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チートの片鱗

最近の俺は充実した毎日を送っている。午前中に剣の稽古をし午後は俺の授業だ。もうこの2つしかやってない気がする。剣の稽古の前に魔力操作の練習もしているのだがうまくいかない。リューターを握っている時に少しだけ魔力の流れっぽいのを感じるがいまだにうまくまとめる事が出来ない。剣の稽古はたまにアイヴィと試合形式の練習もするようになった。いきなり実践になってもこれで少しは戦えると自信がつくが、たまにセリーヌが乱入してきて、俺を蹂躙する。俺もなんとか抵抗するがささやかだ。50キロで走るのは反則だろ。魔術も平気で使ってくるし。手加減を知れ手加減を。

しかしそんな毎日を送っていた俺にある変化が訪れた。


石のペンダントを大量にもらった俺は毎日リューターを使い様々な物を創造していた。徐々に力の入れ具合もわかってきて少しづづ高度な物の製作に取り掛かっていた。目標は1/1アイヴィだ。創造が終わると寝る前に読書をする。セリーヌから借りた本はどれも面白い。一冊づつ読んでいてわからない単語が出てくるとアイヴィの部屋に行って聞くのがお決まりのパターンだ。

ドアをノックする


「アイヴィさん入っていいですか?」

「どうぞ」


アイヴィの寝巻姿は美しい。白一色な服を着ている。月明かりに照らされて思わず見とれてしまう程だ。


「これなんですけど、なんて読むんですか?」

「これはハーメルンですね。」

「なるほど。ありがとうございます。」

「勉強頑張ってるみたいですね。」

「借りた本が全部新鮮で、とても楽しいです。」

「創造の方はいかがですか?作った物を見てみたいのですが」

「いや、まだ見せるには程遠いと言いますか。まだ試行錯誤中でして」

「見に行ってもいいですか?」

「あ、はい、どうぞ」


アイヴィを部屋に入れる。アイヴィフィギュアはまだ形を成していないので何をしているかわからない状態だ。アイヴィは顔文字を入れた石を手に取った。


「これは・・・」

「顔文字と言って、文字で表情を表しているんです」

「可愛いですね」

「え?」

「これもらってもいいですか?」

「そんなんでよければいくらでも」

「ありがとうございます。」


アイヴィの顔が凄く明るくなった。アイヴィは自分の部屋に戻り何やら鼻歌を歌っている。そこまで可愛かったのだろうか(´・ω・`)これ


ある日フィギュア製作中にアイヴィが部屋に来た。


「洋平、入ってもいいですか?」

「どうぞー」


なんかちょっと涙声だ。


「どうしました?」

「あのこれ・・・」


と言って前に上げた(´・ω・`)を書いた石を渡してきた。微かに面影はあるが最初の原型を知らなければ(´・ω・`)は思い出せないだろう。石は滑らかにかなりすり減っていた。


「どうしてこうなったんですか?」

「えと。毎日撫でていたら、消えてしまいました。」


アイヴィの目が涙で滲む。というか2,3日でここまですり減らないから。


「大丈夫ですよ。今ぱぱっとやっちゃいますね」


俺はテーブルに向かいリューターを握りしめて(´・ω・`)を描く。すり減ってもいいように小刀で深さをつける。そしてやすりをかけて表面を滑らかにして完成。


「はい。どーぞ。」

「ありがとうございます」

「これくらいお安い御用ですよ」


アイヴィの目から涙がこぼれた。アイヴィはそのまま立ち尽くして石を抱きしめている。こうゆうときは何もしなくても誰かが側に居た方が安心するだろう。俺はアイヴィの肩を抱きベットに腰掛けさせた。

(このまま押し倒したら、たぶんいけるな)

(泣いてる子を、押し倒すなんてダメだ)

俺の中で天使と悪魔が戦争している。俺は気を紛らわすため。本を取りアイヴィの隣に座って本を読み始める。途中で読めない単語が出てきたが話の文面から想像をつけアイヴィが落ち着いてから聞こうと思い先のページをめくる。アイヴィが隣に居てちょっと緊張したのか集中して本を一冊読み終わってしまった。やばもう朝になるんじゃないかと思って窓を見たらまだ月の位置がまだ高い。少し疑問になりながらも、アイヴィの方を見る。するとアイヴィが変な目でこちらを見ている。


「どしたん?」

「洋平、大丈夫?」

「え?」

「変だよ?」

「はい?」

「本読み終わったの?」

「はい」

「それ前に読んだことある?」

「無いですよ」

「じゃああらすじを話してみて。」


俺が読んだのはガガ族の秘宝という本だ。光と闇の種族はガガ族という種族が喧嘩をして二つにわかれてしまったらしい。祭壇に納めされていた二つの秘宝を光は太陽を闇は月の秘宝を持って逃げ出したという。それに大地が怒り大陸を隆起させ秘宝を守ろうとする迷宮が2つ出来たという話だ。


「ん~ちょっと待っててね」

「はい?」


といって部屋を出て行ってしまった。もう目に涙は無い。するとすぐ戻ってきて一冊の本を渡してきた。


「これは?えっとうさぎ大王とうさぎ仙人?結構な長編だな」

「読んで」

「今一冊読み終えたばかりでちょっと疲れて・・・無いな。読みます。」


昔々あるところにうさぎ大王が居ました。うさぎ大王は大きな船を作り世界を一周しようとしたのです。その時にアスラ神島に近寄りすぎたため船は大渦に巻き込まれバラバラになってしまいました。うさぎ大王は運よくアスラ神島に流れ着きました。するとうさぎ仙人がが表れてお前の願いを一つかなえてやろうと言いました。うさぎ大王はお金持ちにしてくれと答え、巨万の富を得ました。ですが島から脱出する方法が無く、うさぎ大王は死んでしまいました。アスラ神島には今もうさぎ大王の宝が山のように眠っているそうです。ちゃんちゃん


「だそうです。アスラ神島に行けば金持ちになれるっすねー」

「やはり・・・洋平・・・凄い。出来てるよ!」


感想を言うなりアイヴィが抱き付いて来た。俺は訳がわからず混乱している。


「凄い、凄い!!出来た出来た!!」


アイヴィは俺の手を取りはしゃいでいる

だが俺は混乱している。

また抱き付いて来た。

だが俺は混乱している。

するとセリーヌが部屋の扉を蹴破った。


「五月蠅いのにゃ!もう少し静かにするのにゃ!ってお前たち何をしてるのにゃ!」


セリーヌが俺とアイヴィが抱き合ってるのを見て怒りをあらわにした。

だが俺は混乱している。


「セリーヌ様!洋平がやりましたよ!」

「何をにゃ?」

「身体強化です!!」

「え?」「にゃに?」


かぶった。俺はますます混乱した。


「よーへーやってみるにゃ」

「え?俺出来たの?なにした?」


するとアイヴィがまた新しい本を持ってきた


「不思議な物質辞典か。読めばいいのか?」

「はい!」


アイヴィに迷いの無い声が、俺の進む道を示してくれる。俺はアイヴィを信じる!


「読みました」

「では本を置くのにゃ」


俺は言われるままに本をテーブルに置いた。俺本読んだだけなんだけど。まぁ結構内容はおもしろかったな。ガロウス石とか欲しい。セリーヌ持ってるんじゃね。


「カイバルの石」


セリーヌが聞いてくる。にゃって言わないんだ。


「深海龍カイバルの額にある石。その石からは水が永遠に溢れ、土地に潤いをもたらす。主に水系魔道具に使用される。討伐難易度からランクはA以上である。」


「ゼロノスの牙」

「蒼飛龍ゼノロスの牙。類まれな強度を持ち加工するのに苦労するが、それを見事に加工して出来た武器防具は水魔術を付与する効果がある。討伐難易度からランクはA以上である」


「煉獄石」

「火山亀インプラタートルの胆石。火山亀が長い年月を経て体内で作り出す胆石。非常に強力な火魔術系の古代兵器に使用されるらしいが加工が現在技術では不可能な為、現存する胆石を使用した物は炎帝ローランドが愛した、火山亀の兜のみある。帝シリーズの代表作である。


「にゃるほど。確かに。しかし実感をしてないようなのにゃ。」

「と、言いますと?」

「気持ち悪いのにゃ!アイヴィももう寝るのにゃ!」


といって部屋から出て行ってしまった。

なるほど。わからん。


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