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双魂譚  作者: しろ兎
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第1話 おきて!!

『星界から転生』の ifルートです。

アーモロートの朝は、静かに始まる。

高層の塔の間を、薄い光が満たす。


街を包む、

魔法の灯り。


ひとつ、

また、ひとつ消える。


空気は澄み、

どこか冷たい風が、

石造りの回廊を抜けた。


足音。

遠い会話。


ようやく、

目覚めの、

街へと戻りつつある。


そんな、

穏やかな気配の中。


リリンは、

小さな足で駆け寄る。


元気いっぱい。

エメトセルクの、

耳元で声を張った。


リリン

「アイデネウス!おはよーう!」


期待に満ちた瞳。

キラキラしている。


エメトセルクは、無反応。


リリンは、

頬をぷくっと膨らませた。


そのまま、

ベッドへよじ登った。


エメトセルク上へ飛び込む。


荒く、

体を揺さぶる。


リリン

「おーきーてー! 朝だよ!!」


迷惑そう。

顔をしかめるエメトセルク。


リリンは、

さらに、くすぐりの追い打ち。


リリン

「え〜い!」


エメトセルク

「ふっ……お……おはよう」


くすぐったさに、

耐えきれなかった。


眠気の残る目を、

うっすらと開ける。


リリンは、

嬉しそうに微笑む。

ベッドから、飛び降りた。


エメトセルクの、

手を引っ張る。


リリン

「ねぇ!!ママ起こしに行こう?」


エメトセルクは、

渋々、

体を伸ばす。


ベッドから起き上がる。


エメトセルク

「……やれやれ」

「リリンは相変わらず元気だな」


小さな手に、

ぐいぐい引っ張られ、立ち上がった。


ママの寝室へ連行される。


エメトセルク

「まったく……」


そう、

口にしながら。


その、

ため息は、

どこか柔らかかった。


ママの、

寝室に駆け込む。


リリン

「ママ!おはよう!!」


小さな足音が響く。


だが、

アゼムは動かない。


リリンは、

ママの異変に気づく。


リリン

「アイデネウス!!」


瞳が不安で揺れる。

手がわずかに震えた。


小さな手が

ママの肩に触れる。


その温もりに、

少し、

少しだけ、

不安を和らげた。


エメトセルクは

彼女へ近づき、声を張る。


エメトセルク

「おい!ソロル!!起きろ!」


呼吸は、

上下に規則正しい。


――安らかすぎる。


その穏やかさが、

逆に不気味だった。


二人は、

互いに、

視線を交わす。


二人は、

唇をぎゅっと結ぶ。


決意を胸に、

アゼムの体を揺さぶった。


エメトセルク

「ソロル!!」


リリンも、

必死に声を張る。


リリン

「ママ、おきて!!」


しかし、

瞼はビクともしない。


その顔は、

ただ眠っているだけでない。

意識が、

遠く、

遠く、

迷い込んでいるようだった。


エメトセルクは、腕を組み直す。


エメトセルク

「魂が…薄い…」


その言葉に、

心配と焦りが入り混じる。


リリンは、

両手をぎゅっと握りしめ、

声を震わせながら言った。


リリン

「多分……起きない……深い夢を見てる……」


言葉には、

ただの悪夢以上の不穏な気配が滲む。


部屋の空気が、

微かにざわめくようだった。


ママの寝顔は、

優しさが残っている。


エメトセルクは、

険しい表情のまま、低く指示する。


エメトセルク

「……リリン、ヒュトロダエウスを呼べ」


リリンは、

一瞬も迷わず、頷いた。


リリン

「うん、わかった」


小さな体。

両手を胸の前で組む。


ふわりと、

周囲に、

淡い光が帯のように広がる。


魔力が、

空気を震わせた。


その光は、

糸となり、

遥か遠くへ、

流れて行った。

1話更新です。

最後まで、読んで頂き、ありがとうございます。

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