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――6月9日――


奈海の家に着いた。


部屋に入ると奈海と友次が座っていた。


見ると友次の顔は赤くはれあがってる。

奈海にビンタでもされたのか?


「それで、こちらさんがいろはちゃん?」


「そうだ友次。グループチャットでもいったけど、見つけたから連れてきた」


「いやあ、探す手間が省けたのはほんまにでかいでー? 正直どこ探すんやって感じやったからさー」


確かに。

いろはを見つけてなかったらだいぶめんどくさかったかもしれない。


まじで芋杏に寄ってよかった。


「それじゃあいろはちゃん。今私たちに何が起きてるか、もう一度説明してくれる?」


「わかりました」


円卓テーブルを囲って僕らは座る。


「私がこの世界に来たのは、柳士さんに私の世界を救ってもらうためでした。私の世界に柳士さんを呼ぶには、一度柳士さんに転生してもらう必要があって、転生石というものを使えば、柳士さんを魂だけの存在にできるので、その魂を私が持ち帰って柳士さんを転生させる、というのが本来のやり方でした。でも……ごめんなさい! 私が前もって準備してたのは、転生石じゃなくて置換石ちかんせきというもので、それに気づかずに使っちゃったというわけです……私がうっかりしちゃってて、この世界に来る前にちゃんと確認するべきでした……うう~ごめんなさい……柳士さん……奈海ちゃん……」


いろはは頭を下げた。

ぷるぷると身体が震えてる。


「いいのいいのいろはちゃん! いや、よくはないけどとりあえず頭をあげてよ!」


「うう~ごめんなさい~!」


「な、泣かないでいろはちゃん!」


奈海はいろはの背中をさすった。


「ありがと、奈海ちゃん……」


「そうするとや、いろはちゃんがうっかり柳士と奈海を入れ替えてしまったんは、そのチカンセキいうもんのせいなんやな?」


「はい、そうです……」


「電車で使いそうな名前してんのにここで使ったんか?」


「ゆーじ」


「じょ、冗談や……そうにらむなよ」


「ゆーじがチカンっていうと私には冗談に聞こえないからね~。だから気をつけてよ」


「どういう意味や!」


「いろはちゃん、その置換石ってどんな石なの? やっぱり人を入れ替えちゃうくらいだからとんでもない石なのよね?」


「えっと、ちょっと待ってくださいね」


いろははポケットからメモ帳を取りだした。


「置換石は他の石よりも特殊な石なので、私も正確にはわからないからメモしておきました。読みますね」


奈海はうなずく。


「えっと、置換石とは、人を含む特定の物質間において、その気質や性質そして体質を置き換える石です。人への使用では、肌質や外見、身長や体重などの身体的なものから性格や思考、言動そして運命性などの精神的なものまでの置換が確認されてます。置換石の効果範囲はとても広く、通常の場合はあらかじめ石に細工をしたり、使用者の能力において石の効果範囲を限定して使用する必要があります。制限せずに使用すると置換部分はランダムとなります。なお、未解明の拒絶反応により死者が確認されたため、現在では人への使用は禁止されてます……です」


「……人への使用は禁止されてます?」


……え?

死者……? 禁止……?


ねえ。

僕、戻れるよね?

元の身体に……。


「なあいろはちゃん? それってやばいんとちゃうんか?」


「えっと、その……やばい……かもです……」



◇◇◇



「で、でも、聞いてください聞いてください! い、一応置換石は完全に効果を発揮したので、今回の場合に拒絶反応はありませんでした! ……なので、もう一度置換石を使えば、本来ならば元に戻せるはずなのです!」


……はあ? 戻せるはず?

いやいや、戻れなきゃ困るんだけど。


「それが失敗したらどうなる? 元の身体には戻るどころか死ぬかもなんだろ?」


「それは……」


いろはは黙った。


「まあ試してみなわからんわな」


「おい友次、試すって何をだよ?」


「置換石に決まってるやろ。それ使わな元の身体に戻れへんいうなら使うしかあらへんやん」


僕はモルモットか?

人体実験に付きあう気はねえよ。


確実に戻れる方法が欲しいんだ。


「おいいろは、他に身体を戻す方法は?」


「ないと、思います……」


「ふざけんなって!」


「柳士! 今はいろはちゃんにつめてもしゃーないやろ? ここはお前が冷静にならなあかんぞ」


「ゆーじのいうとおりだと思うよ……」


「いろはちゃん、確認だけど、置換石を使わないと戻れないのよね?」


「はい……」


「わかった。じゃあ使う」


はあ?

失敗したらどうすんの?


「奈海! お前なあ、もう少し考えて話せよ? 人に使うなっていってるもんをまた使おうとしてるんやぞ? なんでそんなに抵抗がないんだよ!? それで使って、もしも何かが起こって――」


「うるさい馬鹿!」


パチン!


痛ってえええ!

ほっぺたがじんじんとする。


どうやら奈海にビンタされたらしい。


「お、お前何でいきなりたたく!?」


「ああ! 私としたことが元の私の顔をたたくなんて……肌痛めてないよね? ……ちょっと、どうしてくれるのよ! あんたが情けないからまた手がでちゃったじゃない!」


ええ……。

自分でたたいといてそれはひどすぎないか……?


「いろはちゃんが他に方法はないっていってるんだから覚悟を決めなさいよ! あんたってほんとに男なの!?」


「奈海ちん……」


「なんや、柳士のことがかわいそうに思えてきたわ」



◇◇◇



「それじゃありゅーしも奈海ちんも置換石をもう一度使うってことでいいんだね~?」


「……ああ」


「うん!」


「みたいだよ~いろはちゃん!」


「さあこれで意見もまとまったみたいやし、さくっといろはちゃんに置換石とやらで二人の身体を戻してもらおうや」


「そ、それが……できないのです……」


「ん? なんでや?」


「石は一個しか持ってきてなくて……」


「そんなん、取りに戻ったらええだけの話ちゃうの?」


「うう……ごめんなさい……それができないのです……」


……ん?


「どうしてなの?」


「実は私も置換石の影響を受けてたみたいで……その、私……元の世界に帰れなくなっちゃいました……」


「……え?」





置換石の説明はあえて学説っぽくして一つまとめました。口語にすると長くなりかえってわかりずらいと思ったからです。

こんな感じの説明が、どうしたら元の身体に戻れるかの時にもう一回だけ登場します。


設定の見せすぎはブラバの要因ってyoutubeで習ったのですが、僕の力量ではこれが限界でした(☍﹏⁰)

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