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天国から追い出されて不老不死  作者: ラムネ便
人工妖精の力
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イメージを持つ

また一日遅れです。ごめんなさい。

 

 先程の戦いのあと、グラウンドにいつの間にか用意されていた謎の栄養ドリンクみたいな何かを補給したローディーは即効回復。正直言ってレムレムとやりあえるんじゃないのかと思えるレベルにまでなっていた。

 しかしローディーは戦おうとせず、それよりも勉強に集中していた。曰く、


「マグノリアでさえあんな強さなのだから、ハインド公爵様の教育を是非レムレムや彼女から直接聞きたいのです」


らしい。

 施されている教育がどのような影響を与えているかは教育している側より教育されている側に聞いた方が分かりやすい。

 ただ、俺のやり方は派手な上にイメージできなければ難しい。つか今思えばレムレムはどうやって超電磁トルネード使えた?風属性はないはずなんだが・・・。

 まあアレだな。きっと雷の副産物だ。多分。俺は科学詳しくないから分からんし。うん。触れないことにしよう。


 で、そんなこんなあって今は回復途中のマグノリアより先にレムレムに近くの机の上で聞いている。

 とはいえレムレム自身は訓練の為に常にヒューマンロリータサイズで行動しているので、シーン的には椅子に座った幼女と机の上に座った妖精が話しているものだが。


「へぇ。それでレムレムは強力な攻撃魔法を繰り出せるのね。勉強になるわ」


「何より大切なのはイメージ。同じ魔法でもイメージが少し違うだけで全く違う」


「貴方の、その、魔斬神斬剣はどんなイメージで?」


「アレは自分の魔力をこう・・・柱にして何もかもを斬り裂くイメージ?」


「私には合わなさそうね・・・。マジックブレードを使わない技とか、他にないの?」


「そうだな・・・。じゃあこれなんかどう?メンドくさいイメージで最初は詠唱する必要がありそうなんだけど」


「どれなの?」


 レムレムは机の上にあった紙に幾つか俺が教えた魔法の詠唱を書き始めた。なんか結構ヤバめなものも混じってるけど、気にしてはいけない気がする。

 俺が教えたイメージの中には明らかに雷のようなイメージではないものが含まれている。それをワザワザ覚えていてくれるところを見ると、レムレムが俺をいかに信じて習っているかが分かる。


 ありがとうなレムレム。完全に忘れてると思ってたけど、覚えててくれて。


「例えばコレとかどう?」


「えぇ・・・。確かにかっこよさそうだけど詠唱するとなると・・・。いえ、やるわ。その為に聞いたんだから!聞いて終わり。なんてことはしないのが私の主義なのよ!」


「レッツ詠唱!私は先生が言ってて凄いかっこ良かったと思ったけど」


 ローディーは深呼吸して自分でイメージした構えをその場で出した。すると身体の心臓部から右手への炎の流れが出来ていく。

 外側に血管のように出ている炎は、心臓から腕にかけてはただの赤い炎だが、拳にまで到達する頃にはより青い炎となっている。リアリティのある話をしてしまうと空気がしっかりと供給されている印だ。ガスバーナーと同じだな。


 だけど、俺が考えるにアレは同じガスバーナーでも供給されるものが酸素じゃなくて魔力っぽい感じがする。

 見ていても分かるのだが、魔力がより明確になっている。言葉にするのが難しいんだが、敢えて例えるなら『しっかりと完全燃焼しているイメージがある』魔力と言えばいいのか。


「燃えよ心ッ!奮えよ勇気ッ!そして我が人生に喝采をッ!轟楼砲火・破!」


 ローディーの青白い炎は波動のように全体に広がり、まるでガス爆発を起こすかのような拡散を見せてふっと消え去ってしまった。

 俺としてはかっこ良かったのだが、どうもローディーは納得がいかない顔をしている。


「なんか、凄い拡散系よ。コレ」


「拡散系じゃ使えないかな?」


「そりゃあ影響が無いとこならいいかもしれないけど・・・。ここじゃ本当に火事になりかねないわよ。他の教えて」


「これとかは?ニーコニコどう」


「何よそれ。さっきよりイメージ掴みにくいじゃない」


「火、火・・・火かぁ。なんかないかなぁ」


 髪の毛を気にしながらメモに羽根ペンでガリガリと書いていくレムレム。

 俺も頭の中にある火系の技の名前を何とか作り出そうとして考えているが、中々纏まらない。前のネタ切れの所為なのか余計アイデアが浮かばなくなったな。少しは自重してネタの一つや二つ、とっといて然るべきだった。


 とはいえ、無いわけではない。確かにオリジナルネタは尽きた。だが一応イメージとしてやりやすいものなら沢山ある。ロボットしかり魔法少女しかり。アニメで見てきたあの技の数々はとてもイメージに適している。

 だからといってローディーに流派東◯不敗最終奥義を教えるようなことはしないさ。無理だからな。あんなの。魔法的な意味じゃなくて、主にグラウンド的な意味で。


「もういっそのことコレで行こうよ」


「コレ?まあ分かりやすいわね。確かに。でもこのバレット?って何なの?」


「えー。えー・・・こう、なんか、こう・・・」


「先がちょっと鋭くて、高速で飛んでいく金属のこと。って言えば分かる?」


「マグノリア」


「レムレムちゃん。やっと回復できたからボクも参加したいんだけど。いい?」


「うん!お願い!」


 マグノリアはゲートを開いてアサルトライフルのHK417を取り出すと、レムレムに渡して弾倉を外してもらって一発の薬莢に装填されている弾丸をローディーに見せた。

 別に見せたところで何かあるわけでもないから、俺から特別怒るようなことは一切しない。それにイメージ的にも分かりやすい指標になるだろう。


「これが・・・バレット・・・?」


「そう。この薬莢って呼ばれる部分に火薬が入ってて、火薬が爆発した時にこの弾丸、つまりバレットが出てくるんだよ」


「中々面白いじゃない・・・。これはどういう動きをするの?燃えるのかしら?」


「燃えはしないかな。でもこのバレットが敵に向かっていって貫くんだ」


「貫くの⁈こんな鉄の塊が⁈」


「そう。貫く」


「貫くと来るのね!これはイケそうな気が」


「この銃を使えば、それが毎分600発のスピードで出るんだ」


「へぇ。毎分600・・・1分に600発のバレットが飛んでくるの⁈」


「そんな武器もあるわけだよ」


「高速・・・敵を貫く・・・。そうか。私は今までただ当てるだけを考えていたけど、高純化された魔力で敵を焼きながら貫通する。これなら確かに・・・」


 小さい火の玉を出して少しずつ整形していくローディー。HK417の弾丸を指標としているからか、7.62×51mmNATO弾にかなり酷似していた。

 炎の弾丸。ファイヤバレットとでも言うべきであろうそれを更に増やす。整形しては新しく火の玉を作り出してまた整形。

 同じ物をいくつも作り出して、しかもそれを浮かんだ状態で保持。それでまた作り出す。こんな芸当が俺にできるとは思えない。


 数分後、約30発ほど生み出したローディーは近くの的に向かってファイヤバレットを射出。的を見事に貫通した。貫通した部分には若干の焼け焦げがあり、炎の力で木製の的を貫通したことが分かる。

 発射する部分には見た感じは確かに弾丸なのだが、どうしてもバレットと言うよりジャベリンという方が正しい気がする。イメージ的にはレムレムのライトニングストライカーを弾丸っぽくして、火属性にした程度だしな。


 ふと思ったんだが、これに回転能力がつけばどうだろうか?コマの仕組みと同様に回転すれば、敵を物理的に貫通するだけじゃなく、火属性で焼き焦がしながら敵を倒せる。中々えぐいなコレ。

 なんかもったいないからすぐ教えるのはやめておくか。


「バレット・インフェルノはいい感じね。マグノリアも回復したことだし。あと少しだけ聞いて、明日は外でモンスターと実戦と行かせてもらいましょうか!」


「先生。約束は守って下さいよね」


「分かってるよ・・・。責任持って引率してやっから。大丈夫だってレムレム。そんな嘘をつく大人はこれだからみたいな目で見ないで。先生泣くよ?」


「泣かないで下さい。あと・・・もう完成してるんですよね?アレ」


「ああ。あとは実験のみだ。だが使えるかどうかまだ分からん」


 対巨大生物専用肉体強化装置。端的に言うならば、人間用ロリサイズのレムレムに合わせたパワードスーツってところか。完成はしているんだが出力調整がなんか上手くいかずに放置してあったりするのは内緒だ。

 いっその事、リミッターかけずにいきなり最大出力でやらせてみるか。大容量バッテリーなら試作だけど作ってある。


 明日の共闘にどうしても不安しかない俺だった。

次の投稿は4月21日を予定しています!

いつも沢山のPV・ユニークをありがとうございます!

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