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「神無月のお祖母さん、お守りを作るの?」


「うん。お守りの袋はウチの母の手作りだけどね。お守りの中身を書くの」


神無月はイスに座り、自分の麦茶を注いで飲んだ。


「習字でね、願い事を紙に書いて、それを折りたたんで袋に入れるの。それを身に付けていると、その言葉通りになるってもんよ」


「なるほど。安全祈願とか恋愛成就とか、そういう言葉を書くんだ」


「そっ。祖母の力はそうやって発揮される。だからあの奥さん、これからは絶対に病気しない。お婆の他に、私の<言霊>も使ったんだもの」


「妻にとっては良いことなんだろうけど、夫にとっちゃ当初の目的からは完全に離れちゃっただろうね。気の毒に。今までの努力が全て水の泡だ」


楽しそうに笑う依琉を、今度は叱れなかった。


それは神無月も、そして祖母も気付いていたからだ。


妻は何の病気にもなっていないことを―。


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