第三十二話:ダンジョンに行こう PART2
あれから一ヶ月が過ぎ、俺達は冒険者ギルドに来ていた。俺とエルシィにとっては二回目の冒険者ギルドである。登録のときは前と同じく氏名などを書いた。しかしそのあとは魔力測定があった。俺以外だけだったが。とここまでで疑問に思っただろう。15歳にならないと冒険者にはなれないのではなかったのかと。実はこの登録はダンジョンに入るためだけにするものである。この効力は学院に在籍している時だけで退学したり、卒業したりしたら使えなくなるので冒険者として活動するためには新しく登録をしなければならない。前もダンジョンに入るためだけだったが学院生でもないし、15歳を越えていたので本登録をしたのだ。
登録と説明が終わったあとは帰ってから授業があった。
「なぁこういうときは授業なくていいと思わないか?」
「授業は大事。きちんと受けるべき」
「そうですか。イースさんまでそういうことを言うんですね」
「それに授業料も払っているのでもったいないですよ」
「ん?俺は免除だったぞ階級色黒だから。それに俺はその他の必要経費も払わなくていいんだよ」
必要経費は教科書や制服、魔道具などの学院から支給されるものだけであり、他に魔道具などを買う場合はそれに含まれない。
「う〜。そこまでだととてもウザく聞こえます」
いやいや茶は確か必要経費の十分の一負担だったぞ。人のこと言えないじゃないか。
「ヴェルはズルい。授業中寝ているのに小テストは点数よかった」
「それは〜まぁ寝ている間の音も記憶しているしな」
「これぞ完全なる睡眠学習ですね」
「あの僕の話聞いていますか?あなた方」
エルビス先生が怖い笑顔をしながら聞いてきた。俗に言う目が笑っていない状態だ。
「え?あ、聞いていますよ・・・」
「そうですか。では今度3人だけに特別なテストを受けさせますので範囲はいまやっていたところです。聞いていたならできますよね?」
「うげ。めんどくさい」
イースさん先生に聞かれないようにめんどくさいって呟かない。そりゃめんどくさいけども。因みに俺はイース達と話しながらでもきちんと聞いていたので大丈夫だ。
「さて明日ダンジョンに行くために気が抜けている人がいますが、始まりの楽園だからといって初めてしかもあなた達のような子供にとっては脅威になることもあります。そのことを頭に入れて挑んでください。今日はホームルームがありませんのでこれで今日の授業は終了です。明日に備えてしっかり休みましょう」
「「「「「はーい」」」」」
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「良いか?目標は銀髪で赤い目の少女だ」
「他の奴らにバレたらどうします?」
「殺すな。絶対にバレないようにしろ」
「難しいこと言いますねぇ~」
その二つの影はダンジョン”始まりの楽園”に入っていった。
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「はい、ではダンジョンに飛びますので順番に転移魔法陣の中に入ってください」
学院にある転移魔法陣はダンジョンにも行ける。ダンジョンの外に学院専用の建物がありそこに飛ぶ仕組みになっている。
「じゃあ行こうか」
転移魔法陣に乗った。視界が一瞬白に染まり次の瞬間には体育館のような場所にいた。
「インフェルノの人はこちらに集まってください」
その端のところでエルビス先生が呼んでいた。他のクラスも来ているためクラス別に点呼・説明をするのだ。
「このダンジョンで手に入れたものは全てあなた達のものとなります。今回は第十層まで降りれることにします。もし身の危険を感じたら上の層に行くようにしてください。説明は大体こんな感じです。では頑張って来てください」
俺達は最後に入った。というのも俺とエルシィは一回来たことがあるので十層までなら簡単に降りれる。だからゆっくりと隅々まで行くためにあとに入ったのだ。
「二人がこの階層で行ったことないのはどこ?」
「そうだなぁ多分一箇所だけじゃないか?」
「そうですね。あそこですね」
あそこというのは隠し部屋だ。前来たときは『隠し部屋にはお宝があるがその分出てくる魔物の量と強さが半端ないので今回のところはやめておこう』とブランさんが言ったので入っていなかったのだ。
「つまりこれから行くところには強敵がたくさんいるってことだ」
「楽しみ。だけどヴェつにとっては強敵じゃない」
「それは言わないでくれ・・・」
いやまぁ楽しもうじゃないか!うんそれがいい。
「ここが隠し部屋・・・本当にあるかわからない」
「ちゃんとあるよ。確かこの辺に・・・お、あった。ここに魔力を流せば良かったはずだ」
俺が石の裏にあったその魔法陣に魔力を流すとそれまでは無かった扉が静かに開いた。
「へー静かに開くんですね。こういうのは物々しい音を立てて開くものかと思っていました」
「俺もそうかと思っていたよ。期待を裏切られた感じだな」
その期待を裏切られた部屋に入ったと同時に赤いオークが視界いっぱいに現れた。
オーク通常は青色。人型の魔物の中では最下位に属する。そしてレッドオーク。これが俺たちの目の前に現れたオークの名である。これはオークの上位種であり、オーク種の中では中くらいの強さだ。特徴としては力が通常のオークの5倍ほどで知能もそれなりに高い。攻撃手段は主に太い木棒。魔法は使えない。
「ヴェル、これは私がやりたい」
「ああ、わかった。頑張れよ」
「あの私はあっち向いていていいですか?」
「ん?あ、ああ多分イースが終わらせるから大丈夫だぞ」
そうかエルシィはまだ魔物が血を出して死ぬところを見たことなかったのか。俺は最初見たとでも何故か気分が悪くなる基地はなかった。
そして俺がエルシィと話し終えてからレッドオークの方を見ると全部首から青い血を噴き出して息絶えていた。容赦ないっすねー。つーかこっちにもかかるって!降ってくる血をなんとか避けながら俺はイースのところへ行った。勿論エルシィは残してきている。
「早かったな」
「簡単だった」
「それじゃあ宝箱のところに行くか」
「ん。行こう」
宝箱のなかには魔石がたくさん入っていた。うーんもっといいものかと思ってた。魔石なんて自分でも作れるしな。
レッドオークは取る部位がなく魔石も手に入らない。なので全部土の中に埋めておいた。冒険者になれば討伐証拠部位としてツノが必要になるがツノはいくらでも出回っているので今取る必要はない。
「じゃあ次は五層だね」
「あれ?二層と三層と五層は?」
「それは全部見たのさ」
「じゃあ一気に降りる?」
「まぁそうなるな」
俺とイースは次の層のことを話しながらエルシィが待っているところに向かった。
「んじゃあ次行こうか、エルシィ」
「あ、もう終わってたんですか。次は五層でしたね」
「なんか・・・嫌な気がします」
「ここなんか変」
俺たちが五層に行くとそこには異様な雰囲気が漂っていた。通常なら少しでも戦闘音が聞こえてきそうなのに一切聞こえない。まるで俺たちが異世界に入ったかのように。
「異世界・・・人がいない・・・そうか!人除けの結界だ」
「人除けの結界?なんですかそれは」
「無属性の中の時空間魔法の一つだ。対象以外の人、もしくは自身より魔力が多い人以外はこれないようにできる魔法だ」
「では私たちが目的ということでしょうか?」
「多分そうなんじゃないか?・・・おい!そこのお前出てこい!」
魔力を薄く巡らせていると少し離れたところに二つの人の反応があった。片方は魔法を発現中のようなのでおそらくその二人組が犯人だろう。
『ばれましたよ。どうしますか?』
『仕方ない。穏便に済ませろ』




