レシカちゃんの、そんな所に無限の可能性を感じていたからね。
「ただいまー」
私達は西宮北口まで戻り、タワマンに帰宅した。もう陽も暮れ外は暗い。
みんなくったくたで、流石に疲れたオーラが凄い。
「あら?こんな遅くまで何処行ってたの?」
青花が不思議そうに言う。
「ちょっとね……」
私達は顔を見合わせて苦笑い。
「ああっ!!!さては、俺達抜きで遊園地行って遊び回ってたなー!」
錬徒がずりぃずりぃとソファーで寝ころびながら飛び跳ねる。
「遊園地ね……ははっ」
ケバルライは錬徒の腹の上にドンッと座り込んだ。
「グフェッ」
「まっとにかく、まだ食べて無いなら貴方達の分のお鍋用意するから、お風呂でも入って来なさい。なんか砂っぽい匂いするわよ」
青花は少し察したような顔で微笑む。
「助かるわ青花、いつもありがとうね……」
ヨゼが青花にギュウっとハグをした。
青花、少々驚いた顔をした後、背中をぽんぽんと優しく撫でる。
「あぁ!お鍋なんて最高ですわ!きっと青花さんは良いお嫁さんになれますよ」
テリオルがフローリングでバレリーナみたく、くるくる回る。
「大袈裟ね、ふふっ」
青花が唇を噛み締め、胸に誰かを思い描いているような顔をした。
「ああ、そういや、お前等の分もアイス、コンビニで買っておいたぞ、後で適当に食べろよ」
凛凛と巨大テレビでゲームする来螺が言った。
「気が利くじゃないの」
私がそう言うと、来螺が「おん」と返事をする。
「気が利くじゃないの」
凛凛が私の真似をして隣の来螺の肩を小突いた。
「いてーな、ちび」
「あぁ、そうだ!プリオルちゃん、可愛い髪留めあったから買っておいたよ。今度一緒にこれ付けてお出掛けしよ?」
フレアが自分の髪につけてるのと同じ髪留めをプリオルに渡した。
「きれい……フレアちゃん、ありがとう……」
少し負い目を感じてたプリオルは、予想外のフレアの行動に驚く。そして、心底嬉しそうに髪留めを見つめる。フレアはそれを丁寧につけてあげる。
お揃いになって、笑顔になる二人。
「二人共似合ってるね、凄く可愛いよ」
プリオルとフレアは満面の笑みで頷き合い、火蘭君の両腕に二人でしがみついた。頬が急激に赤くなる火蘭君。
「なぁ青花、白菜の切り方これでいいのかぁ?」
台所から災人の声がする。
「はいはい、ちょっと待って」
青花が台所へタッタと向かう。
「レシカ様、もしお疲れでしたら私がお背中流しましょうか?私もお風呂まだなんです!」
幽美ちゃんは冷静な口調とは裏腹に、目が血走っている。
「じゃっお願いしよっかな」
「はい!!!」
幽美ちゃんは、ムーンストーンみたいな瞳をきゅるんと光らせた。綺麗な薄水色の髪をワサワサと振り乱し、着替えを取りに行った。
……
私はみんなを眺める。
この部屋は愛に溢れているわ。
私はこの幸せを守る事に成功したんだ。
就寝前、予備の部屋、ベッドの上――
私は施設を脱走してから、この瞬間まで起きた事を振り返ってみた。
施設に居た時みたいに平凡ではなく、きつい事もあったけれど、なんだか楽しいし幸せだ。随分と自分も変われた気もする。
未だに問題は山積みで未来なんか保障されていないけれど、何故かやっていけそうな自信が心の奥底にある。それは、いけそうというより、やり遂げなければという強い意思が身についた感じに近いけれど。
もし何処かの世界に私の物語があるとすれば、パーフェクトとなんたらとか名付けてもらいたい。
何故なら、私は唯一無二の人生がいいから。唯一無二に面白く、唯一無二に幸せで、唯一無二のかけがえのない仲間がいるそんな人生がいい。
私はスマホを手に取り、幽明ナズナ先生に電話をかけた。
トゥルルルルル……
(もしもし)
(あ、もしもし先生。やっほー)
(え!!?レシカちゃん!!!)
(おひさー、連絡返さないでごめんね)
(もぅ、本当にねっ!?すっごく心配だったんだからね)
(ホントにごめんね……)
(……うん……まぁいいわ……怪我とか怖い思いはしてないの?)
(うん、大丈夫だよ)
(よかった。でもね、ホント言うとあんまり心配してなかったんだよ)
(ひどすぎーーー!!!)
(違う違う。レシカちゃんを信頼してるからだよ。誰にも分け隔てなく優しくて、行動力があって、みんなを幸せに巻き込んじゃう、とっても凄い子だからね)
(……)
(先生は、レシカちゃんの能力より、そんな所に無限の可能性を感じていたからね)
(会いたい)
(え?)
(先生に会いたい会いたい会いたい会いたい会いたいーーー!!!)
(ふふっ、甘えん坊さんね)
(甘えん坊でいいもん、会お先生?来てこっち。戻るのはまだ出来ないから……)
(うーーーん、まだその時じゃないかなー)
(その時?)
(さっき言ったみたいに、レシカちゃんは無限の可能性があるんだから、先生はそれに栓したくなーいの!)
(じゃあ、全部完璧に達成したら会いに来てくれる?)
(勿論!)
(ちなみに、返って来いとは言わないんだね)
(先生失格だよね、あはは。施設の人には今の内緒!)
(うん)
(じゃあ、そろそろ。先生お用事あるから切るわね)
(えっちなこと?)
(そういうところも成長しなさい!年下組ちゃん達に悪い影響与えちゃだめだよ!?)
(肝に銘じます(自分もそう思ってた))
(よろしい、じゃーねーレシカちゃん)
(バイバーイ)
ふぅ……まだまだ頑張らないとね。
パーフェクト・ゾディアック ―十三の瞳を持つ乙女― 一巻 END
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長らく、お読み頂いて本当にありがとうございました。
レシカちゃんの物語どうでしたか?
PVやいいね、感想が増えれば、続くかもです……
構想はしっかりありますので。




