殺戮と滅亡 93~ジルベールの虚言vsお漏らし閣下
「あれ!?どうした?!お前ら? いつの間に?しかもあっちからとは?」
サバの前に現れたのはブラルとバズ。
「いえ、いえ。そのことに関してはまた。」
その後ろには20のオランダ整備兵とハーン。
現れたオランダ兵にサバとダラ、千里眼は矢を身構えた。
「あっ!ちょっとお待ちを!彼らは味方です!!」
ブラルとバズは両手を広げて彼らを庇った。
「んん?どういうことだ?」
「それも後からお話致しますので!」
そう言うとブラルはサバの耳元に近寄り、ボソボソと話かけた。
「サバ様。ね?どうです?」
「それは面白い。お前らが来てくれて助かった。」
「サバ様。わたしの部族スンニ。スンニとは救世主という意味でございますよ。」
バズが言った。
「うむ。」
「では小奴らオランダ整備兵を縛り上げます。」
「お、それと、ファル様のお身体が、、大変なんだ。今千里眼達に見守らせている。」
「えっ!それは一大事!」
「しかし、オランダ軍をやっつけねば身動きがとれぬ。ファル様には申し訳ないが、先にオランダの奴らを。」
「では、早めに終わらせましょう。」
ブラルとバズがハモった。
サバと300の兵。
ブラルにバズ、ハーンとオランダ整備兵は、ヴィンセントが逃げた西の密林へと向かった。
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オランダ兵と敵対していたマンサは、ジルベールに目で合図を送った。
(言え!言った通りに言うんだ。)
フランス将軍ジルベールは銃を下ろすと、胸を張って話し始めた。
「おい、この中にフランス語を話せる者はおるか!!」
顔を見合わせたオランダ兵であったが、ヴィンセントが名乗りを上げた。
「俺が話せる。」
しかし、その目に映ったのはフランス兵のその胸。
軍服の半分が勲章で覆われていた。
(もしや?)
「おっ、お漏らしをしておるお前が話せるのか?」
カチンときたヴィンセントは、握り拳を上げたがすぐに引っ込めた。
「わしが、誰かわかるか?」
オランダ兵達は一斉にそのフランス兵の目に視線を合わせた。
ジルベールはその胸を天に突きあげると大声で言い放った。
「アフリカ全土を仕切っておる!わしがフランスの雄!将軍ジルベールだ!!」
「う、うう。」
「あのな。マンディンカに於けるオランダ軍。あっぱれであったが、我が軍により木っ端微塵、壊滅だ。」
「う、嘘を言え!我が軍は一万の兵を送り込んでいる! たかだか数千のフランスに負けるはずがない!」
「ま、人数はどうでも良い。証拠はわしがここにいるという事だ。それにな、もう直に降りて来る。」
「なんだ?なにが降りてくるのだ?」
「そろそろ来るであろう。西の小高い山から。」
「は?」
「ハハッ!我がフランス軍。3000の兵がだ!!」
「あ、あわわ。」
これは、マンサが考えた真っ平の嘘。
ジルベールがいる事を利用した大法螺であった。
「どうする? お漏らし閣下。」