゾ式もデメリットがあるからそのうちPPC複写機を生産したいけどな。

 それは兎も角、複写機のおかげで本の大量生産が出来、用意していた三百部の本はあっという間に完売した。


「本は完売したから一時中断だ」

「もう売れたのですかッ!?」

「これだからナチ野郎はッ!!」

「オンオンッ!!」

「ちょっと待ってってばッ!? 何でそんなに俺が言われないといけないんだッ!!」


 完売した事で、まだ購入していない奴等が騒ぎだした。


「少し待てッ!! 出来上がるまで購入した奴等から見せてもらえッ!!」


 俺はそう言って本の生産を急がせた。


「総統……これは最早戦争ですな」

「まぁな。此処では総統と部下ではない。ただの一般人だよ」


 一部の本を持ったヒムラーが俺に近寄ってそう言ってきた。てかお前も買ったのか……。


「ヒムラーも買ったのか?」

「はい、読ませてもらいましたが……素晴らしい出来具合ですな」

「ほぅ、誰か気に入ったのでもいるのか?」

「ヤー、春告精とレティです」


 ……正反対なところだなぁ。そしてようこそヒムラー、オタクの道へいらっしゃい。


「ま、普段は軍務で頑張ってもらってるからな。たまの休みはいいだろう」

「左様ですな」


 そして販売は三回もする事になり、高級将校や佐官達は満足した表情をしながら帰るのであった。

 そして翌日の二五日、アシカ作戦が発動されたのであった。


傾注アハトゥンクッ!!」


 北部フランスのドイツ空軍の航空基地では飛行隊長がパイロット達を集めた。


「諸君、いよいよジョンブルを倒す時がきた」


 飛行隊長はそう話す。


「クソッタレのジョンブルの奴等に我等ルフトヴァッフェの力を見せてやろうじゃないかッ!!」

『オォッ!!』

「全員搭乗ッ!!」


 パイロット達は愛機のBf109に乗り込んでいき、エンジンを始動させた。


『発進せよッ!!』


 滑走路で待機していたBf109が勢いよく離陸していく。


『おいブービ、二度目の実戦だがまた燃料切れで墜落するなよ?』

「分かってますよガーランド隊長」


 エーリッヒ・ハルトマン少尉は隊長であるアドルフ・ガーランド少佐にそう言った。

 ハルトマンは史実よりかなり早くに実戦に参加しているが、これはゲーリングが定めた『実力主義』による結果である。

 史実の戦後のように生まれ変わったゲーリングは古い体質を捨て、実力主義の形を取り入れて才能がある者は昇進しやすくなっていた。

 それは兎も角、ガーランドの戦闘機部隊は爆撃隊を護衛しながら意気揚々とイギリスを目指すのであった。

 一方、爆撃を受ける予定のイギリスは迎撃態勢の構築に大忙しであった。


「全機出せるだけ出すんだッ!!」


 イギリス空軍戦闘機軍団司令官のヒュー・ダウディング大将は部下達に指示を出していた。


「おのれジェリーめ、事前にレーダー基地を叩きおって……」


 ダウディングは悔しげにそう呟いた。実は前日の二四日(即売会があった日)にシュトゥーカを主力にした爆撃隊がイギリス南部のレーダー基地を攻撃していたのだ。

 この攻撃によりイギリス南部のレーダー基地の大半は機能が停止してしまったのだ。

 それでもイギリス空軍はレーダー基地の復旧を目指していたが間に合わなかった。


「……完全に後手に回った。どれほど凌ぎられるかだな……」


 飛び立っていくスピットファイヤーやハリケーンを見ながらダウディングはそう呟くのであった。

 そしてイギリス空軍(RAF)とドイツ空軍ルフトヴァッフェは交戦状態に突入した。


「常にロッテ・シュヴァルムで当たれッ!! 無駄な深追いはするなッ!!」


 戦闘に参加したメルダースは部下に指示を出しながらスピットファイヤーの後方に回り込んで、二十ミリ機銃で撃墜させてスコアを稼いでいく。

 そしてシュトゥーカ隊は敵飛行場への爆撃を開始した。









御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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