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童話:星のしっぽにのった夜

掲載日:2026/01/18

 

 窓の外を見上げると、冬の夜空が広がっていました。

 遠くできらきらとまたたくのは、きっとオリオン座です。


 あまりにもきれいだったので、

 わたしはそっと、窓の向こうへ手を伸ばしてみました。


 そのときです。

 夜空をすべるように、ひとすじの流れ星がやってきました。


「やあ、こんばんは。ずっと、ぼくのことを見ていたね」


 鈴を転がしたような、やさしい声がしました。


「ええ……。とても、きれいだったから」


 すると流れ星は、くすっと笑って言ったのです。


「ぼくも、いつも君のことを見ていたよ。

 よかったら、ぼくのしっぽにのってみる?」


 わたしは、光り輝く流れ星のしっぽにつかまりました。

 夜空の旅のはじまりです。


 そこは、宝石箱をひっくり返したような世界でした。


 ふたご座が楽しげに手を振り、

 おうし座が、やさしくほほえんでいます。


 星たちはみんな、あたたかい光につつまれていました。


 その光の中にいると、不思議なことが起こりました。

 いままでつらかったことや、かなしかったことが、

 星屑に洗われて、すうっと消えていく気がしました。


――なんて、しあわせなんだろう。


 星たちのまたたきが、歌のように心に響きます。


 『あなたは、ここにいていいんだよ』

 『あなたは、とても大切なんだよ』


 そんなふうに言ってもらえたのは、

 はじめてのことでした。


 ずっと、この旅を続けていたかったけれど、

 夜はもうすぐ終わってしまいます。


 胸が、きゅっと切なくなったとき、

 流れ星が、やさしく言いました。


「だいじょうぶ。

 もう一緒にはいられないけれど、

 ぼくは、ずっと空から君を見ているよ。


 君が大きくなっても、

 ずっとずっと、だ。


 あたたかな光を、

 ぼくは空から送りつづける。

 だから、心配しなくていいんだよ」


 流れ星はそう言って、

 夜空のかなたへ消えていきました。


 わたしは、あたたかな布団のなかで、

 そっと目をとじます。


 まぶたの裏には、

 まだ、あの光が残っています。


――きっと、あしたは、いい日になる。


 わたしは、すやすやと幸せな眠りにつきました。



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