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休日の使い道

前話、前々話よりも長めの仕様です。

32話、お楽しみ頂ければ幸いです。

 翌朝。今日は学院は休みである。週に一度だけ休みがある。日本で週二日が休みだった身からすれば少しキツイが、まぁそこは既に割り切っている。


 ちなみに、1週間は七日で、日本と同じ。「7」という数字は縁起のいいものだとされているようで。でも一年は12月まである。それは、まあご都合主義、って奴だ。

 1週間は魔法の属性を模したもので、光の曜日、火の曜日、水の曜日、風の曜日、土の曜日、雷の曜日、そして安息の曜日だ。安息の曜日は、回復魔法を表していて、その名の通り、休日だ。それが今日。

 更に補足すると、光魔法の対となる闇魔法は、魔族しか使わないそうだ。なので、魔族側では光の曜日の代わりに闇の曜日がある。と、授業で習った。魔族についてのな。


 さて、休日な訳だが、今日は前に約束していた、特訓をしてあげる事になっている。リュナ、ソフィアとな。

 精霊祭の試合に更に感化されたらしく、自分たちも強くなって、魔法剣術対抗戦(フェンジック)でいい成績を残す!って言ってた。だから俺も頑張りたいと思う。

 みんなでいい結果をもぎ取るんだ。


 しばし待つこと数分。彼女らがやってきた。


「ごめんシュウ。遅れちゃった?」

「いや、大丈夫だ。むしろ時間ピッタリって凄いな」

「ふぅ、なら良かったです」


 ソフィアが安堵の息を零す。


 さて、今日の予定何だが、まずはリュナとソフィアで模擬戦。その戦いを踏まえて、一つずつ俺が指導をしていく形だ。

 ……しかし、俺も精霊との戦闘に慣れている訳でもないので、正直教えられるかどうかの不安しか無い。本当に俺でよかったのか?

 取り敢えずリュナたちに予定を伝える。


「分かったわ。早速やりましょ。ヨル」

「そうですね。おいで、フォス」


 フォス、というのはソフィアの精霊、雪原狐(スノウフォックス)の名前である。まだ子供の姿だが、それだけ成長幅がある、ということだ。


 ……頑張れ、フォス。


 という訳で模擬戦だ。お互いの精霊も準備万端だ。


「うむ、貴様ら覚悟せい」

「コンッ!」


 何かヨルが悪者みたいだな。そしてフォスかわいいな。


「フォスは上げませんよっ!」

「何故バレた!?」


 ソフィアがフォスを抱き上げる。


「いや、シュウくんってたまに凄く顔に出ますよね」

「確かに、シュウは学校とか以外だと、顔に出る時があるわよね」

「……何…だと?」


 外じゃ表情に出るとか初耳なんだが。てか出来るだけポーカーフェイスを意識していたいだけに少しショックだ。


「じゃあ気を取り直して。模擬戦行くぞ」

「よろしくお願いします」

「よろしくね」


 戦いのひぶたが切って落とされた。




「はぁはぁ、リュナさん強いです!」

「コン……」

「ふふっ、詰めが甘いわよ、ソフィア」

「そこの狐よ、まだまだ出力を上げられるだろう?」


 結果は、リュナの勝利。先手必勝とばかりに連射された氷弾は、龍の爪を顕現させたリュナの一振りで全て粉々となった。そこにヨルが雷を纏わせた鱗を乱射してゲームセット。

 ヨルの鱗の攻撃の時、鱗ならば決して鳴らないような音がしていた。何だあの炸裂音。爆発物かっ!


 まぁという訳でリュナの圧勝だったんだが。ヨルが鱗に魔法を纏わせられるとか知らなかった。でもあの速度ならまだヴァルが捌けるだろうか。だったら、ヨルの相手はヴァルに任せるか。


「ヴァル、ヨルのあの鱗、捌き切れるか?」

「うん?多分大丈夫だよ」

「じゃあ向こうでひたすら打ち合いでもしててくれ」

「了解だよ」


 ヨルとヴァルには打ち合いをしてもらい、俺たちが何をするかだが……。


「ソフィアとフォスの強化をする!」

「私はっ!?」


 驚くリュナだが、心配するな。


「その間リュナは自主練が出来る!」

「ここに来た意味無いじゃない!」


 むう、思いっきりツッコまれてしまった。ちょっと痛かったぞ、肩。


「遂にシュウがボケるようになっちゃったわね…」

「悪かったな。大丈夫だ。俺とソフィアの練習に付き合ってもらう」

「最初からそう言いなさいよね」


 まだ少し不満げに頬を膨らませているリュナはさて置き、特訓の方へ移ろう。


「さて置かないで頂戴!?本当にシュウがわざとボケ始めたわ……」


 こんな感じで少しばかりグダリつつも特訓を始めた。


「グダってるのはシュウのせいよ?」


 ……ごめんなさい。



---------



「じゃあ私とフォスで、ひたすら魔法を撃ち続ければ良いんですね?」

「えぇ。私たちなら捌き切れると思うわ」

「そうだな。遠慮せずに撃ってこい。全力で凌いでやる」

「じゃあ行きます!『連氷弾(マルチアイスバレット)』」

「コンッ!!」


 一人と一匹による、氷弾の乱打が始まった。一撃の威力は大したことないが、如何せん数が多い。物量で押し切られそうだ。

 飛来する氷弾を蒼炎を纏わせた剣で凌いで行く。ある程度の大きさなら炎だけで溶かし尽くせるが、溶かし切れなかったのを剣で切り伏せていく。


 そういえばいつもお世話になっているこの剣、あの街の門番さんからの頂き物なんだよなぁ。夏休みにでもお礼を言いに行こうか。


「セイッ、ハァッ!」


 リュナは龍の爪を出し、足先に鱗を纏わせ、格闘技みたいな動きで捌いていた。リュナには体術じゃ勝てなそうだな。

 ちなみに、リュナは完全な龍化は出来ないが、龍の各種部位の顕現が出来る。爪や翼、尻尾と鱗。龍の切り札、『龍の息吹(ドラゴンブレス)』も使えないらしいが、それでも十分強い。……俺、勝てるかな?

 しかも翼を出せるので、飛べる。もう勝ち目無くね?


 そんなこんなで数分後。氷弾の乱打が止まった。


「はぁ、も、もう、魔力が無いです」

「そうか。よく頑張った。最後の方は少し威力が増してたぞ」

「そうね。本当にラストは防ぎ切れるか少し不安だったわ」

「良かったぁ。ありがとうございました」


 マジで最後は危なかった。一発肩をかすめそうになった。


「魔力が切れたなら、しばらく休憩を兼ねて見学な」

「次は何をするんですか?」

「それはな。リュナ、模擬戦やろうぜ!」


 サッカーやろうぜ!みたいなノリで言ってみた。


「良いわよ。精霊たちは抜きなのよね?」

「そうだな。てかあいつら何やってんだ……」


 森の木々をヴァルが飛び交い、ヨルがそれを鱗を飛ばして落とそうとしていた。てかヴァル早くね?まぁ楽しそうなのでいいか。


「龍化はアリで頼む。じゃ行くぞ!」

「えぇ、自分がどこまで伸びているのか確かめさせてもらうわ!」


「『蒼炎弾(ファイアバレット)』」


 取り敢えず牽制の炎弾を幾つか撒いておく。


「甘いわよ!」


 それをリュナは、爪で全てかき消してしまった。うん、中々威力がある。味方ならばそれも頼もしい限りだ。


「『水矢(ウォーターアロー)』」


 速度に一貫させた水の矢を作る。確実に当てなければ。


「……ここっ!」


 リュナが距離を詰めようとダッシュした瞬間に足を狙って撃つ。その矢は足先にヒット。機動力は落ちた筈だ。


「やるわね。でも勝たせてもらうわよ!『突風(ガスト)』!」


 彼女は、自身の翼に突風の魔法をかけ、飛び上がる。そのまま空中を跳び回りながら今度は魔法を連打してくる。

「『風刃(ウィンドカッター)』『落雷(ボルテックス)』『爆炎(フレア)』!」


 そういえばシレッとリュナも無詠唱で魔法を使ってるな。もしかしてヨルと自主練でもしてたのか?中級〜上級ぐらいの魔法を無詠唱で連発とかいつの間に出来るようになったんだよ。


 俺は剣で風刃をいなし、横っ飛びに雷を避け、爆炎には…


「まだまだ甘いぞ。『大水波(デリージュ)』」


 大波を作り出し、炎をかき消す。そしてその水を攻撃に転じる!


「『氷槍(アイシクルランス)』」


 未だ空を飛んでいるリュナに、下から氷の槍が幾重にも襲いかかる。既にある水から創る時なら、魔力消費も抑えられてお得な魔法だ。


「くっ、」


 リュナも空中で爪を振るが、下からなので防ぎにくい。どう出るかと様子を伺っていると、彼女は不適な笑みを浮かべて、何と鱗を纏わせた足で氷槍を蹴り返してきたのだ!


「これでどう?防御だけじゃなくて、攻撃もしなくちゃね」


 確かにそれは攻防を同時に成す良い択だが、それ故に油断が出来る。速度重視で行こう。


「『身体強化(ブースト)』『炸裂する風(インパルスウィンド)』」


 足をメインに身体強化魔法を掛け、ノックバック効果の大きな魔法を自分に使い、一気に上空へ飛び出す。未だ飛んでくる氷槍を躱して放つ一撃。



「桜花一閃:空」



 斜めに切り上げの一閃。もちろん模擬戦なので当ててはいない。でも、模擬戦の勝利には十分だった。


「は、疾……」


 地面に降りてきたリュナも言葉が出ないようだった。実はこの技、精霊祭の飾り付けで屋根同士を飛び回っていた間に思いついたもので、毎度切り札となる最高威力の技として使っていた桜花一閃に少しアレンジを加えて見たかったのだ。

 桜花一閃:空は速度重視で空中への使用が可能。またこんな風に一つアレンジ技を思いついたら、どんどん試して行こうと思う、


「リュナ、大丈夫か?」


 リュナは龍化を解いて地面にへたり込んでいた。


「え、えぇ。やっぱりシュウは強いな、って思って」

「ほら、立てよ」

「ありがとう」


 手を差し出すと、素直に手を取ってくれたので引き上げる。軽っ!飯ちゃんと食べてんのか?


「二人とも凄いです!同級生なのにそんなに強いなんて、羨ましい限りです。また今度もよろしくお願い出来ますか?」

「もちろん。私はいいわよ」

「俺もだ。一緒に強くなって行こうな」

「はい、よろしくお願いします!」


 何だか満たされた気分だ。でもこれに満足せずにもっと上を目指して、師匠を超えられるようにならなきゃ。そして最終的には、勇者たち、もとい元クラスメイト全員が束になって掛かって来ても勝てるまで強くなるつもりだ。


 明日からの特訓も楽しみだ。





少しでもおもしろいと感じて頂けたら、

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作者のモチベが上がると共に作者は狂喜乱舞致します。

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