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そして奥にある台所へ行き、麦茶をコップに注いで玄関に戻った。
依琉がまだそこにいたからだ。
「依琉、これどうぞ」
「ありがと。のど渇いてたんだ」
麦茶を飲むと、依琉は笑みを浮かべる。
「しかし神無月の巫女姿、改めて見ると新鮮だね。いつも制服姿しか見ないから」
「プライベートでは滅多に会わないしね。私も依琉の私服姿見るのは久し振りだわ」
「そうだね」
二人でクスクス笑っていたが、ふと依琉の目に真剣味が宿る。
「…さっきの夫婦、仲が良さそうに見えたね。本心はともかく」
「また何か<視>えたの? …と言うより、<視>えなくとも、分かる気がするけどね」
肩を竦める神無月の姿を見て、依琉は笑った。
「そうだね。気付かぬのは彼女だけ。それが不幸か幸か…」