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誤字報告!便利ですね…!!!
助かります(> <。)ありがとうございます!!
鼻先をくすぐる、甘い花の香り。
ゆっくりと瞼を持ち上げて、数回瞬きをする。
遠くから聞こえる鹿威しの澄んだ音。
頬に感じる懐かしい畳の感触。
「いったい何時まで寝ているつもりです、"_____"。」
タンッと、突然開かれた襖から現れたその人は
「お祖母様……。」
その顔を視認すると、途端に意識が覚醒する。
慌てて起き上がって姿勢を正すも、もう遅い。
「休みだからといって怠けてはいけませんよ、さぁお茶の準備をなさい。」
「はい、直ぐに参ります。」
祖母に続いて縁側に出ると、花の匂いが一層強く香った。
縁側にそって組まれた藤棚から白と薄紫の藤の花が垂れ下がり、風に揺れている。
「今年も見事に咲いたわね。」
私の誕生花として植樹されたこの藤木は、私と一緒に成長してきた。
どこまでも伸びていく蔦は、気づけば家の塀すら乗り越えて外の世界へと進出している。
「"____"早くいらっしゃい。」
「はい、ただいま。」
カコーン
と、また鹿威しの音が響く。
引き戸を通って茶室に向かう。
シャカシャカと鳴る器を滑る茶筅の音を聴きながら、夢か、と思考の片隅で思った。
途端に景色が変わり、私がいるのは教室の私の席。
まだ鼻の奥に藤の香りが残っている。
「気に入らないのよ!!!」
甲高い声が耳を劈く。
バンッと目の前の机が叩かれた。
そのままの勢いで私の襟首を掴むこの子は____果たして、誰だっただろうか。
「貴女が何に怒っているのか、私にはわからないわ。」
勝手に口が動く。
恐らくこれは、前世の私の記憶。
私の言葉が気に入らなかったらしいその子は、激情のままに私を突き飛ばした。
腰と背中をぶつけて息が詰まる。
「全部!!全部気に入らないわ!!!あんたのそのスカした態度も!!その生意気な目も!!~~~っ!!存在が気に入らないのよ!!!」
私から何かをしたということは無い。
勝手に絡んできて、思うように動かない私に憤っている。
あら、まるで彼女こそ悪役令嬢ね。
まだ、何か私に向かって叫び続けているけれど、だんだんと遠のいていって聞こえない。
「_____!!!!」
何を言っているのか、わからない。
「わたくしは!!貴女なんて認めませんわ!!!」
翡翠色の目が、憎しみに澱んでいる。
「殿下は、わたくしのモノですのに!!貴女も貴族の端くれなら、身の程を弁えなさい!!他人の婚約者に媚びて近寄るなど不潔ですわ!こんな、こんな女に……わたくしの殿下を渡したりなど致しません!!!」
言っていることは正論なのに、感じるのは愛のない独占欲。
気に入らないと身体中から訴えている。
その視線はまっすぐと桃色の少女を捉えて離さない。
「わたくしは認めませんわ。貴女さえ………そう、貴女さえいなければ!!殿下の隣は公爵令嬢であるアティリシア·ルーナ·アーグレン、このわたくしこそが相応しいと誰もが認めるに決まっていますのに!!!!」
はっきりと言い切ったその口が何かを確かめるように小さく動いて、澱んでいた瞳が何故か不自然に輝きを取り戻す。
「そうですわ。消してしまえばよろしいのね。」
そして、酷く美しく無邪気に微笑んだ。
______ダメ、
「あの女を、消してちょうだい。」
控えていた護衛……ダレンが動いた。
私の視界を、見慣れたプラチナブルージュが過ぎる。
______ダメッ!!!!
伸ばした手が、届かない。
突然の強い藤の香りに包まれて、空間から弾かれるようにして
「_____っ!!!!」
目が覚めた。




