六十五夜、ばあばの中学生生活 19 お母さんの快気祝い
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、中学校の頃のことだけれど・・・
ばあばの家族がおやすみの時は電車で四十分のところにある大きな街によく行ったんだよ。遊びにもいったけどお買い物や食事になんかにも行った。
大きな街だったのでほとんどなんでもあったよ。こちらに来た最初の頃はそれほどでもなかったけれど、毎年、毎年新しい建物が出来ていったよ。だから、しばらく行ってないともう変わってしまうように感じていたよ。だから何度行っても飽きることはなかったさ。
駅の前には大きなビルが建ち、街の中の主な通りには路面電車が通ってたよ。
ばあばたちは、路面電車で街の中心部まで行ってそこにあるデパートで食事をしたり、買い物ついでに足を延ばして、動物園に行ってみたり。お休みの一日がすぐに過ぎてしまうような錯覚を感じていたよ。
前までいた、前のお母さんと暮らしていた街も大きかったのだけど、ここと比べたら競争にならなかったさ。お父さんのお仕事も順調で、余裕が出てきたってこともあって、いろんなところに連れて行ってもらったよ。この頃が最初の幸せな時期って言えるかもしれないね。
新しいお母さんも自分のお仕事を捜すために、難しい勉強をして苦労しながら資格を取ろうとしていたし。ばあばもそれなりに勉強はさぼることなく続けていたし、一見どこも幸せが逃げていくようなことはなかったさ。
ところが、新しいお母さんが難しい勉強をつづけたせいか、病気になってしまったよ。ひどい病気ではなかったけれど、根を詰め過ぎたのか、肺に水が溜まって、動けなくなってしまったよ。しばらく入院して体を直して、養生をしてからまた勉強を続けることになったさ。
ばあばはそんなことはなかったけど、新しいお母さんは、神経質なところがあって、何かを始めると止まらなくなって、つい無理を重ねることが多かったよ。
この頃一番恐ろしかったのが肺病だったので、ばあばはお父さんと二人で、ひやひやして心配してた。それでもまだ体力があったせいか、長く入院することもなく回復することが出来たよ。
当然だけど、回復したお祝いも街に出ておいしい食事をすることになった。そんなように、なにかと街には出ていろいろ楽しんでいたね。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
この頃は病気になることが恐ろしいことで、ひどい病気になると回復が難しいことが多かったようです。
今もそうなんでしょうけど、今より切実だったみたいです。




