二千四百八十六夜、じいじの高校生生活 1172 三年生 127 二学期から 109
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
「──……うん、そうしたいとは思うんだけれど……。
ただ……クラスでの話し合いになってしまうと、結構、時間が掛かっちゃうと思うし……。
それに……皆さんからのいろんな要望があったとしても、それに応えられるのかどうかについては、自信がないんだよね……。
僕自身の技術的なところからいっても、無理かもしれないしねえ……。
だから、僕自身はあんまり話を拡げてもらいたくはないんだよね……。」
Bさんは、じいじからは視線を外しながらすこし考えている様子だった。
「……じゃあ、今からこのスケッチブックを少しだけ貸してくれない……。
模擬店の手伝い要員に委員の人たちが集まっているので、その人たちに見せてくるよ……。
私の判断だけで表紙を決めてしまうと、後で苦情が出てきて、つるし上げにされちゃうと嫌だからね……。
まあ……ささっと見せて、すぐに決めてくるから……ちょっと待ってて……。」
Bさんは、そう言い残して、模擬店が開かれている教室へと小走りに行ってしまった……。
その場に残されてしまったじいじは、手持ち無沙汰になってしまった。
けれど、手芸品などが展示がされているのだろう、目の前の教室には、さすがに一人では……見学だとはいっても、じいじは入っていく勇気がなかった……。
しかし、周囲からの遠慮のない視線が気になったじいじは、仕方がないので窓から、中庭の向こう側にある事務棟の様子でも眺めていることにした……。
しかし、落ち着いて考えてみると、展示がある教室の中に入ってしまっていたほうが、いろんな意味で、かえって視線からは逃れられたような気がするのだけれど……。
それでも……そんなに時間が掛からなくてもBさんは、さきほどここへ来た時と同じように、パタパタとスリッパの音を立てながら、小走りでやってきた……。
「……お待たせ~~~。」
Bさんは、にこにこしながらじいじにスケッチブックを手渡した。
「……私が心配するようなことはなかったみたいだったよ……。
委員さんたちにこれを見せたら、私がこれかなって思っていた下絵が、みんなに取ってもよさそうだったからね……。
なんだか問題なく決まったので安心しちゃったよ……。
だからね……これで決定!」
スケッチブックの中の、表紙絵の下書きの、そのページを開いて、指さしながら嬉しそうにBさんは報告した……。
「……じゃあ、この下書きで作業を進めていくからね……。
……これ以外の下書きがいまいちかなあって思っていたので、僕もこれで決まって、ほっとしたよ……。
それに……自分の感覚が、女性の好みとも大きくズレてはいなかったかな……ということに、正直、僕は二重にほっとしたんだけれど……。
……まずは無事に決まって良かったよ……。
彫りの方も、そんなには時間がかからないで仕上げられると思うから……。
……出来上がり次第に、持ってくるよ……じゃあね~~~。」
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




