セリス現る
31話目。小説書くのって難しいですね。
復旧の手伝いといっても、落とし物を拾って届けるだけの仕事だった。そして、街に放送が流される。拡声魔法だろうか。
「街の皆様!長らくお待たせ致しましたが、現在11時より、精霊祭を再開いたします!トーナメントの時刻表なども改めて張り出していますので、詳しい時間はそちらで各自ご覧ください!では、改めまして、精霊祭を再開致します!」
その放送から30分も経つと、既に通りは人で賑わっていた。屋台も多く開いていて、いい匂いが漂ってくる。
「何か買ってから観戦に行かないか?手ぶらってのも寂しいだろ」
「そうですね。そろそろお昼時ですし」
「じゃあ、あそこのサンドイッチにしない?」
リュナの提案により、サンドイッチを買うことにした。俺は肉やチーズを挟んだサンドイッチ、リュナとソフィアは葉物野菜とハムの具材だった。
うん。どれも美味しそうだな。
俺たちはサンドイッチ片手に、闘技場へ向かった。
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闘技場に近づくに連れて大きくなっていく歓声。中に入ると、そこは熱狂に包まれていた。
「わぁ、凄い人ですね」
とソフィアが言ったように、観客席は多くの人が詰めかけ、前列は特に、ほぼ満席になっていた。
「う……人が多いわね……人が少ない場所はない?」
「まぁ後ろの方ならまだ大丈夫だろ」
そう言って最後列まで来たのだが、正直人の多さを舐めていた。最後列まで人がずらりと並んで、観戦をしていた。
「うわ、後ろまで人が並んでるな…」
「じゃあ、食堂の方はどうでしょう。あっちからならギリギリ見えないでしょうか?」
食堂へ。流石に、食堂にまで人が詰めかけては居なかった。もちろん、ある程度は居たが。
「まぁこのぐらいならまだ大丈夫ね。ありがとう」
「いえいえ、じゃあサンドイッチでも食べながら私たちも観戦しません?」
「そうだな。お、頑張れば試合も観れるな」
食堂の開いた窓から試合が見える。誰が戦っているかは分からない(というか知らない)が、激しい攻防戦をしているのは明らかだった。
思ってたよりレベルが高い戦いだな。掲示板を見ると、今は魔法学院の先輩と、Cランクの冒険者が戦っているらしい。Cランの冒険者と互角ってすごいな。
すると、先輩が放った暴風の魔法によって、冒険者の方が弾き飛ばされ、壁に激突してそのまま気絶した。
「勝負あり!ローファ選手の勝利!」
「わああぁぁぁぁ!!」
ローファ先輩が駒を進めたらしい。やっぱり、決着がついた時の歓声って一際大きいな。
「では、次の試合に参りましょう!Aトーナメント準決勝はラノア魔法学院の期待の星、レーナ=ロゼリア選手だぁぁ!
そしてその対戦相手は、ベテランBランク冒険者!今年で冒険者歴12年のゴーシュ選手だぁぁ!」
互いに歓声が上がる。
その後も諸先輩方の試合を観戦していたら、不意に声を掛けられた。金髪碧眼の剣術学院の制服を着た美少女だった。貴族だろう。ていうかこの世界の人たちって顔面偏差値高くね?自分が不安になるんだけど。てか貴族が俺に何の用だ?
「あ!ねぇねぇ君、魔法学院の生徒だよね?」
「?そうですが、どうかしましたか?」
「君、こないだウチの三年生を体術だけで倒してたよね?」
…え。もしかして一言いいに来た的な?なんだか面倒くさそうだなぁ。
「えー、まぁはい。確かに倒しましたね」
「やっぱり、あの時のカッコいい人じゃん!」
「は?」
やべ、思わず声が出ちゃった。まさかそう来るとは……。
てかこの人どうしよう。いやその前に誰?
すると、何故か不満げなリュナが聞いてきた。
「シュウ、三年生を倒したって何?あとこの人は誰?」
「あ、名乗ってませんでした!私はセリス。剣術学院三年生なの。よろしくね。」
「よ、よろしく。で、三年生を倒したって?」
「それは、精霊祭の飾り付けの時に、ちょっと剣術学院の奴らがちょっかいかけて来たから、返り討ちにした。ってだけだ」
「いやーあの時の彼はカッコよかった!二人同時に襲い掛かられたのに、首元に手刀を落として一撃ですよ!もう惚れました。結婚しましょう!」
「いやちょっと何言ってるか分かんない」
一体なにを言い出すんだこの人!前半はまだ良いとして、後半は相当やばいこと言ってるぞ!何だよ結婚して下さいって。突然って言うにも程があるだろ!
「そんなこと言わずに〜」
「うわっ、やめろ!」
セリスが俺の左腕を取ってしなだれかかって来た。何がとはいわないが柔らかいものが当たってる!
「やめなさいよ!シュウが嫌がってるでしょ!」
そう言ってリュナがセリスを引き剥がしてくれた。ありがとうリュナ。神様って呼んでもいい?
「いや結婚しましょうよ〜」
「てか第一俺たちはまだ学院生だろうが!それに急に結婚しろとか言われても、対応出来るわけないだろ」
彼女はむ〜っとあからさまに膨れて見せるが、こっちは折れないぞ。好意を寄せられるのは嬉しいが、余りにも突然過ぎるんだよ!
すると、さっきまでアワアワしていた(かわいい)ソフィアが口を開いた。
「すみません、セリスさんはシュウ君の事が好きなんですね?」
「当然。もう一目惚れよ!」
いや一目惚れとか結婚とかそういう言葉を連呼している所為で、地味に注目を集めていて居心地が悪い。
「でしたら話す事があります。リュナさんも来て下さい」
何だか珍しく有無を言わせない感じのソフィアがリュナとセリスを連れて出ていった。
ちょっとの間待っていると、彼女らが戻ってきた。
「なるほど。そういう事だったの。だったらここは一度身を引いて、また来ることにするわ。じゃあまたね、シュウ君」
「あぁ、じゃあな」
「はぁー、疲れた。ところでソフィア、何を話して来たんだ?」
「それはもう、乙女の秘密ですよ?詮索はよして下さい」
「そう言うなら分かった」
めっちゃ聞きたいけどね!
てかセリスはまた来るとか言ってたからなぁ、また面倒くさいことになりそうだ。とほほ…。
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その後も試合は問題なく進行して行き、トーナメント戦は終了した。その試合の中には、セリスの姿も。こっちを見てウインクをしてきた時に、剣術学院の生徒達にどよめきが走っていた。
「今、俺に向けてウインクしたよな」「いや俺だろ」
「流石、先輩は可愛い!」「もう通り越して神だな」
いやセリスそんなに人気あるなら誰かいい奴いないのかよ…。てかそんな人気者に目を付けられたとか、厄介ごと以外の何物でもない。『お前みたいな奴がー』とか言ってちょっかいかけて来そうだ。
トーナメント戦終了のアナウンスが流れ、闘技場から徐々に人が抜けて行く。精霊祭も終わりか。精霊を使った戦いの参考になる戦いも幾つもあった。ありがたい限りだ。
誘拐事件やセリスという厄介ごとの種に巻き込まれつつも開催することが出来た精霊祭は、こうして幕引きとなった。
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〈作者補足〉
「精霊祭」なのに、精霊を使った戦闘描写が誘拐事件の時のヴァルしか無かったので、どこかのタイミングで使って行きたいです。では補足。
セリスは剣術学院の三年生で、生徒会長でもあります。美人でかつスタイルもいいので、剣術学院では凄まじいまでにモテます。更にはファンクラブも存在しており、最早崇められていると言っても過言ではないようま存在です。そんな彼女ですが、少女向けの恋愛本などが好きで、小説みたいな一目惚れとかカッコいい人との出会いに憧れていて、今まで彼氏を作ったことがありません。その目には、自分と同学年の実力者を、魔法学院の生徒なのに一瞬で倒してしまうシュウは、とてつもなくカッコよく見えたのでしょう。結果出会って間もないのに結婚とか言い出したんですね。
シュウ君モテモテでございます。
以上作者補足でした。
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寮へ戻ると、やけにテンションの高いエリクがいた。
「おいエリクどうしたんだ?テンション高いな。なんなら全身から湯気が立ってるまである」
「いや湯気は立ってねぇよ。それよりシュウは見なかったのかよ!トーナメント戦!」
「そりゃもちろん見たが…。そんなに興奮することでもあったか?」
「シュウ見なかったのか?あの人。セリスさんの試合を!」
またあいつかよ…。面倒だし見てないことにするか。
「あー、悪い。その人の試合、たまたまトイレに行ってて見てないわ」
「まぁ試合も一瞬だったし、仕方ないか。可哀想に…」
何だその哀れみの目は。あいつはそんないい奴なんかじゃないからな。さっき、身をもって知った。
その日は、エリクによって、いかにセリスが美しく、且つ強いのかを長らく語られた。
…もう、アイツにはうんざりだ。
作者補足再び。今回の補足は長いですが、読んでくれたら嬉しいな。
少しでも面白いと感じて頂けたら、
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作者は感謝感激雨霰拍手喝采します。(独りで)




