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しばらくツリーを眺めていたら、映画が始まったのか広場には人もまばらになっていた。
そんな中で、突然匠に背中から抱きしめられポツリと言われる。
「今日のデート出来て楽しかった?」
「楽しかったよ。本当にありがとう。」
これは本当の気持ち。前に回った腕に手をかけて、眉をしゅるっと下げた情けない匠の顔を見上げながら自然と笑顔になった。
「まぁちゃん。好きだよ。」
「私もたっくん好き。本当に付き合いたいくらいよ。」
そのまま言われた言葉に少し震える声で、素直な気持ちを不器用な言葉で答えた。
手まで震えている。こんな告白は苦しい。ばれないように俯いて唇を噛みしめた。
「まぁちゃん…。じゃあ、今からお試し期間も終わりで本当のお付き合い?」
「うん。いい?」
嬉しそうに匠の顔をみて言ったつもりだけれど、大丈夫かな。
「そろそろ帰ろうか…。」
腕がほどかれ力無い声が頭上から聞こえて、広場を匠の後を歩いてで出る。
私は、自分の事で頭が一杯で元気のない匠に気づく事もなかった。
匠が本当の彼氏になったのに正直、嬉しくない。帰る時間が近付くにつれキツクなってきている。
けれど、これで匠は勝ち。私の計画も後ひと頑張りだ。
そう考えたら少し気持ちも軽くなり、楽しんで終わろうと思える様になってきた。
バスの中でもニコニコ話をしながら駅から手も繋がず帰るために歩いていた。
匠も時々あの情けない顔をしながら、普通な感じで笑っていて安心する。
途中に「公園よる?」そう言われて、通り道にある公園に来た。
散歩道のある小さくはない公園。
自販機で飲み物を買い、並ぶ街灯がある薄暗い冷たいベンチに二人並んで座る。暖かい飲み物をチビチビ飲みながら、無言が続く。
気まずい…。けれどバレないうちに、私がダメになる前に帰りたい。
「ここで、オゥオゥお兄さん達、仲いいね〜。俺達寂しいのにさ〜。見せつけないでくれる?とか来たらどうする?」
後ろ向きに頑張る私についた度胸は強い…はず。
「俺、空手してたの知ってるよね?あれ黒帯で段まで行ったから多分大丈夫。まぁちゃんもいるし。」
匠が前を見たまま言い、缶コーヒーを飲む。
「私は戦力外だよ。よく、うちの兄やんと匠のお兄さんと三人で習いに行ってたよね。」
そこから、お互い今日の何かを発散させるように楽しく昔の話が始まった。
けれど残念な事に、変に単純な所が出やすい私。
「さてと。帰りますか。これで賭けも大丈夫だよね。」
ひとしきり匠と二人で笑って何だか落ち着けて安心して、そろそろ帰ろうと勢いをつけたらポロリと出てしまった。
ダメじゃん、私。




