二千四百八十七夜、ばあばの社会人生活 103 ばあば就職する 103 印刷会社 76
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばがまだ若かった頃のお話をしようかねえ。
ばあばが就職をした頃のことだけれど……。
「──……まあ……社会生活に不満があるのなら、自分自身が ” 能力 ” という " 力 " を身につけるしかないのかもしれないわね……っていうね……つまんないお話だったというわけね……。」
ばあばは、これはIさん自身が日頃から感じていることなのかもしれないなあって気がした……。
ばあば自身は、正直言って、そこまで考えたことがなかった……。
人生や、社会とか……仕事とか……そういったことに対して、ばあばが大きな期待をしていない……ということがあるからなのかもしれないけれどねえ……。
ばあばはその後、Kさんが二階の版下張り込みのお手伝いから帰ってくるまでは、Iさんと二人で機械の取り扱いに慣れる練習を繰り返していた。
「……やあ、お疲れ様です……。
二階での版下張り込みの手伝いが長くなってしまって、こちらへと帰ってくるのがすっかり遅くなってしまって……申し訳がなかったですねえ……。
新人さん……あーさんでしたっけ……のことを任せっきりにしてしまって、Iさんには、悪いことをしてしまいましたねえ……。
それで……新人さんへの説明などは、どれくらいまで進みましたか……。」
写植部門の責任者でもあるKさんが、版下張り込みの手伝いから帰ってきた……。
「……いえ……たいしたことは教えてはいません……。
写植の基本的なことについては、Kさんが帰ってきた後に、きちんと教えてもらえると思っていたので……。
わたしは、ただ、写植機の動かし方を少しだけですが話しました。
後は、一緒にひらがなを印字してみたりしていましたが……。
それ以上のことについては、Kさんがこちらへ帰ってきてから、基本から教えてもらえると思っていましたので、私は手を付けてはいませんが……。
……ですから、後はKさんの方でよろしくお願いします……。」
そういって、Iさんは、自分の機械のところへと戻っていった……。
「……ああ、わかったよ……。
それじゃあ、印刷の知識から始めようかな……。
機械の操作の仕方の方はこれで一区切りとして……。
こんどはそこにある机の方で勉強を始めましょうかねえ……。
それじゃあ、メモ用紙をもらってくるので、筆記用具などの準備をしておいてもらえるかなあ……。」
そう言い残してKさんは、事務所へと一言断りを入れに行った。
それから製本部門へとメモ用として使えるようにと、この会社専用のお客様対応用や電話対応用の備忘録に使う、冊子となった便箋をもらい受けに行ったようだった。
帰ってきたKさんから渡されたのは、B5版の大きさの、薄い上質紙に緑色のインクで印刷がされている、囲み付きの罫紙だった。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




