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対して神無月の顔は険しくなる。
「依琉の場合、わざとおかしくしているような気がするんだけど?」
「否定はできないけど、逃れられないって言うのもあるよ」
二人は短い間、視線で火花を散らした。
それが解かれたのは、祖母が部屋に入ってきたから。
「お嬢、それに依琉さん。生徒さん達が帰ったから、本低に移りましょう」
「えっ!? あっ、お婆、ゴメン!」
壁にかけてある時計を見上げれば、すでに10時半。
習字教室が終わる時間になっていた。
「いいのよ。…さっきのお客さんのこともあるしね」
声をひそめて言ったが、すぐに笑顔を浮かべる。
「これからあんみつを作るの。依琉さん、良かった食べてかない?」
「わあ! 嬉しいです。あんみつ大好きなので♪」




