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夫婦越しに祖母が立っているのが見えた。
何とも言えない複雑そうな顔で、肩を竦めた。
「…分かりました。では奥さま、前へ」
「はい」
神無月は妻の前に来ると、右手を上げ、彼女の胸の辺りにかざした。
―大丈夫。あなたは病気にならない―
ピシっと空気が揺らいだ。
神無月の<言霊>は妻の体に染み渡る。
不安そうな顔色は、元気そうな肌色になる。
「あっありがとうございます! 何だか元気になれた気がします」
「良かったな」
「ええ!」
喜びあう二人を見て、神無月は苦笑するしかない。
「あっ、タクシーを呼びますので、妻のこと、ちょっとお願いします」
「はい」




