ヘンリー・アルフレッド
「クッソ~どんだけ馬鹿力なんだよ!」
素振りを止めて森の中で1人叫ぶ。
珍しく自主練をしてるのにはもちろん理由がある。
「ガルムに負け越すとすげームカつく……」
唇を突き出しながらガルムとの試合を思い出す。
技量では俺が勝ってる、だけど力が強すぎるせいで俺がしたい動きが出来なくなる。
つばぜり合い、防御。明日はその選択肢はとらないようにしなきゃだめだ。受け流すか避けるのに集中して戦ってみよう。
「ガルムの強みは力と状況判断と後は……」
「動体視力と奇策とかもだな」
「うわ!びっくりした!」
木の後ろから父ちゃんが姿を見せる。
「気配に気付けるようにもならなきゃ一人前とは言えないぞ!?」
「気配って……そんなの本当に分かるのかよ?」
ガルムとの脳内戦闘を邪魔され、不満顔で父ちゃんを見る。
「よし!なら試してみよう!」
父ちゃんが目を瞑って俺からの攻撃を防ぐと言い出したのでその勝負を受ける。
「分かった!じゃあ目を瞑ってよ!」
「じゃあ始めるぞ?」
父ちゃんが目を閉じ木刀を構える。
(決めた!首に当てると見せかけて右足に当てる)
脳内で動きを決めて剣を振る。
カン!
カン!
「…………」
「残念だったな」
一度目の時点で驚いたが二回目でそれがまぐれじゃない事を悟る。
「因みにガルムも同じ事出来るし、俺から1本取ってるからな?」
「まじかよ……」
どうやって1本取ったのか聞いたが頑なに教えず、そのまま村に帰っていく背中を見つめる。
「いいじゃん……俺のライバルとして認めてやるぜ!!」
顔に笑みを浮かべ、雄たけびを上げながら脳内のガルムと戦い続けるのだった。




