九夜、あまり良くないお兄さん
今日は、じいじのお話です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、小学校にも行ってない頃のことだけれど・・・
友達と言っても、いろんな友達がいてね、面白そうなことをする友達がいたね。ただ、いいことばかりではなくてソコソコいい事でないこともやっちゃう友達もいたりしてね。例えば? そうだねえ、もうだいぶん時間が過ぎてしまったからもういいことにしとこうかねえ。
遊んでいて、のどが渇いたりしたときに、それに、おなかもすいてくるし、そんな時に、畑に行って、なってるキュウリなんかを勝手に食べちゃったりしてね。ただ、形のいいものや、大きくして種を取るためのものなんかはもがなかったよ。変な風に曲がっていたり、受粉が上手くいかなくて、ひきつってしまってるものなんかを、取ってたと思うよ。トマトなんかは、雨の後に急に膨らんで、割れてしまったものや、風でこすれて、傷がついたものなんかを選んで取ってたよ。小さくても赤く熟れてしまったものなんかも取ってたかな。
さすがに、大根なんかは土の中までは見えないから、外に出てるところが傷になってるものなんかを選んでたような気がするよ。でも、傷があると言っても、お店には出せなくても、自分ちで食べる分には何の問題もないから、見つかると怒られて、帽子を取られて、学校に言いつけられることもあったみたいだよ。じいじは運よく、そんなことはなかったけれど、その子とは遊んではいけませんだの、そんな子と遊んでると大変なことになる、だの、よく言われてた。
けど、そんな子だからこそ、楽しく、面白い遊びをたくさん知っていて、友達もたくさんいたよ。とにかく、いろんなことをたくさん知っていて、やっていいこと、やめておいた方がいいこと、やってはいけないこと、それに、おすすめはできないけれど、ここまでならいいかな――ー?ってことなんかを教えてくれた。でも、見つかって、逃げ回ることもたくさんあって、近所の評判はあまりいいことはなかったよ。
そんなみんなと、タモをもって、タモっていうのは、ザリガニなんかを捕まえる網のことだよ、小川に魚取りに行ったね。みんな、ズボンをまくって、シャツは脱いで、裸足で小川に入り、掛け声とともにタモで川岸の草がかぶさってるところや、大きな石の重なってるところを探るんだよ。そうすると、あら不思議、フナなんかが、ぽろぽろとれる。不思議だったよ、川の真ん中なんか、まったく魚の影もないのに、なんでか、彼の言うところには魚がいる。バケツにたくさん捕った魚は、あとでみんなに分けたり、特に大きなものは魚屋さんのところに持って行ってたみたいだね。分け前? そんなものはないよ、彼にとってみれば、じいじたちはお手伝いさんみたいなもので、少しは役に立つけど、いないほうが手間が掛からなくていい、程度にしか思ってなかったと思うよ。
そうやって、池で、ウナギを捕まえたり、鯉を手掴みしたり、いろんなことで遊んでもらったよ。
彼とは、そのあと、長いお付き合いになったけど、いまどうしてるか・・・
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
子供の頃は、ぞろぞろ子分を引き連れて歩いてた人がいたようです。今はそんなことはなくなってきましたか?




